ざっくり要約!
- マンション価格は築10年まで大きく下落しますが、その後築20年頃までは比較的緩やかに推移する傾向があります。
- 築25年を過ぎると、建物の劣化や修繕費の増加などが影響し、価格の下落幅が再び大きくなるケースも見られます。
- 高く売るためには、築浅なら清潔感、築古ならリノベーション素材としての魅力など、築年数に合わせた戦略が重要です。
マンションの売却を検討する際、築年数が価格にどの程度影響するのかは、多くの人が気にかけるポイントです。一般的に、建物は年数が経つほど価値が下がりますが、その下落率や推移の傾向を知っておくことで、最適な売却タイミングを見極めやすくなります。
この記事では、築年数ごとの価格推移や下落率の目安、価格が下がる理由について詳しく解説します。さらに、築年数別の販売戦略も紹介します。所有するマンションの価値を正しく把握し、納得のいく売却を実現するために、ぜひ参考にしてください。
記事サマリー
マンションの価格に影響する要素
マンションの売却価格は、単一の理由だけで決まるものではなく、複数の要因が複雑に関係しています。適正な価格を把握するために重要なのが、影響を与える主な4つの要素です。
- 立地
- 築年数
- 面積・間取り
- 管理状態
立地
マンションの資産価値を決定づける最も大きな要素は「立地」です。
購入希望者が物件を選ぶ際には、以下のような条件が重視されるため、これらの要素が良い物件ほど価格は高く維持される傾向にあります。
- 最寄り駅からの距離
- 都心や主要駅へのアクセスの良さ
- 周辺環境(商業施設、公園、学校などの充実度)
- 地域のブランド力や将来性(再開発の予定など)
建物や設備はリフォームによって新しくできますが、立地は後から変えることができない「動かせない資産」です。そのため、駅に近い物件や人気のエリアにあるマンションは、築年数が経過しても価格が下がりにくいという特徴があります。
一方で、駅から遠い物件や利便性の低いエリアは、築年数の経過とともに価格の下落幅が大きくなる可能性があります。
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築年数
築年数は、マンションの価格に直接的に影響を与えるわかりやすい指標です。一般的には、新築から時間が経過するほど建物の価値は減少し、それに伴って価格も下落していきます。
特に、新築直後から築10年程度までの下落率は大きく、その後は緩やかになる傾向があります。ただし、築25年を超えると再び下落幅が大きくなるケースも見られるため、売却時期を見極める際には築年数の推移を注視することが重要です。
築浅の物件は設備が新しく人気がありますが、築古物件であっても、適切な維持管理やリフォームが行われていれば、価格の維持は可能です。
面積・間取り
専有面積の広さや部屋の配置といった間取りも、価格を左右する重要なポイントです。広い部屋ほど価格は高くなりますが、単価で見ると必ずしも比例するとは限りません。
エリアの特性によって需要のある間取りが異なる点も考慮しましょう。たとえば、ファミリー層が多い地域では3LDKなどの広い間取りが好まれ、単身者が多い都心部ではワンルームや1LDKの需要が高いのが特徴です。
地域のニーズに合致した間取りであるかどうかが、売却価格を左右します。
| ・「3LDKの間取り」に関する記事はこちら 3LDKとは?間取り例や平均的な広さ、購入・賃貸するときのポイントを紹介 ・「ワンルーム」に関する記事はこちら 1R(ワンルーム)ってどんな間取り?同じ間取りでもキッチンで変わる?メリット・デメリット、レイアウトのポイントを解説 |
管理状態
「マンションは管理を買え」と言われるように、管理状態の良し悪しは価格に大きく影響します。エントランスや廊下などの共用部分が清潔に保たれているか、外壁の修繕は適切に行われているかといった点は、購入希望者の印象を左右します。
また、長期修繕計画が策定され、修繕積立金が適正に積み立てられているかも重要なチェックポイントです。管理が行き届いているマンションは、安心して長く住める物件として評価され、築年数が古くても価格が下がりにくい傾向にあります。
反対に、管理体制に不安がある物件は、敬遠される懸念が生じます。
築年数別マンション価格と下落率
実際の取引において、築年数が経過すると価格はどのように推移するのでしょうか。東日本不動産流通機構のデータをもとに、築年数ごとの成約平米単価と下落率をまとめたものが以下の表です。
| 築年区分 | ㎡単価(万円) | 前築年区分比下落率(%) |
|---|---|---|
| ~築5年 | 198.9 | ― |
| ~築10年 | 164.8 | -17.1 |
| ~築15年 | 153.1 | -7.1 |
| ~築20年 | 136.8 | -10.6 |
| ~築25年 | 117.1 | -14.4 |
| ~築30年 | 97.0 | -17.2 |
| 築30年~ | 71.0 | -26.8 |
参考:東日本不動産流通機構|首都圏中古マンション・中古戸建住宅 地域別・築年帯別成約状況【2025年07~09月】
表を見ると、新築から築10年までの間に価格が大きく下落していることがわかります。その後、築15年から築20年あたりまでは下落率が比較的緩やかになり、価格が安定する時期です。
しかし、築25年を超えると再び下落幅が大きくなり、築30年以降ではさらに価格が落ち込む傾向が見られます。マンションの売却を検討する際には、こうした市場全体の価格推移の傾向を理解し、所有する物件がどのフェーズにあるかを客観的に把握することが大切です。
| ・「価格下落率」に関する記事はこちら 3000万で買った家はいくらで売れる?売却価格やタイミングの見極め方 マンションの売却価格と築年数の相関は? 築年帯ごとの売却のコツを伝授 |
なぜ築年数が上がるとマンションの価格は下がるのか
築年数の経過とともに価格が下落するには、物理的な要因や市場のニーズなど明確な理由があります。価格が下がる主な要因として、以下の4つについて解説します。
- 建物・設備の劣化
- 間取りや設備が現代のライフスタイルに合わない
- 修繕費の負担増
- 住宅性能が低い
建物・設備の劣化
年数が経てば建物や設備が劣化するのは避けられない自然な現象であり、これが価格下落の直接的な原因となります。外壁の汚れやタイルの剥がれ、共用部の摩耗といった見た目の古さは、内覧時の印象を悪くする要因です。
また、目に見えない部分でも、給排水管の老朽化やコンクリートの中性化などが進行している可能性があります。こうした物理的な劣化は、購入後のメンテナンス費用やリフォーム費用の発生を予感させるため、買主は購入価格を低く見積もる傾向にあります。
劣化状況に応じた適切な修繕が行われていない場合、資産価値の維持は難しくなります。
間取りや設備が現代のライフスタイルに合わない
築年数が古いマンションは、当時の生活様式に合わせて設計されているため、現代のライフスタイルに合わない場合があります。
たとえば、和室が多い間取りやリビングとキッチンが分断された閉鎖的な台所などは、開放的なLDKを好む現代のニーズと乖離しているかもしれません。また、バリアフリーに対応していない段差の多い構造や、インターネット環境の未整備なども、マイナス評価につながることもあります。
現代の生活に不便を感じさせる間取りや設備は、リノベーションを前提とした価格設定を迫られるため、売却価格を下げる要因といえるでしょう。
修繕費の負担増
築年数が経過すると、建物の維持管理にかかるコストが増加することも価格に影響するポイントです。多くのマンションでは、築年数が経つにつれて修繕積立金が段階的に値上げされる計画になっています。
特に、大規模修繕工事が近づく時期や、過去の積立金不足が発覚した場合などは、管理費や修繕積立金の月々の負担額が高額になるケースも少なくありません。
購入者にとって、毎月のランニングコストが高い物件は総支払額が増えることを意味するため、敬遠される要因となるでしょう。その結果、物件価格を下げざるを得ない状況が生まれます。
| ・「マンションの修繕費」に関する記事はこちら 修繕積立金ってどうして必要なの?相場や値上がりする理由も徹底解説 |
住宅性能が低い
古いマンションは、現在の新築物件と比較して住宅性能が低い場合があり、これが価格を下げる要因になります。
特に断熱性や気密性、遮音性といった性能は、居住の快適さに直結する要素です。また、耐震性能についても、1981年以前の旧耐震基準で建てられたマンションは、現行の新耐震基準を満たしていない可能性があります。
耐震性が低いと判断されると、住宅ローン控除が利用できないケースがあるほか、耐震等級等による地震保険の割引が受けられず、同じ補償額でも保険料負担が相対的に重くなる場合があります。ただし、耐震基準適合証明書を取得するなどすれば、住宅ローン控除の対象になることもあります。
| ・「旧耐震と新耐震の違い」に関する記事はこちら 旧耐震と新耐震の違いは?地震発生時のリスクも解説 ・「耐震基準適合証明書」に関する記事はこちら 耐震基準適合証明書とは?取得するメリットや費用とあわせて注意点も解説 |
マンション売却の最適なタイミングはいつ?

データから読み取れる価格推移の傾向を知ることで、売り時を見極めるヒントが得られます。ここでは、築年数ごとの下落率の特徴から見る、売却に適した3つのタイミングについて解説します。
- 築10年までは下落率が大きい
- 築10年から築20年まで価値は大きく落ちない傾向に
- 築30年を超えると価値は大きく落ちる
築10年までは下落率が大きい
新築マンションを購入してすぐ売却する場合、一般的に価格の下落率は大きくなる傾向があります。これは、新築時に上乗せされていた広告宣伝費や不動産会社の利益といった「新築プレミアム」が剥落するためです。
鍵を開けて1日でも住めば「中古」となり、価格は市場相場に合わせて評価されます。データを見ても、築0~5年から築6~10年の間での下落幅は顕著です。
この時期の売却は、住宅ローンの残債が売却価格を上回る「オーバーローン」になるリスクも高いため、資金計画を事前に立てておく必要があります。
築10年から築20年まで価値は大きく落ちない傾向に
築10年を過ぎると価格の下落スピードはやや緩やかになり、築20年頃までは比較的安定した推移を見せる傾向が見られます。この時期は、価格と物件の質のバランスが良く、中古マンション市場で需要が活発なゾーンだといえるでしょう。
住宅ローン残債も減ってきているため、売却益が出やすい時期でもあります。また、建物や設備もまだ十分に使える状態であることが多く、大規模なリフォームなしで住める点も買主にとって魅力的です。
価格が安定し、買い手も見つかりやすいこの期間は、売却における「売り時」のひとつです。
築30年を超えると価値は大きく落ちる
築30年を超えると、平均的な価格は再び大きく下落する傾向にあります。この背景には、築30年以上の物件の中に、1981年以前の「旧耐震基準」で建てられたマンションが多く含まれていることが影響していると推測されます。
したがって、新耐震基準で建てられたマンションであれば、築30年を超えたとしても、データほど急激に価値が落ちるとは限りません。
とはいえ、築25年以降になると下落率が再び大きくなる傾向は見逃せないポイントです。給排水管の交換など高額な修繕が必要になる時期とも重なるため、早めに検討しましょう。
築年数別!マンションの販売戦略
マンションを高く、スムーズに売るためには、築年数に応じたターゲット設定やアピールが必要です。ただし、ここで紹介するのはあくまで一例であり、物件の個性を活かした最適な戦略を練ることが大切です。以下のような築年数ごとの特徴に合わせた販売戦略について見ていきましょう。
- 築10年前後
- 築20年前後
- 築30年前後
- 旧耐震物件
築10年前後
築10年前後のマンションは、比較的新しく状態も良いため、新築マンションを検討している層もターゲットになります。新築よりも価格が抑えられている点をアピールしつつ、立地の良さや管理状態の良さを強調するのが効果的です。
内装や設備もまだきれいな場合が多いため、ハウスクリーニングを徹底して清潔感を演出しましょう。そのまま住める状態であることをアピールできれば、リフォーム費用をかけたくない層からの需要を取り込めます。
近隣の新築マンション価格と比較して割安感を示すことで、スムーズな成約が期待できるでしょう。
| ・「ハウスクリーニング」に関する記事はこちら ハウスクリーニングの相場はいくら?水回りから一戸建てにかかる費用まで紹介 |
築20年前後
築20年前後の物件は、価格が手頃になりつつも、新耐震基準を満たしている安心感があるため、幅広い層から人気がある時期です。この時期の物件は、部分的なリフォームを検討する買主が増えてきます。
また、大規模修繕工事が実施済みであれば、建物の維持管理が適切に行われている証拠として大きなアピールポイントになります。価格と質のバランスの良さを訴求し、コストパフォーマンスを重視する層にアプローチしましょう。
築30年前後
築30年前後のマンションは、内装や設備の古さが目立つようになるため、リノベーション前提で購入する層をターゲットにする戦略が求められます。
現状のままで売り出し、買主が自由にリノベーションできる「素材」としての魅力をアピールする戦略も選択肢のひとつです。その場合、解体費用の負担やリフォームプランの提案などをセットにすると、イメージが湧きやすくなります。
価格競争力を持たせるために、近隣の相場を綿密に調査し、リノベーション費用を見込んだ価格設定を行うことが成約への鍵となるでしょう。
旧耐震物件
1981年5月以前に建築確認を受けた旧耐震物件は、耐震性への不安から住宅ローンが利用しにくいケースがあり、売却のハードルが高くなる傾向があります。
この場合の戦略として、住宅ローンを利用しない現金購入者や投資家をターゲットにすることが考えられます。立地が良い場合は、賃貸需要を見込んだ投資用物件としてのポテンシャルをアピールしましょう。
また、耐震診断を実施していたり、耐震補強工事済みであったりする場合は、安全性を証明できる資料を提示することで、買主の不安を払拭できる可能性があります。
| ・「不動産会社の選び方」に関する記事はこちら マンション売却の不動産仲介業者の選び方を徹底解説 |
まとめ
マンションの価格は築年数とともに下落しますが、築10年から20年頃までは比較的安定しており、売却の好機といえます。一方で、築25年を過ぎると下落幅が再び大きくなる傾向があるため、売り時を逃さないような見極めが重要です。
まずは所有するマンションの現在の価値を正確に把握し、立地や管理状態などの強みを活かした戦略を立てましょう。
売却のタイミングや価格についてお悩みの際は、ぜひ東急リバブルにご相談ください。最新の相場情報と豊富な実績をもとに、お客様に最適な売却プランをご提案いたします。
| ・「マンション査定」に関する記事はこちら マンション査定で出る相場はどれくらい?都市部や築年数別の価格を紹介 マンションの査定シミュレーションとは? 仕組みや注意点を解説 |
この記事のポイント
- マンションの価格には何が影響しますか?
マンションの売却価格は、単一の理由だけで決まるものではなく、複数の要因が複雑に関係しています。適正な価格を把握するために重要なのが、影響を与える主な4つの要素は「立地」「築年数」「面積・間取り」「管理状態」です。
詳しくは「マンションの価格に影響する要素」をご覧ください。
- なぜ築年数が上がるとマンションの価値は下がるのですか?
築年数の経過とともに価格が下落するには、物理的な要因や市場のニーズなど明確な理由があります。
詳しくは「なぜ築年数が上がるとマンションの価格は下がるのか」をご覧ください。
- マンションを売却する最適なタイミングはいつですか?
データから読み取れる価格推移の傾向を知ることで、売り時を見極めるヒントが得られます。「築10年まで」「築10年から築20年まで」「築30年を超える」という売却に適した3つのタイミングについて解説します。
詳しくは「マンション売却の最適なタイミングはいつ?」をご覧ください。
ライターからのワンポイントアドバイス
マンションの売却価格は、「建物の価値」と「土地の持分価格」の合計で決まることを押さえておきましょう。一般的に建物の価値は築年数とともに下がりますが、地価が上昇しているエリアでは、トータルの価格が下がらない、あるいは購入時より上がるケースもあります。 そのため、築年数が古いからといって必ずしも安く売らなければならないわけではありません。ご自身のマンションが持つ個別の強みや市場動向を反映した査定額を知ることから始めましょう。


