ざっくり要約!
- 住宅ローンの団信に入れないのは、年齢または健康状態、あるいはその両方が基準に該当しない人
- 団信への加入が難しい場合は「ワイド団信を検討する」「団信が任意の住宅ローンを選ぶ」「配偶者を主債務者にする」などで対処できる可能性がある
住宅ローンを契約するときは「団体信用生命保険」への加入が求められるのが一般的です。団体信用生命保険は、借り入れた人が返済中に万が一のことがあったとき、ローン残高が保障される保険です。
団体信用生命保険に加入するためには保険会社の審査を受ける必要があるため、年齢や健康状態を理由に引き受けを断られる場合があります。
この記事では、団信に入れない人の特徴や加入時に告知する内容、加入が難しい場合の対処方法などについて解説します。
記事サマリー
住宅ローンの団体信用生命保険(団信)とは?
団体信用生命保険(以下、団信)は、住宅ローンの契約者が加入する生命保険の一種です。
契約者が亡くなったときや所定の高度障害状態になったとき、保険金によって住宅ローンの残高がすべて返済されます。
住宅ローンの債務者が団信に加入していない場合、返済中に万が一のことがあった後は残された家族が返済を続けなくてはなりません。
団信に加入していれば、債務者に万が一のことがあったときは、保険金で住宅ローンが完済されるため、残された家族は債務を引き継ぐことなく家に住み続けられます。
| ・「団信」に関する記事はこちら 団信とは?住宅ローンとの関係や仕組みをわかりやすく解説 |
住宅ローンの団信に入れない人とは?
団信に加入できないのは「年齢」と「健康状態」が一定の基準を満たさない場合です。
年齢の基準を満たしていない人
団信に加入するためには「加入時の年齢」と「完済時の年齢」の2つが所定の基準を満たしている必要があります。
金融機関によって年齢の基準は異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。
- 加入時年齢:18歳以上50歳未満、20歳以上65歳以下、51歳未満、71歳未満 など
- 完済時年齢:80歳未満が一般的
加入時の年齢に関する制限は、金融機関や商品によって大きく異なりますが、完済時の年齢は80歳未満であるケースが多いです。
また、所定のがんと診断されたときにローン残高が保障される「がん団信」や、健康状態に不安がある方でも申し込みやすい「ワイド団信」などは、通常の団信よりも年齢条件が厳しくなる傾向があります。
健康状態の基準を満たしていない人
団信に加入する際は、直近の健康状態や過去一定期間の病歴などを引受保険会社に告知する必要があります。
持病がある方や、過去一定期間に所定の病気をしたこと(既往歴)がある人は、告知した内容次第では保険会社の審査に通過できず、団信に加入できないことがあります。
加入が難しい健康状態や病歴は、一概にはいえませんが、一般的には以下の通りです。
- 申し込み時点で病気の治療で入院中または手術の予定がある
- 過去3年間などの一定期間内に、がんや心筋梗塞、脳卒中など保険会社が指定する疾病により手術や治療などを受けており、現在も完治していない など
詳しい審査基準は保険会社ごとに異なります。また、審査基準は非公開であるため、実際に団信を申し込み、健康状態を告知しなければ、加入できるかどうかはわかりません。
| ・「団信に入れない病気」に関する記事はこちら 団体信用生命保険に入れない病気とは?該当ケースや対処法まで解説 |
住宅ローンの団信の審査方法

団信の審査は、申込者が記入する「告知書」にもとづいて行われます。
団信に申し込みをする人は、現在の健康状態や過去の病歴について、事実をありのまま申告する義務(告知義務)があります。
健康状態の告知
告知書で質問される項目は、主に「直近の治療歴」「過去の病歴」「身体の障害」の3種類が一般的です。代表的な質問例は以下の通りです。
- 最近3か月以内に医師の診察・検査・治療・投薬を受けたか
- 過去3年(または5年)以内に特定の病気で手術や2週間以上の医師による診察・検査・治療・投薬を受けたか
- 手足の欠損や機能障害、視力・聴力などに障害があるか
- ※告知書で問われる内容は保険会社によって異なる
上記の質問について「はい」または「いいえ」の該当する欄に丸を付けます。「はい」に該当する項目がある場合は、病気・けがの名称や、入院期間、手術の有無、現在の症状・治療内容などの詳細を記載します。
上記2の質問における特定の疾病とは、心筋梗塞や脳卒中、がん、糖尿病などのことです。
告知をする際は、告知書で問われる内容について事実をありのままに回答することが大切です。「症状が軽いから」「もう治ったから」などの自己判断で適切に申告しないと、告知義務違反にあたる可能性があります。
なお、希望する借入金額や告知した内容によっては、健康診断結果の提出を求められる場合もあります。
告知義務違反は一括返済のリスクがある
故意や重大な過失によってありのままの事実を告知しなかったり、偽りの内容を申告したりすると「告知義務違反」となる可能性があります。
告知義務違反が発覚すると、万が一の事態が発生しても多くの場合で団信による保障が受けられず、保険金が支払われません。
また、金融機関から住宅ローン残高の一括返済を求められることにもなります。一括返済が難しい場合は、購入したマイホームを手放す事態にもなりかねません。
団信の加入から2年が過ぎても契約解除となることがある
保険会社が、告知義務違反による契約解除ができるのは、団信の保障が有効になる責任開始日から2年以内です。そのため「団信の加入から2年経過すれば告知義務違反を問われない」と考える人もいます。
しかし、告知が必要な病歴を意図的に隠すなど、悪質なケースでは「詐欺」と見なされ、責任開始日から2年を過ぎても契約が取り消されることがあります。
告知事項があっても入れないとは限らない
告知が必要な病気にかかっていたとしても、必ず審査に落ちるわけではありません。保険会社は、告知された内容をもとに団信への加入の可否を個別に判断しているためです。
たとえば、告知日から3年または5年以内に特定の病気で手術を受けていたとしても、現在は完治しており、投薬も受けていないのであれば、審査に通過できることもあります。
また、直近3か月以内に軽い風邪で医師の診察や投薬などを受けたことがあり、その他に告知事項がない場合は団信に加入できる可能性が高いです。
健康状態に不安があるときは、住宅ローンの利用を検討している金融機関に相談し、団信に加入できる見込みがあるのかを確認するのも1つの方法です。
団信に入れない人はどうすればいい?
団信の審査に通る見込みがない方でも住宅ローンを組める可能性はあります。具体的な選択肢は以下の通りです。
- 「ワイド団信」を検討する
- 団信が任意の住宅ローンを選ぶ
- 配偶者を主債務者にする
- 病気が治ってから住宅ローンを組む
「ワイド団信」を検討する
ワイド団信は、引き受け条件が緩和された団信です。高血圧症や糖尿病、肝機能障害などの持病があり、一般団信に加入できない人でも、ワイド団信であれば審査に通過できる可能性があります。
保障内容は一般団信と同様です。死亡または所定の高度障害状態となった場合に保険金でローンが完済されます。
ただし、加入条件が緩和されている分、保険料を支払う必要があります。一般団信の場合、加入者の保険料負担はないケースも多いですが、ワイド団信については住宅ローン金利に年0.2〜0.3%程度を上乗せする形で保険料を負担するのが一般的です。
健康状態に不安があり、金利が上乗せされても返済負担に問題がない場合は、ワイド団信を申し込むのも良いでしょう。
団信が任意の住宅ローンを選ぶ
団信の加入が融資条件になっていない住宅ローンである「フラット35」を選ぶのも1つの方法です。フラット35は、住宅金融支援機構と民間金融機関が提供する全期間固定金利型の住宅ローンです。
フラット35であれば、健康状態に不安がある方でも、条件を満たしており、審査に通過すれば住宅ローンを利用できます。団信(新機構団信)に加入しない場合は、フラット35の金利から年0.2%が差し引かれるため、返済負担も軽減されます。
ただし、団信に加入しない場合、フラット35の借主に万が一のことが起きたときは残された家族にローンの債務が引き継がれる点には注意が必要です。遺族の収入ではローンの返済が難しい場合、家を手放さなければならなくなるかもしれません。
そのため、契約中の生命保険の保険金や保有資産などで、万が一の際にローンを完済、あるいは返済を継続できるかよく検討することをおすすめします。
| ・「フラット35」に関する記事はこちら フラット35とは?メリットから手続きの流れまでわかりやすく解説 |
配偶者を主債務者にする
団信への加入と健康状態の告知が必要となるのは、住宅ローンの契約者となる人です。
配偶者に安定した収入があり健康状態にも問題がない場合は、その配偶者を主債務者(主な返済義務を負う人)として住宅ローンを借りるのも1つの方法です。
配偶者の収入のみでは希望する金額を借り入れることが難しい場合は、連帯債務や連帯債務を利用し、夫婦の収入を合算する方法もあります。配偶者を主債務者にすることで、自身の健康状態に不安があっても、借り入れができる可能性があります。
ただし、夫婦2人分の収入があることを前提に住宅ローンを組む場合、団信に加入しない側が万が一の際に返済を継続できる見込みがあるかよく検討することが大切です。
| ・「ペアローン・収入合算」に関する記事はこちら ペアローンはデメリットが多い?後悔しないために知っておきたいこと 住宅ローンの収入合算とは?ペアローンの違いは?メリット・デメリットも紹介 |
病気が治ってから住宅ローンを組む
治療中の病気が完治する見込みがある場合は、一定期間が経過したあとに申し込みをすることで、住宅ローンを組める可能性があります。
団信の告知書では「過去3年以内」や「過去5年以内」に特定の病気で手術をしたり、2週間以上にわたり医師の診察・投薬などを受けたりしたことがないか問われるのが一般的です。
告知の対象となる病気を患っていたとしても、完治して3年または5年が経過すれば、団信の加入時に告知をする必要がなくなるため、保険会社の審査に通りやすくなります。
病気が完治するまで待つ場合、マイホームの購入時期が遅れてしまうものの、その期間に頭金を貯めて借入金額を減らすことも可能です。
ただし、将来的に金利の上昇や、物件価格の高騰により、マイホームの取得時の総支払額が増えるリスクもあります。
まとめ
住宅ローンの団信は、年齢や健康状態に一定の基準が設けられており、それに満たない場合は加入できません。
また、健康状態は告知書で事実をありのままに申告する義務があります。事実と異なる内容を告知すると、万が一の際に保障が受けられずローンの一括返済を求められるかもしれません。
一般団信への加入が難しい場合は「引受条件が緩和されたワイド団信を検討する」「団信の加入が任意であるフラット35を選ぶ」「配偶者を主債務者にする」などの対処法が考えられます。ご自身の状況に合った選択肢を検討してみましょう。
| ・「住宅ローンシミュレーション」に関する記事はこちら 住宅ローンの月々の返済額はどのくらい?【シミュレーション付】 |
この記事のポイント
- 住宅ローンの団信とはなんですか?
団体信用生命保険(以下、団信)は、住宅ローンの契約者が加入する生命保険の一種です。 契約者が亡くなったときや所定の高度障害状態になったとき、保険金によって住宅ローンの残高がすべて返済されます。
詳しくは「住宅ローンの団体信用生命保険(団信)とは?」をご覧ください。
- 団信に入れないのはどんな人ですか?
団信に加入できないのは「年齢」と「健康状態」が一定の基準を満たさない場合です。
詳しくは「住宅ローンの団信に入れない人とは?」をご覧ください。
- 団信の審査方法は?
団信の審査は、申込者が記入する「告知書」にもとづいて行われます。団信に申し込みをする人は、現在の健康状態や過去の病歴について、事実をありのまま申告する義務(告知義務)があります。
詳しくは「住宅ローンの団信の審査方法」をご覧ください。
ライターからのワンポイントアドバイス
住宅ローンの債務者に万が一のことがあったとき、団信の引受保険会社は告知義務違反がなかったか詳細に調査します。事実と異なる内容を告知書に記載しても、保険金の請求時に必ず発覚するため、団信に加入する際は事実をありのままに正確に告知しましょう。

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