ざっくり要約!
- 寝るときの蚊対策は「家に入れない」「入っても活動させない」の2点が原則
- 水辺にない高層階・高気密の住宅を選ぶと蚊の被害を減らせる
夏の夜、ようやくベッドに入ってうとうとし始めた瞬間、耳元で聞こえる「プ~ン」という不快な音。安眠の妨害、かゆみ、腫れ……蚊は多くの人にとって悩みの種なのではないでしょうか。
この記事では、寝るときの厄介な蚊を撃退し、ぐっすり眠るための具体的な対策から、そもそも蚊に悩まされにくい住まい選びのポイントまで、詳しく解説します。
記事サマリー
蚊の習性とは?
効果的な蚊の対策を立てるためには、まず蚊の習性を知ることが大切です。発生時期や種類、血を吸う条件などの生態を理解することで、より的確な対策をしやすくなります。
蚊の発生時期
蚊が活発に活動を始めるのは、気温が15度を超える春先からです。特に気温が25度から30度になる初夏から夏にかけて発生のピークを迎え、秋になり気温が下がるまで活動を続けます。つまり、春から秋までの長い期間、蚊の対策を意識する必要があります。
人の血を吸うのはメスだけ
人の血を吸うのは、産卵を控えたメスの蚊だけです。メスは卵を産むために必要なタンパク質を血液から摂取します。一方、オスの蚊や普段のメスの蚊は、花の蜜や樹液などをエネルギー源としており、人を刺すことはありません。寝るときに私たちを悩ませる蚊は、子孫を残そうとするメスの蚊なのです。
蚊の種類
日本でよく見られる蚊は「アカイエカ」「ヒトスジシマカ」「チカイエカ」の3種類です。特にアカイエカは夕方から夜間にかけて活動が活発になり、夜間に家の中へ侵入して寝ている人を刺す厄介な存在となります。
寝るときに厄介な音の正体
寝るときに耳元で聞こえる「プ~ン」という不快な音の正体は、蚊の羽音です。蚊は人が呼吸する際に出す二酸化炭素や体温、汗のニオイを感知して近づいてきます。顔の周りは二酸化炭素の濃度が高いため、蚊が自然と寄ってきてしまい、結果として耳元で羽音が聞こえやすくなります。
かゆいだけじゃない!蚊に刺されたときの厄介な症状
蚊に刺されるとかゆくなるというイメージが持たれがちですが、蚊に刺される影響はそれだけではありません。蚊はさまざまな感染症を媒介する存在であり、刺された人の健康を脅かすリスクを引き起こします。
日本脳炎
日本脳炎は、日本脳炎ウイルスを持つ「コガタアカイエカ」などに刺されることで感染します。数日の潜伏期間の後に高熱や頭痛、嘔吐などの症状が現れ、重症化すると意識障害やけいれんを引き起こすことも。コダカアカイエカが発生しやすい夏から秋にかけて発症しやすく、年間で10例程度の報告があります。
デング熱
デング熱は、ウイルスを持つ「ネッタイシマカ」「ヒトスジシマカ」などに刺されることで感染します。主な症状は突然の高熱、激しい頭痛、関節痛、発疹などです。近年、海外からの帰国者だけでなく国内での感染例も報告されています。
ウエストナイル熱
ウエストナイル熱は、主に「アカイエカ」などが媒介する感染症です。感染しても約8割は無症状であり、発症すると発熱や頭痛、筋肉痛などが現れるものの、重症化するケースは稀です。ただし、ワクチンで予防することができず、有効な治療方法もないとされています。
アレルギー症状
蚊に刺された際の反応には個人差があります。刺された部分の腫れや水ぶくれ、発熱などをともなう「蚊刺過敏症」と呼ばれる強いアレルギー症状を引き起こす人もいます。このような体質の方は、特に徹底した蚊の対策が求められます。
とくに妊婦・乳幼児・高齢者は注意
特に注意が必要なのは、妊婦や乳幼児、高齢者です。妊婦は体温が高く、呼吸量も多いため、蚊に狙われやすい傾向があります。また、乳幼児や高齢者は免疫力が比較的低く、感染症にかかった際に重症化しやすいリスクを抱えています。ご家族の健康を守るためにも、寝るときの蚊対策は非常に重要です。
寝るときの蚊対策3選
安眠を妨げる蚊の被害を抑えるためには、蚊を家に入れないこと、そして活動させないことの2点が重要です。ここでは、殺虫剤に頼る前に実践したい効果的な3つの対策をご紹介します。
隙間を塞ぐ
最も基本的かつ重要な対策は、蚊を自宅に侵入させないことです。蚊は数ミリの隙間さえあれば簡単に侵入してきます。網戸に破れやほつれはないか、窓サッシとの間に隙間ができていないかを定期的にチェックし、必要であれば補修テープや隙間テープで塞ぎましょう。窓からの侵入経路を塞ぐだけでも、寝るときに蚊と遭遇する確率は劇的に下がります。
エアコンで室温を下げる
蚊の活動を鈍らせるには、室温を低く保つのが効果的です。蚊が最も活発になる気温は25~30度であり、24度以下になると動きが鈍くなります。就寝時にはエアコンを適切に使い、快適かつ蚊が活動しにくい室温に設定することで、安眠しやすい環境をつくれます。
空気の流れをつくる
蚊は飛ぶ力が弱いため、空気の流れがあると人間に近づきにくくなります。そのため、扇風機やサーキュレーターを使い部屋の空気を循環させるのも有効な対策になります。壁に向けて風を送るなどして緩やかな空気の流れを作るだけでも、蚊を遠ざける効果が期待できるでしょう。
殺虫剤はできるだけ避けたい!蚊対策グッズ4選
小さなお子さんやペットがいるご家庭では、殺虫成分の使用はできるだけ避けたいもの。ここでは、体に優しく安心して使える蚊対策グッズを4つご紹介します。
1.吊り下げ式防虫剤
玄関やベランダの物干し竿など、屋外に設置する吊り下げ式の防虫剤は有力な選択肢です。樹脂プレートに練り込まれた薬剤が常温で揮発し、蚊が屋内に侵入するのを防ぐバリアの役割を果たします。屋外に付けるため室内の空気を汚さず、健康への影響も比較的心配が少ない対策グッズといえるでしょう。
2.蚊取り線香
昔ながらの蚊取り線香も、根強い人気を誇る対策グッズです。除虫菊に含まれるピレスロイドという成分が蚊の神経を麻痺させます。最近では煙が少ないタイプや、天然成分で作られた体に優しい製品も登場しており、選択肢が広がっています。
3.ハーブ・アロマ
蚊が嫌う香りを活用するのも、ナチュラルな対策としておすすめです。シトロネラ、レモングラス、ゼラニウム、ラベンダー、タイムなどのハーブやアロマオイルは、蚊を遠ざける効果に期待できます。寝るときにアロマディフューザーで香りを拡散させたり、精製水と混ぜて網戸にスプレーしたりと、手軽に取り入れられるのが魅力です。
4.酢
キッチンにあるお酢も、手軽な蚊対策として試せるアイテムです。水で薄めたお酢をスプレーボトルに入れ、網戸や部屋の隅に吹きかけることで、蚊が寄り付きにくくなるといわれています。化学薬品を使わないため、安心して試せる対策のひとつです。
蚊に悩まされにくい住まいを選ぶポイント

これから住宅の購入や引っ越しを検討しているなら、そもそも蚊に悩まされにくい物件を選ぶという視点も大切です。長期的な快適さを手に入れるために、以下のポイントをチェックしてみてください。
水辺・沼地の近くを避ける
蚊は、わずかな水たまりでも産卵し、繁殖します。公園の池や沼地、河川、水田など、水の多い場所の近くは蚊の発生源となりやすい環境です。特に日本脳炎の感染原因となる「コガタアカイエカ」は、主に水辺で発生するため注意が必要です。物件を探す際には、周辺に蚊が発生しやすい場所がないかどうかも確認することをおすすめします。
マンションの高層階を選ぶ
蚊は高く飛ぶのが苦手で、自力で飛べる高度には限界があります。一般的に、マンションの3階以上になると蚊の侵入は少なくなり、5階以上では大幅に減少するといわれています。ただし、風に乗ったり、エレベーターや人の衣服にくっついて上がってきたりする可能性もゼロではないため、油断は禁物です。
| ・「マンションの階数」に関する記事はこちら マンションで買ってはいけない階はある?おすすめの階や階ごとの違いも紹介 マンションの最上階のメリット・デメリット! 暑い?一つ下がいいって本当? |
高気密の家を選ぶ
近年の住宅は、省エネの観点から高気密・高断熱化が進んでいます。気密性が高い家は、建物の隙間が非常に少ないため、蚊のような小さな虫の侵入経路もおのずと少なくなります。新築やリフォームで高気密住宅を選ぶことは、夏の暑さや冬の寒さ対策だけでなく、効果的な蚊対策にも繋がるのです。
| ・「高気密・高断熱」に関する記事はこちら 高気密・高断熱の家に住む際のポイントは?エアコンの使い方も紹介 |
家の状態もチェック
中古住宅を検討する際は、家の基本的な性能とあわせて設備や建具の状態も細かく確認することが重要です。破れた網戸や歪んだサッシのすき間が、蚊の侵入口になることもあります。内覧の際には窓や玄関周りの状態を念入りにチェックし、不安があれば専門家による建物診断(インスペクション)を実施することも検討しましょう。
| ・「インスペクション」に関する記事はこちら インスペクションとは?メリットや費用、注意点、自治体の補助金を解説 |
まとめ
寝るときの安眠を妨げる蚊への対策は、ひとつだけでなく多角的に行うことが成功の鍵です。まずは蚊の侵入経路となる「隙間を塞ぐ」という基本を徹底しましょう。その上で、エアコンや扇風機を利用して蚊が活動しにくい環境を作り、必要に応じて体に優しい対策グッズを活用するのがおすすめです。
これから住まいを探す方は、蚊の発生源から離れた立地や、気密性の高い家を選ぶことで、長期的な快適さを手に入れやすくなります。ぜひ蚊が寄りつきにくくなる対策を行ない、不快な音やかゆみに悩まされることのない、穏やかな夜と快適な暮らしを実現してください。
この記事のポイント
- 蚊の習性は?
効果的な蚊の対策を立てるためには、まず蚊の習性を知ることが不可欠です。発生時期や種類、血を吸う条件などの生態を理解することで、より的確な対策をしやすくなります。
詳しくは「蚊の習性とは?」をご覧ください。
- 寝る時にできる蚊の対策を教えてください。
安眠を妨げる蚊の被害を抑えるためには、蚊を家に入れないこと、そして活動させないことの2点が重要です。
詳しくは「寝るときの蚊対策3選」をご覧ください。
- 殺虫剤以外の蚊の対策グッズはありますか?
小さなお子さんやペットがいるご家庭では、殺虫成分の使用はできるだけ避けたいもの。
「殺虫剤はできるだけ避けたい!蚊対策グッズ4選」では、体に優しく安心して使える蚊対策グッズを4つご紹介します。
ライターからのワンポイントアドバイス
蚊は人の体から発生するニオイや二酸化炭素だけでなく、体に常駐する「常在菌」に反応するといわれています。蚊が反応しやすい常在菌は特に足の裏に多いといわれており、足首から先を清潔にするだけで蚊に刺されにくくなる可能性があります。もし虫刺されの多さに悩むようなら、足の裏をアルコール除菌したり、小まめに靴下を交換したりするだけで、虫刺されの回数を減らせるでしょう。

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