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空き家を手放したいなら早くすべき!5つの処分方法と注意点

執筆者プロフィール

竹内 英二
不動産鑑定士

不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、住宅ローンアドバイザー、中小企業診断士の資格を保有。
https://grow-profit.net/

ざっくり要約!

  • 空き家は資産価値が年々下がっていくにも関わらず、維持費はほとんど変わらないため、放置するほど経済的なデメリットが増加
  • 管理不全空き家に指定され、その後に行政から勧告を受けると土地の固定資産税が上がることがある

全国で空き家が増える中、空き家の処分に悩んでいる人もいらっしゃると思います。
放置されている空き家は、田舎だけでなく、都市部にも増えてきていることから社会問題にもなっています。

国も空き家問題に対して強い姿勢で臨んでおり、2023年6月に空き家特別措置法も改正されました。
従来の特定空き家制度に加え、管理不全空き家制度も創設されたことから、空き家を放置すると以前よりも固定資産税が上がりやすくなってきました。

手放したい空き家はどのように処分すればよいのでしょうか。
この記事では、「手放したい空き家」について解説します。

手放したい空き家があるなら早く処分すべき3つの理由

手放したい空き家があるなら早く処分すべき3つの理由

不要な空き家を所有している人は、早めに処分することを検討した方がよいといえます。
最初に、空き家を放置してはいけない理由について解説します。

毎年固定資産税が発生し負担になる

空き家は保有しているだけでも、毎年固定資産税が発生します。

市街化区域内に空き家を保有している人に対しては、都市計画税も毎年課税されます。

市街化区域とは、すでに市街地を形成している区域や概ね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域のことです。

固定資産税や都市計画税は、固定資産税評価額を元に算出されますが、古い空き家の固定資産税評価額はほとんど下がらず、固定資産税等はほぼ一定額となっています。

一方で、空き家は築年数が古くなるほど価値が落ちることが一般的です。

資産価値は年々下がっていくにも関わらず、維持費はほとんど変わらないため、放置するほど経済的なデメリットは増加していきます。

近隣トラブルにつながる可能性がある

空き家を放置すると、近隣トラブルを発生させる原因となります。
空き家の近隣トラブルには、以下のようなものが挙げられます。

【空き家の近隣トラブル】

  • 地域景観の悪化
  • 害虫の発生、野良猫・野良犬等の集中、不法投棄による生活環境の悪化
  • 雑草の繁茂、落ち葉の飛散、植栽の越境
  • 建物や塀等の崩壊、屋根材・外壁材等の飛散・落下
  • 隣接地への草の侵入や樹枝の越境
  • 火災の発生
  • 犯罪の発生・誘発
  • 不審者の不法滞在
  • 郵便受け(ポスト)の悪用

空き家の所有者には、民法上、工作物責任が課されています。

例えば、空き家が崩壊し、他人にケガ等をさせた場合には、空き家所有者は損害賠償責任を負う可能性があります。

物件を放置すると特定空き家に指定される可能性がある

空家等対策特別措置法は、2023年6月に大幅な改正が行われ、新たに管理不全空き家と呼ばれる制度が創設されました。

管理不全空き家とは、放置すれば「特定空き家」になる恐れのある空き家のことです。

特定空き家とは、放置すれば倒壊等著しく保安上危険となる恐れのある状態等の一定の要件を満たす空き家のことを指します。

つまり、管理不全空き家とは、特定空き家に指定される前の段階にある空き家ということです。

管理不全空き家に指定され、その後に行政から勧告を受けると土地の固定資産税が上がる措置があります。

固定資産税が上がる理由は、土地に適用されている住宅用地の軽減措置が解除されるからです。

住宅用地の軽減措置とは、土地の上に住宅が建っている場合、土地の固定資産税が安くなる制度になります。

住宅用地の軽減措置における住宅は人の住んでいない空き家も対象でしたが、住宅用地の軽減措置が存在するためにかえって空き家の解体が進まないという弊害がありました。

そこで空家等対策特別措置法では、土地の上に住宅が建っていても、管理が不十分な空き家である場合には住宅用地の軽減措置を解除する仕組みになっているのです。

管理不全空き家の制度ができたことにより、今後は早い段階で空き家を処分することが所有者に求められるようになっています。

出典:管理不全空家等及び特定空家等に対する措置に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)|国土交通省

手放したい空き家の処分方法5選

手放したい空き家の処分方法5選

空き家を手放す方法にはいくつかあります。
この章では、空き家を処分する方法について解説します。

1.不動産会社の仲介で売却する

空き家の処分で最初に試みるべき方法は、仲介による売却です。
仲介とは不動産会社のあっせんを通じて買主に売却する方法のことで、いわゆる普通の売却のことを指します。

仲介は売却までに時間がかかるというデメリットがありますが、市場価格で高く売れるという点がメリットです。

仲介で売るには、不動産会社に対して査定を依頼することから始めます。
不動産会社に依頼する査定は、無料です。

不動産会社の査定で何らかの値段が付くということは、とりあえず売れる可能性が十分にあるという意味です。

本当に売れない不動産であれば、査定で値段を付けることはできません。
本当に売れない不動産というのは滅多にないため、ほとんどの場合、何らかの値段が付くことが多いです。

価格査定の結果、値段が付くようであれば、仲介で売ることをおすすめします。

なお、空き家を仲介で売るには、家財道具は処分しておくことが必要です。

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2.不動産会社に買取を依頼する

買取とは、再販を目的とした不動産会社に下取り価格で売る方法のことです。

買取は、売却価格が安くなるというデメリットがある一方で、早く売れるというメリットがあります。

また、買取は家財道具が残ったままの状態でも買い取ってくれる会社が多いです。

ただし、買取でも断られてしまう物件は存在します。

例えば、土地価格が空き家の解体費用を下回っている物件は、買取を断られてしまうことがほとんどです。

古い空き家の買取では、不動産会社は買い取った後に空き家を壊して更地にしてから転売することが多いため、転売益の確保できない物件は対象外となります。

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3.相続土地国庫帰属制度を利用する

不要な土地を手放す方法として、相続土地国庫帰属制度があります。

相続土地国庫帰属制度とは、相続で得た不要な土地を国に寄付することができる制度のことです。

相続土地国庫帰属制度では、相続で得た土地のうち、一定の要件を満たす土地を国に渡すことができます。

建物等が建っている土地は対象外であるため、相続土地国庫帰属制度を利用するには空き家を取り壊すことが必要です。

相続土地国庫帰属制度を利用するには土地1筆(ふで:土地の単位のこと)あたり1.4万円の審査手数料を納付する必要があります。

また、承認された後は10年分の土地管理費相当額の負担金を納付する必要があり、負担金の基本額は1筆ごとに20万円となっています。

出典:相続土地国庫帰属制度について|法務省

4.空き家バンクに登録する

空き家バンクとは、自治体が運営している空き家の照会サイトのことです。
空き家バンクでは、空き家の所有者と買主または借主をマッチングし、空き家利用の促進を図る役割を果たしています。

空き家バンクは、例えば家財道具が残っていて不動産会社に仲介を断られたような物件でも登録することができます。

出典:空き家・空き地バンク総合情報ページ|国土交通省

5.解体する

空き家は、解体することも適切な処分方法の一つです。
空き家を解体して更地にすれば、仲介や買取で売却できる確率が大幅にアップします。

ただし、空き家を取り壊せば住宅用地の軽減措置が解除されます。

住宅用地の判断は1月1日時点で行われますので、1月2日以降に取り壊し、年内に売却すれば固定資産税が上がらないまま売却することができます。

空き家を相続放棄で手放したい人が知っておくべき注意点

空き家を相続放棄で手放したい人が知っておくべき注意点

この章では、空き家を相続放棄で手放したい人が知っておくべき注意点を解説します。

遺産総額を調査する

相続放棄を選択する前に、まずは遺産総額について調べましょう。

そもそも相続放棄とは、はじめから相続人でなかったものとみなされる制度のことです。
相続放棄を選択すると全ての財産を相続できなくなるため、例えば親が莫大な借金を残しているようなケースで利用されます。

相続放棄では、不要な空き家だけを放棄することはできません。

相続放棄を検討する際は、大きな借金がないか等の親の遺産内容をきちんと把握したうえで選択することが適切です。

相続放棄しても管理責任がある

相続人の全員が相続放棄をし、財産を誰も引き継ぐ人がいなくなった場合には、相続財産清算人の選任を家庭裁判所に申し立てる必要があります。

相続財産清算人とは、被相続人(死亡した人)の債務を支払う等の清算を行い、清算後に残った財産を国庫に帰属させる人のことです。

相続放棄をした人でも、現に財産を占有している人は相続財産清算人に引き渡すまでは財産の管理責任があります。

相続発生から3カ月以内に申請する

相続放棄を利用するには、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3カ月以内に家庭裁判所に申述することが必要です。

3カ月以内に単純承認とみなされる行為をしてしまうと、相続放棄ができなくなります。

単純承認とは被相続人の権利義務を承継することであり、例えば相続財産の一部を売却する等の行為が単純承認したものに該当します。

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手放したい空き家を処分する際のポイント

手放したい空き家を処分する際のポイント

空き家を処分する際は、いくつかの注意点があります。
この章では、空き家を処分するときのポイントを解説します。

空き家を扱った実績が豊富な不動産を選ぶ

査定を依頼する会社は、空き家の実績が豊富な不動産を選ぶことが適切です。
空き家が得意な不動産会社は、空き家に注力していることをホームページでアピールしています。

複数の不動産会社に相談する

査定は、複数の不動産会社に相談することが適切です。

処分の難しい空き家は、不動産会社によって意見が分かれるため、1社だけの意見で諦めず他社の意見も聞いた方がよいといえます。

自己判断でリフォームしない

査定を依頼する前に、自己判断でリフォームはしないことが適切です。

売れるようにリフォームすることは非常に難しく、下手にリフォームしてもリフォーム費用が無駄になってしまう恐れがあります。

とりあえず現状のまま査定を依頼し、リフォームの必要性を含めて不動産会社に相談することをおすすめします。

この記事のポイント

手放したい空き家があるなら早く処分すべき?

不要な空き家を所有している人は、早めに処分することを検討した方がよいといえます。

空き家は保有しているだけでも、毎年固定資産税が発生します。また、市街化区域内に空き家を保有している人に対しては、都市計画税も毎年課税されます。

詳しくは「手放したい空き家があるなら早く処分すべき3つの理由」をご覧ください。

手放したい空き家の処分方法は?

手放したい空き家がある場合、不動産会社の仲介で売却する、不動産会社に買取を依頼する、相続土地国庫帰属制度を利用する、空き家バンクに登録する、解体するといった処分方法があります。

詳しくは「手放したい空き家の処分方法5選」をご覧ください。

ライターからのワンポイントアドバイス

空き家を処分するなら、とりあえず不動産会社に査定を依頼し、まずは不動産会社の意見を聞いてみることがよいといえます。買取や相続土地国庫帰属制度の利用、空き家バンクの登録といったことは、その次の手段です。
無料査定で売れないと言われた場合、何が原因で売れないかを教えてもらい、理由が判明した段階で次の対策を取るべきといえます。不動産会社の査定は無料ですので、上手に活用して頂ければと思います。

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