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マーケットレポート2025, 11

2025年11月16日時点公表分
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レインズの中古マンション流通データの活用方法①

(公財)東日本不動産流通機構は10日、2025年9月の首都圏不動産流通市場動向を公表しました。9月の首都圏中古マンション成約件数は4,475件となり、前年同月比で+46.9%と、11か月連続の増加となりました。今回は、不動産投資を行う上で重要な指標の一つである東日本レインズの中古マンションデータについてお伝えします。

目次
「ステータス管理」登録義務化は市場透明化へのステップ?
レインズへの登録とは?
中古マンションと中古戸建の流動性の違い

「ステータス管理」登録義務化は市場透明化へのステップ?

2025年1月より、国土交通省は全国4つの指定流通機構が運営するレインズにおいて、物件の取引状況を示す「ステータス管理」への登録を義務化しました。
ステータス管理機能とは、売り出し中の物件について、その取引状況(公開中・契約中・成約済みなど)を登録・更新する機能です。
今回の義務化の背景には、不動産仲介業者による「囲い込み」行為の問題があります。たとえば、売主・買主の双方を自社で仲介する目的で、実際には販売可能な物件であるにもかかわらず、レインズ上では「売主都合で一時紹介停止中」などと虚偽の登録を行い、他社に紹介させないといった事例が横行していました。
こうした状況を是正するため、今回は登録義務化と罰則の導入に加え、売主自身が自分の物件の取引状況を確認できるシステムも導入されました。これにより、成約済みや契約中の情報がより迅速に反映され、レインズデータの鮮度と信頼性が向上しています。今後も、こうした情報の透明化に向けた取り組みが一層進むとみられます。

レインズへの登録とは?

レインズとは、「Real Estate Information Network System(不動産流通標準情報システム)」の頭文字を取った名称で、不動産業者間で物件情報を共有・交換するためのコンピュータネットワークシステムです。国土交通大臣の指定を受けた指定流通機構が運営しており、不動産取引を円滑に進めるための重要なインフラとなっています。
宅地や建物の媒介契約には、「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3種類があります。このうち、専属専任媒介契約または専任媒介契約を締結した場合には、宅地建物取引業法により、宅建業者に対して売り出し物件のレインズへの登録、売主への登録証明書の交付、定期的な業務報告などが義務付けられています。
つまり、全ての取引データがレインズに反映されているわけではありません。前述のとおり、レインズに登録された9月の首都圏中古マンション成約件数は4,475件でしたが、レインズ外で取引された事例も一定数存在します。とはいえ、不動産市況を把握する上で、レインズの中古マンションデータは依然として最も重要な指標の一つであると言えます。
次に、戸建市場との違いを見ながら、その理由を詳しく解説していきます。

中古マンションと中古戸建の流動性の違い

中古戸建は個別性が高く、土地の形状や建物の状態によって価格が大きく異なるため、流通データが少なく、地域差も大きいのが特徴です。
一方で、中古マンションは戸建ほど個別性が高くないため、流動性が高く、市場規模も大きい傾向にあります。

人口動態と基準地価変動率の散布図
レインズへの登録とは?|グラフ レインズへの登録とは?|グラフ
(東日本レインズ より作成)

中古マンションと中古戸建のデータを比較すると、中古マンションの方が母数が多いことがわかります。年間では3万〜4万件の中古マンション成約データがあり、取引量の多さが際立っています。さらに、中古マンションは価格のばらつきが小さく、価格動向やトレンドを把握しやすい点も特徴です。
中古マンション市場の透明化は、今後ますます進むことが期待されます。公表データを活用して不動産市況のトレンドを追うことは、不動産投資家にとってますます重要になるでしょう。次回は、中古マンションデータからどのような指標をチェックすべきか、その具体的な分析方法について解説します。

ご留意事項
不動産投資はリスク(不確実性)を含む商品であり、投資元本が保証されているものではなく、元本を上回る損失が発生する可能性がございます。
本マーケットレポート に掲載されている指標(例:利回り、賃料、不動産価格、REIT指数、金利など)は、
不動産市場や金融市場の影響を受ける変動リスクを含むものであり、これらの変動が原因で損失が生じる恐れがあります。
投資をする際はお客様ご自身でご判断ください。当社は一切の責任を負いません。
本マーケットレポートに掲載されている情報は、2025年11月16日時点公表分です。
各指標は今後更新される予定があります。
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