居住用財産の譲渡所得の特例(譲渡益の発生)

居住用財産を譲渡した場合には、新たに居住用財産を取得しなければならないため、その譲渡代金について、自由に処分することはできません。したがって、居住用財産の譲渡による所得は担税力がないため、課税を緩和する様々な特例が用意されています。
譲渡益課税に対する特例としては、(1)3,000万円特別控除、(2)居住用財産の買換え、(3)軽減税率があります。これらの特例は、原則として居住用財産の譲渡につき1つしか適用できませんが、例外として(1)と(3)の重複適用だけが認められています。

chapter 1居住用財産の範囲

居住用財産の譲渡については各種の特例が設けられていますが、税法上の居住用財産とは次の範囲の財産になります。

所有者が自己の生活の拠点として利用している家屋をいい、一時的な目的で入居した家屋は認められません。
生活の拠点が一時的な利用かどうかの判定は、その人や配偶者、家族等の日常生活の状況、入居目的、構造、設備等を総合的に勘案して判断します。したがって、単に住民票があるからといって、即居住用財産であると判断することはできません。

chapter 2居住用財産の譲渡の範囲

居住用財産の譲渡とは、次の5つをいいます。

  • ① 現に居住の用に供している家屋の譲渡
  • ② 現に居住の用に供している家屋と共に譲渡する敷地等の譲渡
  • ③ 居住の用に供さなくなった家屋の譲渡
  • ④ 居住の用に供さなくなった家屋と共に譲渡する敷地等の譲渡
  • ⑤ 災害により滅失した家屋の敷地等の譲渡

※上記③から⑤の譲渡については、居住の用に供さなくなった日又は災害があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの譲渡に限ります。

【図解】居住用財産の譲渡の範囲

居住用財産の3,000万円特別控除(課税の免除制度)

chapter 1適用要件

  • ① 居住用財産の譲渡であること
  • ② 前年、前々年において居住用財産の特例の適用を受けていないこと
  • ③ この譲渡について他の居住用財産の特例(軽減税率は除く)の適用を受けていないこと
  • ④ 一定の特別関係者への譲渡でないこと

chapter 2取扱い

譲渡益から3,000万円を控除(譲渡益を限度とします。)

軽減税率の特例(課税の免除制度)

chapter 1適用要件

  • ① 譲渡した年の1月1日において土地も建物も所有期間10年を超える居住用財産を譲渡していること
  • ② 前年、前々年において居住用財産の特例の適用を受けていないこと
  • ③ この譲渡について他の居住用財産の特例(3,000万円控除を除く)の適用を受けていないこと
  • ④ 一定の特別関係者への譲渡でないこと

chapter 2取扱い

特定の居住用財産の買換え特例(課税の繰延べ制度)
(平成27年12月31日までの譲渡)

chapter 1適用要件

  • ① 譲渡した年の1月1日において土地も建物も所有期間が10年を超える居住用財産を譲渡していること
  • ② 居住用財産を10年以上、居住の用に供していること
  • ③ 一定の期間内に一定の買換え資産を取得し、一定期間内に居住すること
  • ④ 前年、前々年において居住用特例の適用を受けていないこと
  • ⑤ この譲渡について他の居住用財産の特例の適用を受けていないこと
  • ⑥ 譲渡資産の譲渡に係る対価の額が1億円以下であること
  • ⑦ 一定の特別関係者への譲渡でないこと

chapter 2買換資産の範囲

区分 要件
取得期間 譲渡年の前年1月1日から譲渡年の翌年12月31日まで
居住期間 買換え資産を取得した日から譲渡年の翌年12月31日(譲渡年の翌年に取得したときは、譲渡年の翌々年12月31日)
床面積 家屋の床面積50m²以上(登記簿面積)、かつ、土地の面積500m²以下
築年数等 中古のマンション等の耐火建築物は新築後25年以内のもの又は新耐震基準に適合していることが証明されたものや、既存住宅売買瑕疵保険に加入している一定のものであること。(木造は制限なし)

chapter 3取扱い

【図解】居住用財産の譲渡の範囲

居住用財産の譲渡の範囲

一定の特別関係者

次に掲げるものに対する譲渡は居住用財産の特例の対象とはなりません。

1.生計一親族等、2.同族会社

【生計一の判定】

  • ① 親族が同一の家屋に起居している場合には、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、これらの親族は生計を一にするものとする。
  • ② 勤務、修学、療養等の都合上他の親族と日常の起居を共にしていない親族がいる場合であっても、次に掲げる場合に該当するときは、これらの親族は生計を一にするものとする。
  • イ 当該他の親族と日常の起居を共にしていない親族が、勤務、修学等の余暇には当該他の親族のもとで起居を共にすることを常例としている場合
  • ロ これらの親族間において、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合

所有期間と特例の適用関係