ざっくり要約!
- 外国人の不動産購入は可能だが、手続きや必要書類、住宅ローンの審査基準など仕組みが異なる部分がある
- 日本に住んでいない外国人が日本の不動産を購入する場合、売買契約代理人などを設定しておくことで、円滑に手続きを進められる
日本の不動産を購入したいと考えている外国人のなかには「日本で不動産を購入できるのだろうか」と疑問に思う方もいるでしょう。
実際のところ、日本では外国人であっても不動産購入は可能です。国籍や在留資格の有無にかかわらず、土地や建物を所有することが認められています。ただし、日本人が不動産を購入する場合と比べて、手続きの進め方や必要書類、住宅ローンの審査基準など仕組みが異なる部分があります。
この記事では、外国人が日本の不動産を購入する際に知っておきたい基本的なルールや費用、必要書類、購入までの流れについてわかりやすく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
記事サマリー
外国人が不動産を購入する際に知っておくべき基本事項

ここでは、外国人が日本の不動産を購入する際に理解しておきたい基本事項を、4つに分けて説明していきます。
外国人による日本の不動産購入は基本的に規制なし
日本では、外国人による不動産購入に特別な制限や規制は設けられていません。
国籍や永住権の有無、ビザの種類にかかわらず、日本人と同様に土地や建物の所有権を取得することが可能です。
このように、外国人が日本で不動産を購入する場合、法律上のハードルはほとんどありません。加えて、近年は円安の影響もあり、住居だけでなく投資を目的に日本の物件を取得する外国人も多くなっています。
ただし、外国人であっても不動産を取得した場合は、所有者として「固定資産税」や「不動産取得税」など、日本人と同様の税金を納める必要があります。
日本では不動産会社が仲介に入ることが一般的
日本における不動産取引は、新築マンションなどの一部の物件を除き、不動産会社が仲介に入るケースが一般的です。売主と買主が直接やり取りを行う個人間取引は少なく、ほとんどのケースで専門の不動産会社を通じて契約や手続きが進められます。
そのため、外国人が不動産を購入する場合、契約内容や法律用語などの理解に言語の壁が生じやすいため、外国人対応に慣れた不動産会社を選ぶことが重要です。とくに英語や中国語などの説明に対応している会社であれば、安心して取引を進められるでしょう。
日本での不動産の探し方
日本では、諸外国のように全国の物件情報や取引履歴が管理されているデータベースは存在しません。そのため、売り出されている物件情報は、主に以下の方法で探すことになります。
- 民間の不動産ポータルサイトやインターネット検索で探す
- 不動産会社を通じて紹介を受ける
- 知人や関係者を通じて物件を紹介してもらう
ポータルサイトやインターネット検索を利用すれば、日本に居住していなくても物件情報を確認することができます。ただし、外国語で情報を発信しているサイトは限られている点に注意が必要です。
また、日本に住んでいる場合は、地元の不動産会社のなかで英語などの外国語対応が可能な会社を見つけると、スムーズに取引を進められるでしょう。
住宅ローンは定住性が重視される
外国人でも日本の金融機関で住宅ローンを利用することは可能です。
ただし、金融機関は返済能力だけでなく、永住権の有無や日本での居住期間、勤続年数など「定住性」も重視して審査を行います。
そのため、中長期の滞在が可能なビザや在留資格を持たない場合は、ローン審査を通過するのは難しくなるでしょう。
もし日本の金融機関で融資が難しい場合は、次のような方法を検討することもできます。
- 母国の銀行を利用する
- 永住権のない外国人向けローンを扱う民間金融機関を利用する
- 外資系銀行の日本支店を活用する
- 日本人や永住権を取得している配偶者に保証人になってもらう
永住権がない場合は審査のハードルが上がりますが、これらの方法を活用すれば、条件によっては住宅ローンを受けられる可能性もあります。
外国人が日本で不動産を購入する場合の費用

日本の不動産を購入する際は、物件そのものの価格だけでなく、契約や登記などに関わるさまざまな費用が発生します。これらの費用をあらかじめ把握しておくことで、購入後の資金計画を立てやすくなるでしょう。
ここでは、外国人が日本で不動産を購入する際に必要となる主な費用を、3つのタイミングに分けて解説します。
| ・「住宅購入にかかる諸費用」に関する記事はこちら 住宅購入にかかる諸費用ってどのぐらい? |
売買契約・ローン申し込み時
不動産会社を通じて物件を購入する際は、売買契約の締結時にいくつかの費用が発生します。以下が売買契約時に必要となる費用になります。
| 項目 | 概要 |
|---|---|
| 仲介手数料 | 不動産会社に支払う手数料(契約時に手数料の半金を支払うのが一般的) |
| 印紙代 | 売買契約書に貼付する収入印紙の費用 |
| 手付金 | 売買契約を締結する際に売主に預ける資金 売買価格の10~20%程度が相場 |
仲介手数料の上限は「取引価格×3%+6万円」(消費税別)と定められています。
たとえば4,000万円超の物件であれば、126万円 (消費税別)が上限になります。契約時に手数料の半金を支払い、残代金決済時に残額のを支払うのが一般的な流れとなります。
また、上記に加えて住宅ローンを利用する場合は、追加で以下の費用も必要です。
| 項目 | 概要 |
|---|---|
| ローン保証料 | 返済不能時に備えて保証会社に支払う費用 |
| 印紙代 | 金銭消費貸借契約書に貼付する収入印紙の費用 |
| 事務手数料 | 金融機関に支払うローン手続きの事務費用 |
| 団体信用生命保険 | 債務者が死亡または高度障害等になった際にローン残高を弁済する保険(金利に含まれている場合もある) |
これらの費用は契約や融資の条件によって異なるため、事前に不動産会社や金融機関に確認しておくと安心です。
| ・「団体信用生命保険」に関する記事にこちら 団信とは?住宅ローンとの関係や仕組みをわかりやすく解説 |
残代金決済時
次に残代金を決済する際に必要となる費用をみていきましょう。
主な費用は以下のとおりです。
| 項目 | 概要 |
|---|---|
| 残代金 | 手付金を差し引いた残りの購入金額 |
| 固定資産税・都市計画税 | 売主と買主の引き渡し日を基準に日割りで清算する |
| 管理費や修繕積立金の清算金 | マンションの場合、管理組合に支払う費用を引き渡し日に合わせて日割りで清算する |
| 残りの仲介手数料 | 契約時に一部を支払っている場合、残りの仲介手数料を支払う |
| 登録免許税 | 所有権移転登記や抵当権設定登記を行う際に必要な税金 |
| 司法書士報酬 | 登記手続きを司法書士に依頼する場合の報酬費用 |
なお、消費税の取扱いは少し複雑になります。
まず、土地の購入については非課税となるため、土地部分には消費税はかかりません。一方で、建物部分には原則として消費税が課されることになります。
ただし、売主が課税事業者でない場合(たとえば個人が売主の場合)には、建物部分であっても消費税は課税されません。
| ・「所有権移転」に関する記事はこちら 所有権移転登記は自分でできるのか?費用、必要書類や手続きの流れを解説 ・「抵当権設定」に関する記事はこちら 抵当権設定費用はいくらかかる? 住宅ローンを利用する前にチェックしておこう |
不動産購入後
不動産の購入後も、所有や維持に関する費用が継続して発生します。購入時の支払いだけでなく、購入後に必要となる費用についてもあらかじめ把握しておくことが大切です。
主な費用は以下のとおりです。
| 項目 | 概要 |
|---|---|
| 不動産取得税 | 土地や建物を取得した際に課税される税金 |
| 固定資産税・都市計画税 | 不動産の所有者に毎年課税される税金 |
| 管理費・修繕積立金 | マンションなどの場合、共用部分の維持や修繕のために毎月支払う費用 |
| 引越し費用 | 家財の搬入や引越し作業にかかる費用 |
このように、不動産購入後も税金や維持費などの支払いが継続的に発生します。
特にマンションを所有する場合は、毎月の管理費や修繕積立金の負担を考慮し、長期的な資金計画を立てておくことが重要です。
| ・「新築住宅の固定資産税」に関する記事はこちら 新築住宅の固定資産税とは?相場や計算方法、減税について解説 ・「不動産取得税」に関する記事はこちら 不動産取得税はいくらかかる?計算方法や軽減措置についても解説! |
外国人が日本の不動産購入で必要な書類

外国人が日本の不動産を購入する際に必要となる書類は、日本に住んでいるかどうか、在留資格を持っているかどうかによって異なります。ここでは、それぞれのケースに分けて、必要な書類について詳しく解説します。
日本に住んでいる・在留資格あり
在留資格を持つ外国人が日本で不動産を購入する場合、主に以下の書類が必要となります。
- 住民票
- 在留カードまたは特別永住者証明書
- 本人確認書類(運転免許証、パスポートなど)
- ローンを利用する場合は印鑑、印鑑証明書
これらの書類は、売買契約の締結や住宅ローンの申請時に必要となるため、早めに準備しておくと安心です。特に印鑑証明書や収入証明書は発行までに時間がかかる場合もあるため、スケジュールに余裕をもって準備しておきましょう。
日本に住んでいない・在留資格なし
日本に住んでいない、または在留資格を持っていない方は、住民票や印鑑証明書を取得することができません。その場合は代わりに宣誓供述書を提出する必要があります。
「宣誓供述書」とは、公証人の前で記載内容が真実であると宣誓し、公証人から認定を受けた書類のことです。
この書類は、日本国内の大使館や領事館で認証を受けられる場合もあります。ただし、国や地域によっては対応していないケースもあるため、事前に確認しておく必要があります。
もし日本で認証を受けられない場合は、自国または居住国で用意を済ませておきましょう。
外国人が日本の不動産を購入する際に必要な代理人・連絡先

日本に住んでいない外国人が日本の不動産を購入する場合、以下の代理人や連絡先を設定しておくことで、円滑に手続きを進められます。
- 売買契約代理人
- 残代金決済代理人
- 納税管理人
- 国内の連絡先
ここでは、それぞれの代理人や連絡先の役割について詳しく解説します。
売買契約代理人
海外に居住している外国人が日本の不動産を購入する場合、現地で契約を行うのは容易ではありません。日本の契約手続きでは、書類への署名や捺印、重要事項の説明など、対面でのやり取りが求められる場面も多いです。
そのため、売買契約代理人を選任しておくと、スムーズに取引を進められます。
売買契約代理人とは、依頼者に代わって重要事項説明を受け、売買契約書に署名・捺印を行う人のことです。
売買契約代理人の基本的な役割は以下のとおりです。
- 買い手の代わりに契約条件などの調整を行う
- 契約書・重要事項説明書などへの署名・捺印
- 物件の鍵の受け取りや引き渡し対応
売買契約代理人には、不動産会社の担当者や信頼できる日本在住の知人などを選任するケースが一般的です。
残代金決済代理人
不動産取引では、契約時に手付金を支払い、残りの金額を決済して物件の引き渡しを受けます。しかし、海外在住の外国人が日本で残代金を直接支払うことは現実的に難しいでしょう。
その際に重要な役割を果たすのが「残代金決済代理人」です。
残代金決済代理人は、日本の銀行口座を持たない買い手の代わりに送金を受け取り、売主や不動産会社へ資金を届ける役割を担います。
特に国際送金や登記に関わる手続きを伴う場合には、国際取引に精通した専門家を代理人に選任することが望ましいでしょう。なかでも、購入後の不動産登記手続きまで一貫して任せられる司法書士を選ぶケースが多いようです。
納税管理人
不動産を購入したあとは、税金の管理や申告手続きが必要です。日本に住んでいない外国人が不動産を所有する場合、自ら納税手続きを行うことが難しいため、納税管理人を選任する必要があります。
納税管理人とは、不動産取得税や固定資産税など、不動産購入後に発生する税金の手続きを所有者に代わって行う人のことです。
納税通知の受け取りから納付までを代理で対応するため、税務処理を円滑に進めるうえで欠かせない存在です。
一般的には、税務の専門知識を持つ税理士が選ばれることが多いですが、不動産会社の担当者や信頼できる日本在住の知人を指定するケースもあります。
国内の連絡先
2024年4月からの法改正により、日本国内に住所を持たない外国人や、外国法人が不動産を所有する場合、登記手続きの際に「国内連絡先」の記載を求められるようになりました。
国内連絡先を登記しておくことで、税金に関する通知だけでなく、その他の連絡や登記上の確認などについても連絡できるようになります。
指定できる連絡先としては、日本に住む親族や知人のほか、不動産会社、司法書士、税理士などの専門家も対象となります。
外国人が日本の不動産を購入する主な流れ

日本で不動産を購入する際は以下の流れで進めていくことになります。
- 不動産を探して内見する
- 重要事項の説明を受けて売買契約を締結、手付金を払う
- 決済・登記する
- 必要に応じて外為法に基づく届け出を行う
各ステップの大まかな流れを順にみていきましょう。
| ・「マイホーム購入マニュアル」に関する記事はこちら 【マイホーム購入マニュアル】流れ・費用・物件の選び方を完全ガイド |
1.不動産を探して内見する
不動産を購入する際は、まず希望に合った物件を探すことから始まります。
不動産仲介会社に相談したり、インターネットの不動産情報サイトで検索したりして、条件に合う物件を絞り込みましょう。気になる物件が見つかったら、その物件を仲介している不動産会社に連絡を取り、見学の希望を伝えます。
海外在住の場合は、来日スケジュールを調整し、現地での内見日時をあらかじめ決めておくと安心です。
内見時には、次のようなポイントを確認しておきましょう。
- 物件の管理状態
- 設備の動作状況
- 周辺の生活環境や利便性
- 最寄り駅までの距離や交通アクセス
- 日当たり
これらを事前にチェックしておくことで、購入後のトラブルや失敗を避けることができます。
| ・「内見」に関する記事はこちら 内見とは?内覧との違いや持ち物・流れ・確認することを解説 |
2.重要事項の説明を受けて売買契約を締結、手付金を払う
購入する物件が決まれば、代金の支払い方法を不動産会社と調整します。加えて住宅ローンを利用する場合は、金融機関へのローン申し込みが必要となります。
ローンの種類や金融機関によって融資条件が異なるため、複数の金融機関を比較検討しておくとよいでしょう。
その後、物件の概要や権利関係、契約内容などが記載された重要事項の説明を受けます。売買契約代理人を選任している場合は、不動産会社が代理人に説明を行い、代理人が外国人の買い手へ内容を報告します。
説明内容を確認したうえで、売買契約書を締結し、手付金を支払います。
手付金は契約の成立を示す保証金のようなもので、契約後に購入者の都合でキャンセルした場合は返金されません。また、手付解除の期間を過ぎてから契約を取り消す場合には、手付金の放棄に加えて、違約金を求められる可能性があるため注意が必要です。
| ・「不動産売買の手付金」に関する記事はこちら 不動産売買の手付金とは?相場や役割、支払い方法を解説 |
3.決済・登記する
決済日までに、司法書士が住民票・在留カード・パスポートなどを確認します。海外に住んでいて住民票を発行できない場合は、宣誓供述書を使って本人確認を行うことも可能です。
確認が済めば、司法書士が所有権移転登記を申請し、登記が完了すれば正式に所有権が移転します。
なお、住宅ローンを利用する場合は、金融機関が貸付金の担保として抵当権を設定することになります。
| ・「不動産登記の内容が記載された登記事項証明書」に関する記事はこちら 登記事項証明書とは?必要となるケースや証明書の種類、取得方法を解説 |
4.必要に応じて外為法に基づく届け出を行う
海外在住の外国人が日本の不動産を購入する場合、外国為替及び外国貿易法(外為法)に基づき、財務大臣への届け出が必要となるケースがあります。届け出は、購入日から20日以内に行うことが定められています。
ただし、以下のような目的で不動産を取得する場合は届け出の対象外です。
- 本人や親族、従業員の居住用
- 非営利活動のための利用
- 事務所としての利用
一方で、事業用や投資目的で不動産を取得する場合は届け出が必要となるため、購入前に外為法の対象となるかきちんと確認しておきましょう。
まとめ
日本では、国籍や在留資格の有無にかかわらず、土地や建物の所有が認められており、外国人であっても日本人と同じように取引を行うことが可能です。
在留資格を持つ外国人が日本で不動産を購入する場合は、住民票・在留カード・本人確認書類などを準備する必要があります。一方で、日本に住んでいない、または在留資格を持たない場合には、代わりに宣誓供述書を提出して本人確認を行うことが一般的です。
また、海外在住の方が日本で不動産を購入する場合、代理人の選任が不可欠となります。信頼できる代理人を選ぶことが、安心して不動産を購入するための第一歩となるでしょう。
この記事のポイント
- 外国人の不動産購入に規制はある?
日本では、外国人による不動産購入に特別な制限や規制は設けられていません。
国籍や永住権の有無、ビザの種類にかかわらず、日本人と同様に土地や建物の所有権を取得することが可能です。
詳しくは「外国人が不動産を購入する際に知っておくべき基本事項」をご覧ください。
- 外国人が日本の不動産購入で必要な書類は?
在留資格を持つ外国人が日本で不動産を購入する場合、主に以下の書類が必要となります。
- 住民票
- 在留カードまたは特別永住者証明書
- 本人確認書類(運転免許証、パスポートなど)
- ローンを利用する場合は印鑑、印鑑証明書
詳しくは「外国人が日本の不動産購入で必要な書類」をご覧ください。
ライターからのワンポイントアドバイス
2025年時点では、外国人の方でも国籍や在留資格にかかわらず日本の不動産を購入することは可能です。居住用だけでなく、投資目的での購入も広く認められています。
しかし、今後の制度改正によっては、外国人による不動産購入に一定の制限が設けられる可能性もゼロではありません。そのため、不動産の購入を検討している方は、最新の法制度や規制の動向を日頃から確認しておくことが重要です。

不動産購入なら東急リバブル
14日以内に登録された最新物件をご紹介!
マンション・一戸建て・土地の購入をご検討なら東急リバブルにご相談ください。
新着物件検索はこちら

