ざっくり要約!
- おとり物件とは、不動産ポータルサイトや広告紙面などに掲載されているのに実在しなかったり、取引できなかったりする物件
- 広告掲載されている物件について問い合わせし、内見を希望しても拒否された場合はおとり物件の可能性がある
不動産ポータルサイトで希望に合う物件を見つけて、すぐに内見希望の連絡をしたのにもかかわらず、不動産会社へ足を運んだら「他のお客様で決まってしまいました」といわれたことはありませんか?
こうしたケースでは、「おとり物件」であることが疑われます。「わざわざ時間を作って不動産会社を訪問したのに……」と、悔しい思いをした経験がある方もいるかもしれません。
本記事では「おとり物件がなぜ存在するのか」「違法行為ではないのか」といった疑問にお答えします。おとり物件の特徴と回避術も紹介しますので、これから物件探しを始める方はぜひ参考にしてください。
記事サマリー
おとり物件とは?存在する理由も紹介

おとり物件とは、不動産ポータルサイトや広告紙面などに掲載されているにもかかわらず、「実在しない物件」や「実際に存在するが、取引できない物件」「取引する意思がない物件」のことをいいます。
気になる物件を問い合わせした上で不動産会社まで足を運んだのに、「他のお客様で決まってしまいました」と断られた場合、おとり物件の可能性は否定できません。
おとり物件は、なぜ発生してしまうのでしょうか。
実は、不動産会社が意図的に広告しているケースもあれば、単なるミスやシステムの構造上発生してしまうケースもあります。
はじめに、おとり物件が発生する理由や背景について解説します。
集客のため意図的に掲載しているケース
広告に対する反響から来店につなげることを目的に、不動産会社がおとり物件を広告掲載することがあります。
つまり不動産会社は取引できないと認識していながら、集客目的で特定の物件を広告に掲載しているのです。
不動産ポータルサイトのルールや不動産公正取引協議会の規定が厳しくなったこともあり、昔ほど多くはありませんが、いまだにおとり物件は存在するようです。
架空物件というケースもあれば、好条件で多くの反響が得られることから成約後もそのまま掲載し続けているケースなどがあります。
ミスやシステム上発生するケース
実際には取引できない物件を意図せず広告に掲載してしまい、結果的におとり物件になってしまうケースがあります。
たとえば、担当者のミスによって生じるおとり物件です。物件は成約したらサイトから取り下げなければなりませんが、削除し忘れてしまうケースがあります。
ほかにも、不動産業界のシステム上、意図せずおとり物件を生み出してしまうことがあります。
不動産会社が広告している物件は、大きく分けると2つのタイプがあります。貸主から直接依頼を受けて自社が管理している物件と、他社から物件情報を得て広告している物件です。
自社が管理している物件であれば、取引できる物件かどうか判断できます。しかし他社が管理している物件の場合、他社から成約に至ったと連絡してくることはないのが普通で、そのまま掲載し続けてしまうことがあるのです。
また不動産ポータルサイトなどは、システムの更新タイミングによって、削除してもすぐ反映されずに残っていることもあります。
とくに1~3月の繁忙期は、タッチの差で入居が決まることも珍しくなく、実態とオンライン上の情報が異なることもしばし起こり得ます。
おとり物件は違法か

取引できない物件と知っていながら、不動産ポータルサイトなどに広告掲載するのは、法律に違反する行為です。
おとり物件を意図的に掲載した場合、宅地建物取引業法32条(誇大広告等の禁止)や不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)第21条(おとり広告)、不当景品類及び不当表示防止法(以下、景品表示法)第5条(不当な表示の禁止)に違反します。
悪質な場合は一定期間業務停止になることもあり、常習的に不当な広告掲載をした場合、宅建業の免許が取り消される可能性もあります。
おとり物件の特徴4つ

おとり物件には、一定の特徴があります。よく注意すれば、おとり物件を見分けることも可能です。
ここでは、おとり物件の主な特徴を4つ紹介します。
相場より家賃が安い
近隣相場と比べて明らかに家賃が安いときは、おとり物件の可能性があります。集客が目的であれば、家賃が安いなど魅力的な条件の物件を掲載するからです。
また相場よりも安いのに登録日が古い場合や、いつまでも掲載されているような物件も、おとり物件の可能性が高いといえます。
物件所在地や物件名が書かれていない
物件を特定できるような詳しい名称や物件の所在地などが表記されていない場合も、おとり物件の可能性があります。
マンションやアパートなどは、名称(物件名)が明示されているのが一般的です。あえて特定できないようにしているのは、取引できない物件だからかもしれません。
内見を拒否される
広告掲載されている物件について問い合わせし、内見を希望しても拒否された場合は、おとり物件を疑いましょう。
すでに1番手の希望者が申し込んでいたとしても、審査などの過程で成約に至らないことがあります。「2番手になってもいいから」と伝え、内見を希望してください。それでも内見できない物件は、ほぼおとり物件とみて間違いないでしょう。
・「内見」に関する記事はこちら
内見とは?内覧との違いや持ち物・流れ・確認することを解説
特定のサイトのみに掲載されている
特定のサイトにしか掲載されていない場合は、おとり物件の可能性があります。
賃貸物件を探す方は、まず不動産ポータルサイトや不動産会社のサイトを検索して探すことが多いため、不動産会社は他社が管理している物件も含めて広告掲載するのが一般的です。
不動産業界では、1つの物件を複数の会社が宣伝して成約まで至るのはよくあることで、他社物件の広告を掲載することも不思議ではありません。逆に特定のサイトでしか確認できないほうが、まれなことなのです。
おとり物件を回避する5つの方法

物件探しをする場合、引っ越しなどのスケジュールが決まっていることも多く、できることならおとり物件に振り回されたくないものです。
ここでは、おとり物件を見極める5つの方法について解説します。
内見は現地待ち合わせにする
不動産ポータルサイトなどで気に入った物件を見つけたら、不動産会社で待ち合わせするのではなく、現地待ち合わせで内見を希望してみましょう。
実際には存在しないおとり物件であれば、現地集合はできないからです。もし現地集合を断られて来店を勧められたら、おとり物件である可能性が高いため注意してください。
ただし現地待ち合わせをすると、店頭で他の物件を提案してもらう機会を失うことになります。物件探しを急いでいるのであれば、とりあえず希望するエリアや条件について相談することから始めるという方法も検討してみてください。
家賃が極端に安い場合は理由を確認する
家賃が周辺相場と比較して極端に低い場合は、その理由をストレートにたずねてみてください。
おとり物件であれば、明確な回答を得られないでしょう。
家賃が極端に安いケースは、合理的な理由があるはずです。もしおとり物件でないにしても、検討できないような理由や条件であれば、内見する必要がないかもしれません。
家賃が安いケースとして考えられるのは、以下のような物件です。
- 2年間の定期借家契約(賃借の期間を限定した契約)など、借りられる期間が限定されている物件
- 築年数が古く、借り手が付きにくい物件
- いわゆる事故物件で、自殺や事故死などがあった物件
- 貸主が早期に借主を探すために、家賃を安く設定している物件
| ・「定期借家契約」に関する記事はこちら 定期借家契約とは何?普通借家契約との違いをわかりやすく解説 ・「事故物件」に関する記事はこちら 事故物件の告知義務に新基準!いつまで・どこまで告知が必要? |
名称や住所があいまいな物件は電話で問い合わせる
もし物件名や所在地がわかる住所が記載されていない場合は、電話でたずねてみましょう。入居者を募集しているのであれば、隠す必要はありません。もし紹介してもらえないようであれば、おとり物件の可能性があります。
ただし個人が所有するマンションを1室だけ貸し出すといった場合は、入居希望者のみが見に行けるように、公開する情報を制限していることも考えられます。
名称や住所を明確にしていないからといって、おとり物件とは限りませんが、明確にできない理由を聞いてみましょう。
不動産会社の評判を調べる
家賃が相場よりも安いなど、おとり物件の可能性があると感じたら、口コミサイトやSNSなどで不動産会社の評判を調べてみましょう。「問い合わせしたら、おとり物件だった」というようなコメントが見つかるかもしれません。
評価が極端に低い、もしくは悪い内容が多いときは、おとり物件に限らず注意するようにしてください。
ほかの不動産会社に問い合わせる
気になる賃貸物件を広告している会社が1社しか見当たらないときは、あえて他社に問い合わせてみましょう。
賃貸物件は基本的に他の不動産会社を通しても契約できるため、他社で仲介できないといわれたら、おとり物件の可能性が高いです。
おとり物件が判明したときの対処法

担当者のミスやシステム上の都合ではなく、意図的におとり物件を広告していることが判明したら、どのように対処したらよいのでしょうか。
自分自身に実害が生じていないとしても、他の誰かが不利益を被るかもしれません。基本的には、公的機関に連絡するのが望ましいでしょう。
最後に、おとり物件を見つけた時の対処法を紹介します。
掲載サイトに通報する
まずは不動産ポータルサイトを運営する会社に、おとり物件の疑いがあることを通報しましょう。
おとり物件であることが判明すれば、物件情報は取り下げられますし、一定期間掲載を禁止するなど不動産会社にペナルティが課されることもあります。
公的機関に相談する
意図的におとり物件を広告することは、業務停止の可能性もある違法行為です。
不動産会社が持つ宅地建物取引業の免許が大臣免許であれば国土交通大臣、知事免許であれば都道府県の担当部署に連絡しましょう。
ほかにも消費者庁の景品表示法違反被疑情報提供フォームに、おとり物件の詳細について入力して送る方法や、最寄りの宅地建物取引業協会に連絡する方法もあります。
まとめ
集客目的で意図的におとり物件を広告掲載する不動産会社も存在しますが、単なるミスやシステム上のタイムラグによって、取引できない物件を広告してしまうこともあります。
物件について問い合わせる際には、まず内見できるのか確認し、現地待ち合わせや不動産会社の口コミをチェックするなどして、おとり物件を回避しましょう。
この記事のポイント
- おとり物件とは?
おとり物件とは、不動産ポータルサイトや広告紙面などに掲載されているにもかかわらず、「実在しない物件」や「実際に存在するが、取引できない物件」「取引する意思がない物件」のことをいいます。
詳しくは「おとり物件とは?存在する理由も紹介」をご覧ください。
- おとり物件の見分け方は?
おとり物件は、相場より家賃が安すぎないか、物件所在地や物件名が書かれているか、内見を拒否されないか、特定のサイトのみに掲載されているかどうかなどを確認することで見分けられる可能性があります。
詳しくは「おとり物件の特徴4つ」をご覧ください。
ライターからのワンポイントアドバイス
ほとんどの不動産会社は、取引できない物件を掲載しないようにと、日々他社の物件を確認しながら広告活動をしています。しかしながら不動産業界の仕組み上、実態と広告内容にタイムラグが生じてしまうことがあります。そうした状況を丁寧に説明してくれるなどして、信頼関係を構築できた担当者であれば、「おとり物件だったのではないか」と疑心暗鬼にならずに済むでしょう。
物件ごとに問い合わせ先を変えるのではなく、不動産会社とやりとりする過程で、信頼できると感じた担当者から物件を紹介してもらうことをおすすめします。

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