新興住宅地とは
更新日:  

新興住宅地とは子育てに向いている?近所付き合いはある?メリットや選び方を解説

執筆者プロフィール

桜木 理恵
資格情報: Webライター、宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、管理業務主任者

大学在学中に宅地建物取引士に合格。新卒で大手不動産会社に入社し、売買仲介営業担当として約8年勤務。結婚・出産を機に大手ハウスメーカーのリフォームアドバイザーに転身し約5年勤務。その他信託銀行にて不動産事務として勤務経験あり。現在は不動産の知識と経験を活かし、フリーランスのWebライターとして活動。不動産や建築にまつわる記事を多数執筆。「宅地建物取引士」「2級ファイナンシャル・プランニング技能士」「管理業務主任者」所持。
https://x.com/sakuragirie

ざっくり要約!

  • 新興住宅地とは、これまで宅地として利用されていなかった山や畑などを開発し、住宅地として整備されたエリアのこと
  • 新興住宅地は水道や道路などのインフラが新しく、周辺環境も整っているので子育て世代が住みやすい

新興住宅地と聞いて、どのような住宅地をイメージしますか?新しく建てられたい住宅が、整然と立ち並ぶ様子をイメージする方が多いかもしれません。

この記事では、新興住宅地の物件が気になっているものの、「子育てに向いている?」「ご近所付き合いはある?」などと悩んでいる方のために、新興住宅地の概要やメリット・デメリットを解説します。

併せて新興住宅地が向いている人・向いていない人の特徴や、新興住宅地の選び方や注意したいポイントまで詳しく紹介します。マイホーム購入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

新興住宅地とはどんな土地?

新興住宅地とはどんな土地

新興住宅地の購入を検討するのであれば、まずはその特徴を把握しておきましょう。

はじめに、新興住宅地の概要と特徴について解説します。

新興住宅地の概要

新興住宅地とは、これまで宅地として利用されていなかった山や畑などを開発し、住宅地として整備されたエリアのことをいいます。

新興住宅地は郊外で比較的多く見られますが、都心部などでも区画整理の過程や、社宅跡地の開発などで誕生することもあります。

10区画程度の新興住宅地もあれば、100区画を超えるようなケースもあり、規模もさまざまです。

新興住宅地の大きな特徴

新興住宅地とは、文字どおり新しく誕生した住宅地です。

新しくマイホームを構えるような、若い世代や子育て世帯が多い傾向があります。

自治会や自治組織が未熟、もしくは存在しないケースもあり、地域のコミュニティを新しく形成していく必要があるでしょう。

また、新興住宅地は開発にあたって道路や公園も新しく整備されるため、街並みがそろっていて、景観がよいのが特徴です。

新興住宅地のメリット4つ

新興住宅地のメリット4つ

新興住宅地には魅力が多く、住むことでさまざまなメリットを感じられるでしょう。

ここでは、代表的なメリットを4つ紹介します。

水道や道路などのインフラが新しい

新興住宅地は、土地開発に伴って道路が新しく整備されます。上下水道も、新しく引かれたばかりです。水道や下水道管の老朽化を心配する必要がありません。

また道路整備にあたっては、十分な道路幅が確保され、角地は隅切りをしていることが多いです。

道路の見通しがよく、車の運転に苦労するようなこともないでしょう。

二辺以上が道路に面する角地では、形状によっては角に当たる部分を空地にする必要があり、これを隅切りといいます。

隅切りは歩行者や車両の円滑で安全な通行を確保することを目的としていて、角地の所有者にとっては、建ぺい率の上限が10%緩和される(一定の条件あり)というメリットがあります。

周辺環境が整っている

新興住宅地の近くには、人口が増えることを期待して大型商業施設が建てられることが多く、生活上の利便性が高い傾向があります。

また開発に伴い、大小の公園なども整備されることが多いため、周辺環境が充実していることもメリットの1つといえます。

国土交通省の「開発許可に関する最近の動向について」 によれば、都市計画法に基づき、開発区域の面積やその他の条件によっては公園や緑地、広場などを設けることが求められています。

昔ながらの近所付き合いをしなくてよい

新興住宅では、昔ながらのご近所付き合いが少なく、既存のコミュニティになじむのに苦労するようなことはないでしょう。

新興住宅地は若い世帯や子育て世代が多く、成熟した住宅地で見られるような、独自のルールや慣習が基本的にありません。ご近所同士の付き合いやしがらみに、苦労したくない方におすすめです。

同世代の家庭が多い

新興住宅地には若い世帯や子育て世帯が多いため、子どもを介して親同士の交流も生まれやすく、子育てしやすいのがメリットです。

同じ幼稚園や保育園、小学校に通う子を持つ親同士で情報交換をしやすく、慣れない転居先で孤立してしまうような心配もないでしょう。

新興住宅地のデメリット4つ

新興住宅地のデメリット4つ

メリットが多い新興住宅地ですが、デメリットもあります。
ここでは、主なデメリットを紹介します。

子どもが多く落ち着かないことがある

静かな環境を期待して新興住宅地を選んだ方にとっては、子どもが多くて落ち着かないと感じる可能性があります。

家の近所や駐車場、近くの公園で子どもたちがにぎやかに遊ぶ様子は、ほほえましいものです。ただし静かにテレワークや読書したい人にとっては、騒音に感じるかもしれません。

子育てしている家族にとっては、同世代の友だちを作りやすい環境がメリットに感じるでしょう。

駅から遠い場合が多い

新興住宅地は、郊外など駅から離れた場所に作られることが多く、交通の利便性が良くない傾向があります。

購入を検討する際は、通勤・通学がしづらくないか、最寄り駅までの所要時間やバスの本数などを確認しておくと安心です。

ただ商業施設が近くにあるなど、生活するうえで必要なお店や施設はそろっていることが多いでしょう。自然が豊富で、落ち着いた環境を好む方にとっては、駅からの距離はそれほど気にならないかもしれません。

ご近所付き合いが密になる場合がある

新興住宅地は、昔ながらのご近所付き合いとは異なるものの、子どものいる家族同士が集まって遊ぶ機会が多くなることで、ご近所付き合いが盛んなケースもあります。人によっては、ご近所付き合いが密すぎると感じるかもしれません。

とはいえ、慣れない土地に転居してきた人にとっては、同世代が多く集まる環境は心強く、魅力に感じることもあるでしょう。ご近所に住む方との距離感は、上手に保つようにしましょう。

隣にどんな人が住むかわからない

新興住宅地の場合、購入を検討する段階では、隣に家が建っていないことも珍しくありません。

どのような方が住むのか、またどのくらいの高さの家が建つのかわからず、不安に感じる方もいるでしょう。

ただし昔からの住宅地であっても、転居前に隣近所に住んでいる人の性格や家族構成が把握できるわけではありません。また建物の高さや大きさは、法律や条令などで決まっているため、基本的には心配ないでしょう。

近所に誰かが引っ越してきた場合は、お互いが気持ちよく暮らせるように配慮しましょう。

新興住宅地に向いている人・向いていない人

新興住宅地に向いている人・向いていない人

新興住宅地にはさまざまなメリットがありますが、誰にでも向いているわけではなく、残念ながら向いていない人もいます。

ここでは、新興住宅地に向いている人・向いていない人の特徴を紹介します。

向いている人

  • 新しく整備された街に暮らしたい人
  • 子育て中の人
  • 不慣れな環境で暮らすのが不安な人
  • 昔ながらのしがらみを避けたい人

新興住宅地は、新しく開発された住宅地で、子育て世帯が集まる傾向があります。

きれいに整備された環境で暮らしたい人や、子育て中の人に向いています。

また同じような年代の家族が集まりやすいため、新しい環境で暮らすのが不安な方も孤独感を覚えにくいでしょう。

新興住宅地には、古くから住んでいるような人は基本的にいません。昔ながらのしがらみや慣習があるような地域を避けたい人も、安心して暮らせるのではないでしょうか。

向いていない人

  • 通勤・通学に便利な立地を希望する人
  • 静かで落ち着いた環境を好む人
  • 密なご近所付き合いを避けたい人

新興住宅地は、駅から離れた郊外につくられることが多く、通勤・通学の利便性が良いとはいえません。利便性を重視する方には、向いていないでしょう。

また新興住宅地には子育て世帯が集まることが多く、静かな環境とは限りません。落ち着いた環境を好む方には、向いていないかもしれません。

また昔ながらのしがらみや慣習はないものの、近所の家族同士の交流が盛んなケースもあり、密なご近所付き合いを避けたい人にとっては負担に感じることもあるでしょう。

新興住宅地の例

新興住宅地の例

新興住宅地の例として、3つのエリアを紹介します。

渋谷区松濤

渋谷区松濤は、いわずと知れた高級住宅街です。渋谷と聞くと、にぎやかで人通りが多いイメージを持つ方が多いかもしれません。しかし松濤エリアに一歩足を踏み入れると、閑静な住宅街であることがわかります。

住宅街としては歴史が古く、江戸時代には紀州徳川家の下屋敷があり、明治維新後には佐賀藩の鍋島家の茶畑がありました。

鍋島家の茶畑はその後分譲され、華族や事業家たちが住むお屋敷街に姿を変えました。つまりその当時は、新興住宅街だったのです。

松濤1丁目・2丁目には、最低敷地面積を200㎡以上とする独自の条例があり、大きな邸宅が多く存在しています。

「渋谷区松濤」の物件一覧はこちら

大阪市住吉区

大阪市住吉区は、もともと農家が多く住むエリアでしたが、明治・大正時代に区画整理されたことで大きな邸宅が並ぶようになりました。

住吉区は、住吉大社など歴史的建造物や古い町並みが残る地域である一方で、近年の開発によって整備された新興住宅地も点在するエリアです。

住吉区には6本の鉄道が走っており、大阪中心部へのアクセスが良いのが特徴です。もともと高級住宅街として人気がありましたが、最近ではおしゃれなカフェなども増え、新しい住宅や低層のマンションも増加傾向にあります。

「大阪市住吉区」の物件一覧はこちら

神戸市東灘区

神戸市東灘区は、9区あるうちの1つで、神戸市の中でも東端に位置します。都心部へのアクセスが良く、高級住宅地が多くあることでも知られています。

1995年の阪神・淡路大震災では大きな被害を受けましたが、倒壊した酒造跡などにマンションが次々と建設され、また近年の再開発により「多子高齢化」ともいわれるほど、他市や他区からの転入者が増えています。

「神戸市東灘区」の物件一覧はこちら

新興住宅地の選び方や注意したいポイント

新興住宅地の選び方や注意したいポイント

最後に、新興住宅地を選ぶ際に注意したい2つのポイントを紹介します。

建築協定が設定されているか確認する

新興住宅地の購入を検討する際は、建築協定が設定されているか確認しましょう。

建築協定とは、一定の区域の土地所有者の合意のもと、建物の用途や敷地の最低面積などを、住環境を守るために規制するものです。

新興住宅地は、きれいに揃った街並みや景観が魅力です。しかし将来的に住み替えや建て替えが進むと、住環境が変わってしまう可能性があります。

その点、建築協定が定められていれば、最低敷地面積や土地の分割について制限があることが多く、土地が細分化されてしまうのを防ぐことができます。

ほかにも建物の用途や、外壁や屋根の色彩や意匠を規制していることも多く、良好な街並みを保全するのに役立っています。

出典:建築協定|国土交通省

老後の生活も考慮する

新興住宅地を検討する際は、老後の生活も想定して選ぶようにしましょう。

今は車を問題なく運転できるとしても、将来運転免許証を返納する可能性もあります。車がなくても生活ができるのか、病院は近くにあるのかなど、周辺の生活環境をよく確認するようにしましょう。

まとめ

新興住宅地とは、宅地として利用されていなかった山や畑を整備し、住宅地として開発・分譲されたエリアのことです。

新興住宅地は、駅から離れた場所につくられることが多く、通勤・通学が便利とは限りません。また家族同士の交流が多くなることがあります。密なご近所付き合いが苦手な方にとっては、負担に感じることもあるでしょう。

しかし同じ年代の子どもが多いということは、子育て世代にとって暮らしやすい住環境ともいえます。子育てのしやすさを重視しているのであれば、ぜひ選択肢の1つとして検討してください。

この記事のポイント

新興住宅地とは?

新興住宅地とは、これまで宅地として利用されていなかった山や畑などを開発し、住宅地として整備されたエリアのことをいいます。

詳しくは「新興住宅地とはどんな土地?」をご覧ください。

新興住宅地のメリットは?

新興住宅地のメリットは水、道や道路などのインフラが新しい、周辺環境が整っている、昔ながらの近所付き合いをしなくてよい、同世代の家庭が多いなどの点が挙げられます。

詳しくは「新興住宅地のメリット4つ」をご覧ください。

ライターからのワンポイントアドバイス

マイホームを購入する場合、通勤・通学の利便性を優先するか、それとも街並みや住環境を重視すべきかと、エリアの選定に悩む方は多いと思います。新興住宅地に限った話ではありませんが、不動産にはメリットだけでなく、かならずデメリットもあります。
マイホームを購入する際は、メリットだけでなく、注意すべき点も説明してくれる担当者がいる不動産会社を選ぶようにしましょう。

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