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マンション購入は暴落待ちしたほうがよい?価格推移やリスクを解説

執筆者プロフィール

桜木 理恵
資格情報: Webライター、宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、管理業務主任者

大学在学中に宅地建物取引士に合格。新卒で大手不動産会社に入社し、売買仲介営業担当として約8年勤務。結婚・出産を機に大手ハウスメーカーのリフォームアドバイザーに転身し約5年勤務。その他信託銀行にて不動産事務として勤務経験あり。現在は不動産の知識と経験を活かし、フリーランスのWebライターとして活動。不動産や建築にまつわる記事を多数執筆。「宅地建物取引士」「2級ファイナンシャル・プランニング技能士」「管理業務主任者」所持。
https://x.com/sakuragirie

ざっくり要約!

  • マンション相場の変動には金利や資材コスト、人件費、円安、需要など、さまざまな要因が絡み合うため、暴落待ちをするのは得策とはいえない
  • マンションは価格だけで判断するのではなく、ライフプランに合わせて購入するのがおすすめ

都心部を中心に、今もなおマンションの価格は上昇し続けていますが、2025年以降に暴落するのではないかともささやかれています。

本当に暴落するのであれば、価格が下がり切ってから購入したいものですが、本当にマンションの価格は下落するのでしょうか。

今回は、マンション価格の推移や価格が上昇する要因に加え、「2025年問題」について解説します。

マンション価格の暴落を待つリスクや、過去の事例も触れますので、マンション購入を迷っている方はぜひ参考にしてください。

マンションの価格はどう推移している?

マンションの価格はどう推移している

マンションの購入を検討するのであれば、マンション市場の価格推移を知っておきましょう。ここでは、まず新築マンションと中古マンション、それぞれの価格推移について解説します。

新築マンションの価格推移

不動産経済研究所の「全国新築分譲マンション市場動向2023年」を参考に、直近10年間の新築分譲マンションの平均価格と、㎡単価を表にまとめてみました。

平均価格(万円)㎡単価(万円/㎡)
2015年5,51877.9
2016年5,49079.3
2017年5,90885.9
2018年5,87186.9
2019年5,98087.9
2020年6,08392.5
2021年6,26093.6
2022年6,28895.1
2023年8,101122.6
2024年7,820117.7
出典:全国新築分譲マンション市場動向2024年(年間のまとめ)|不動産経済研究所

直近10年間の価格推移を見ると、新築マンションの価格(㎡単価)は上がり続けていることがわかります。

注目すべきは2023年の価格で、2022年と比べると平均価格は1,800万円以上、㎡単価は27.5万円も上昇しています。

その反動からか、2024年には新築マンションの平均価格が若干下がっていますが、2022年以前と比べれば上昇傾向であるといえます。

中古マンションの価格推移

東日本不動産流通機構の「年報マーケットウォッチ2023年」を参考に、直近10年間の中古マンションの平均価格と、㎡単価を表にまとめてみました。

年度平均価格(万円)㎡単価(万円/㎡)
2014年度2,78943.41
2015年度2,93245.94
2016年度3,07848.43
2017年度3,25350.63
2018年度3,35452.00
2019年度3,47853.95
2020年度3,66856.14
2021年度3,94961.36
2022年度4,34368.55
2023年度4,70073.67
出典:年報マーケットウォッチ2023年|東日本不動産流通機構

直近10年間の中古マンションの価格推移を見ると、新築マンションと同様に上昇し続けていることがわかります。

新築マンションと比較すると価格の推移は緩やかですが、直近3年間は上昇率が高くなっており、新築マンションの価格上昇が中古マンションの価格に影響していると思われます。

マンション価格が上昇している4つの要因

マンション価格が上昇している要因

マンション価格の暴落待ちするのであれば、現在もなおマンションの価格上昇が続いている要因を知っておくことが大切です。

ここでは、マンション価格に影響する主な要因について解説します。

1.金利

1990年代から長く続いた低金利政策のおかげで、住宅ローンが組みやすくなったこともあり、マンション価格の上昇傾向が続いています。

つまり今後金利が上昇すると住宅ローン金利にも影響し、マンション購入のハードルが上がって需要が減少すれば、マンション価格が下落するケースも考えられます。

しかし、国民の負担を増やすような、急激かつ大幅な利上げが行われる可能性は低く、暴落を待つ人は金利の動向を注視する必要があるでしょう。

2.建築資材や人件費の高騰

インフレの影響で建築資材や人件費が上昇しており、マンションの価格を押し上げています。

建築資材が高騰した理由として、コロナ禍後に経済が回復し、世界的に原油や鉄、木材の需要が増加したことが挙げられます。またウクライナとロシアの戦争による影響も少なくありません。

実際にウッドショック(木材の需給逼迫により価格高騰や納期遅延等が発生すること)やアイアンショック(鉄筋や鉄骨の需給逼迫により価格高騰や納期遅延等が発生すること)という用語を、耳にした方も多いのではないでしょうか。

建築資材の世界的な需要は、すぐに減少するとは考えられないことから、今後も建築資材の高騰はしばらく続くと考えられます。

3.円安

円安が続いていることも、マンション価格の高騰に大きく影響しています。

海外投資家が円安による割安感から、日本の不動産を購入するケースが増えており、とくに都心部の高級マンションの取引が好調です。

また円安は、建築資材を海外から輸入している日本にとってコストアップにつながっており、結果的にマンション価格を高騰させる要因にもなっています。

4.需要の増大

コロナ禍において、出社できずにテレワークが普及し、おうち時間が増えたことで、一時期は郊外に移り住む方が増えました。自宅で長時間過ごすことになるため、マイホームを購入したい、周辺環境を良くしたいと考える方が増えたのです。

しかし現在は通勤・通学が便利な都心部のマンションに買い替えるケースも増えており、利便性の高いマンションに人気が集まっています。

マンションが暴落するといわれる2025年問題とは

マンションが暴落するといわれる2025年問題

2025年問題とは、団塊の世代が後期高齢者(75歳以上、もしくは65歳以上で一定の障害がある方)となり、社会保障費の増大や労働力不足が深刻化すると予想されている社会問題のことです。

高齢者が施設に入所する、もしくは亡くなるなどして自宅を売却するケースが増えることから、不動産価格が下落するのではないかといわれています。

また少子高齢化で人口が減少傾向であることから、今後不動産需要が減り、不動産価格の下落に拍車をかける可能性も考えられます。

・「2025年不動産市場」に関する記事はこちら
2025年不動産市場を考察! 2025年問題・金利上昇の影響は?

マンションの暴落待ちをすべきか?

マンションの暴落待ちをすべきか
マンションのベランダと青空

マンション価格の暴落待ちは、本当にすべきなのでしょうか。ここでは、暴落を待つことで、どのようなリスクがあるのか解説します。

暴落が起きない可能性がある

マンション価格が下落するのを期待して待ち続けていたとしても、暴落が起きない可能性が考えられます。

マンション相場の変動には、金利や資材コスト、人件費、円安、需要など、さまざまな要因が絡み合います。

社会経済や不動産市場の変化は複雑で、プロであっても予想することは難しいでしょう。

ちなみに、過去には一時的に不動産価格が下落したこともありますが、すぐに回復した経緯もあります。

マンション購入のタイミングを逃せば、いつまで経っても引っ越しできず、後悔することになるかもしれません。

年齢を重ねるごとに、住宅ローンを組める期間は短くなります。また病気になってしまうと、借り入れが難しくなるリスクもあるため、資金的にゆとりがあるタイミングを逃さないようにしましょう。

不動産相場の予測は難しい

不動産相場の予測は難しく、マンションの価格が下落しているように見えても、その価格が底値だとは判断が付きません。

購入したいマンションが見つかったとしても、暴落を期待するあまりに「もっと下がるのではないか」と購入を見送れば、好物件を買い逃すことになるかもしれません。

不動産価格は常に変動するため、購入しようと思ったときには上昇局面に転じていることもあり、かえって損をする可能性も考えられます。

不動産投資目的の場合は、利回りを考えてマンション価格を重視する必要がありますが、住宅用のマンションであれば、ライフプランに合わせて購入することをおすすめします。

マンションの暴落待ちをしても実際の事例は2つのみ

マンションの暴落待ちをしても実際の事例は2つのみ

東京オリンピック後は、マンション価格が暴落するといわれていましたが、実際には一時的な現象で、その後も価格は高騰し続けました。

実際に近年不動産価格が暴落した事例としては、バブル崩壊とリーマンショックの2回だけです。

最後に、不動産価格が暴落した事例を紹介します。

バブル崩壊

1980年代後半から1990年代初頭にかけて、金融緩和により市場の資金過剰を招き、過度な投機が進んだことで不動産価格や株価が急騰しました。いわゆるバブル崩壊です。

しかし、その後実態に合わない不動産価格や株価が急落し、多くの企業や個人が巨額の負債を抱えることになり、長期にわたる経済停滞期になりました。

「失われた10年」とも表現されるほど、経済の低迷期は長く深刻で、日本経済の成長を鈍化させる要因にもなりました。

リーマンショック

リーマンショックとは、2008年9月にアメリカの大手投資銀行である、リーマン・ブラザーズが破綻したことで起きた、世界的な金融危機のことです。

その背景には、2000年代初頭のアメリカの低金利政策によって生じた、サブプライム住宅ローン問題がありました。

低金利により住宅購入者が増え、不動産価格も高騰しました。しかしその後に政策金利が引き上げられたことで、返済困難者が急増したのです。

住宅ローンの不良債権化と不動産需要が下がったことで、アメリカの株価は暴落し、大手投資銀行であるリーマン・ブラザーズの破綻を招くことになりました。

・「不動産の2025年問題」に関する記事はこちら
不動産の2025年問題とは? 大暴落が危惧される理由

まとめ

直近10年間の、新築マンションと中古マンションそれぞれの価格推移と、マンション価格が上昇している要因について解説しました。

2025年問題によって、マンション価格は暴落するとの見方もありますが、社会情勢を正しく予測することは難しく、暴落しない可能性も十分考えられます。

過去には、バブル崩壊やリーマンショックにより、マンション価格は下落しました。しかし今では見事に経済は復活し、不動産価格は上昇しています。

マンションは価格だけで判断するのではなく、自身のライフプランに合わせて、買い時を見極める必要があります。

この記事のポイント

マンション価格が上昇しているのはなぜ?

1990年代から長く続いた低金利政策のおかげで、住宅ローンが組みやすくなったこともあり、マンション価格の上昇傾向が続いています。つまり今後金利が上昇すると住宅ローン金利にも影響し、マンション購入のハードルが上がって需要が減少すれば、マンション価格が下落するケースも考えられます。
しかし、国民の負担を増やすような、急激かつ大幅な利上げが行われる可能性は低く、暴落を待つ人は金利の動向を注視する必要があるでしょう。

詳しくは「マンション価格が上昇している4つの要因」をご覧ください。

マンションを購入したい場合、暴落待ちをすべきですか?

マンション価格が下落するのを期待して待ち続けていたとしても、暴落が起きない可能性が考えられます。マンション相場の変動には、金利や資材コスト、人件費、円安、需要など、さまざまな要因が絡み合います。
社会経済や不動産市場の変化は複雑で、プロであっても予想することは難しいでしょう。

詳しくは「マンションの暴落待ちをすべきか?」をご覧ください。

ライターからのワンポイントアドバイス

今後マンションの価格が暴落する可能性もあれば、暴落といえるほど下落しない可能性もあります。マンション購入で大切なことは、家族の希望やライフプランに合わせて購入することです。暴落するのではないかという情報に踊らされて、無理に買え控えることは、あまりおすすめできません。
気に入ったマンションが見つかったら、そのときに妥当な金額なのか見極めて、購入するか否かの判断をしましょう。

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