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家の買換えでかかる費用はいくら?売却と購入でかかる費用を解説

執筆者プロフィール

竹内 英二
不動産鑑定士

不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、住宅ローンアドバイザー、中小企業診断士の資格を保有。
https://grow-profit.net/

ざっくり要約!

  • 家の買換えでは仲介手数料や印紙税などさまざまな費用がかかる
  • 家の買換えで費用が不足したときには住み替えローンの利用などを検討する

家の買換えでは、売却と購入でそれぞれ費用が発生します。
費用は基本的に自己資金で用意をする必要があるため、あらかじめいくらかかるかを知っておくことが望ましいです。

また、購入物件の費用に関しては何を買うかによっても異なります。
一般的に新築マンションは諸費用が低いですが、注文住宅は諸費用が高いです。

家の買換えでは、どのような費用が発生するのでしょうか。
この記事では、「家の買換えの費用」について解説します。

家の買換えで自宅を売却する際にかかる費用

家の買い替えで自宅を売却する際にかかる費用

家の売却では、さまざまな費用が発生します。
売却に要する費用は、税金を考慮外とすれば売却価格の4~5%程度です。
この章では、売却に要する費用について紹介します。

仲介手数料

仲介手数料とは、売却を依頼した不動産会社に対して支払う手数料のことです。
仲介手数料は売買契約時に50%、引渡時に残りの50%を支払うことが一般的です。

仲介手数料は、取引額(売買金額)に応じて不動産会社が受領できる上限額が決まっています。

取引額と仲介手数料の関係は、下表の通りです。

取引額仲介手数料(別途消費税)
200万円以下取引額 × 5%
200万円超から400万円以下取引額 × 4% + 2万円
400万円超取引額 × 3% + 6万円

仲介手数料には、別途消費税が発生します。

なお、物件価格が800万円以下の空き家等を売却する場合、不動産会社は仲介手数料として上記の原則を超えて30万円(+消費税)を上限とする調査費用を請求することができます。

印紙税

売買契約書は印紙を貼らなければいけない課税文書であるため、売買契約締結時には印紙税が発生します。

印紙税は売買契約書に印紙を貼りつけ、割り印することで納税したことになります。

売買契約書の印紙税の金額は、下表の通りです。

売買契約書に記載する売買代金本則軽減税率※
1万円未満200円非課税
1万円以上10万円以下200円200円
10万円超50万円以下400円200円
50万円超100万円以下1,000円500円
100万円超500万円以下2,000円1,000円
500万円超1,000万円以下10,000円5,000円
1,000万円超5,000万円以下20,000円10,000円
5,000万円超1億円以下60,000円30,000円
1億円超5億円以下100,000円60,000円
5億円超10億円以下200,000円160,000円
10億円超50億円以下400,000円320,000円
50億円超600,000円480,000円
金額の記載のないもの200円200円

※2027年3月31日までの軽減税率

住宅ローンが残っている場合にかかる費用

住宅ローンが残っている物件を売るときは、抵当権を抹消するための登録免許税と司法書士手数料、銀行への一括返済手数料が発生します。

抵当権とは、債権者(銀行のこと)がその担保物件から優先的に弁済を受けることができる権利のことです。

抵当権抹消の登録免許税は、不動産1個につき1,000円(土地1筆・建物1つなら2,000円)となります。

司法書士手数料は、1.5~3.0万円程度が相場です。
抵当権抹消は自分でもできますが、司法書士に依頼することがよくあります。

一括返済済手数料は、都市銀行で窓口申し込みを行う場合には3万円程度です。

家の買換えで新居を購入する際にかかる費用

家の買い替えで新居を購入する際にかかる費用

家の購入では、新築マンションや新築建売住宅であれば物件価格の4~5%程度、中古住宅なら物件価格の7~9%程度、注文住宅なら物件価格の10%程度の費用が発生します。

この章では、購入で生じる主な費用について解説します。

仲介手数料

マンションや戸建てに関わらず、個人から中古物件を購入する際は、仲介手数料が発生します。
また、注文住宅で土地を仲介で購入する場合には、土地の購入時に仲介手数料が生じます。

仲介手数料の上限額の計算方法は、売却の仲介手数料の計算方法と同じです。

一方で、不動産会社が直接売主となっている新築マンションや建売住宅、買取再販物件(不動産会社が買い取った後に転売している物件)では、仲介手数料は発生しません。

印紙税

売買契約書を締結する際は、印紙税が生じます。
売買契約書に貼る印紙税の額は、売却物件で紹介した印紙税の額と同じです。

登録免許税

所有権移転登記をする際は、登録免許税が発生します。
登録免許税の計算式は以下の通りです。

登録免許税 = 固定資産税評価額 × 税率

登録免許税の本則と軽減措置が適用されたときの税率は下表の通りです。

登記の種類本則軽減税率
所有権保存登記(建物)0.4%0.15%
所有権の移転登記(建物)2%0.3%
所有権の移転登記(土地)※1.5%1.5%

軽減税率を適用するためには、「床面積が50平米以上であること」等の一定の要件を満たすことが必要です。

不動産取得税

不動産を取得すると、原則として不動産取得税が発生します。

ただし、床面積が「50平米以上240平米以下」等の一定の要件を満たす住宅では、軽減措置が適用されて不動産所得税が発生しないことも多いです。

不動産取得税が発生する場合は、自治体から送られてくる通知書に従って納付します。

住宅ローンを組む場合の費用

住宅ローンを組む際は、抵当権設定のための登録免許税と、住宅ローン契約書の印紙税、銀行へ支払う事務手数料や保証料が発生します。

抵当権設定のための登録免許税は、軽減税率が適用できる場合は債権額に0.1%を乗じた金額になります。

住宅ローンの契約書に貼る印紙税の金額は、売買契約書の印紙税の金額とは若干異なります。
また、印紙税は、電子契約で締結する際は発生しません。

事務手数料や保証料は銀行によって異なります。
おおよそ「借入額の2.2%」が相場です。

保証料は、金利に上乗せするタイプや現金一括払いのタイプがあります。

そのほかの費用

そのほかの費用としては、火災保険や地震保険料等の損害保険料や、引っ越し代、売却時に売却益が発生したときに税金が必要です。

また、中古住宅を購入した後にリフォームを行う場合には、リフォーム費用も発生します。

家の買換えで仮住まいをした場合にかかる費用

家の買い替えで仮住まいをした場合にかかる費用

買換えにおいて1回で引っ越しをできない場合には、仮住まい費用も発生します。
この章では、仮住まいで賃貸住宅を借りるケースの費用を紹介します。

仲介手数料

不動産会社の仲介を通じて賃貸物件を借りる際は、仲介手数料が発生します。

賃貸の仲介手数料は、家賃の1カ月分(+消費税)が不動産会社の受領できる上限額です。

物件の家賃・敷金・礼金

賃貸住宅を借りる際は、入居時に敷金と礼金が発生します。

敷金は預り金的性格を有する一時金であり、原則として退去時に戻ってくるお金です。
礼金は賃料の前払い的性格を有する一時金であり、戻ってこないお金になります。

敷金は家賃の1~3カ月程度であり、礼金は1カ月もしくは「なし」の物件も多いです。

家賃は、入居する月数分だけ発生します。

二重の引っ越し費用

仮住まいが発生すると売却物件から仮住まい、仮住まいから購入物件という2回の引っ越し費用が発生します。

引っ越し費用は繁忙期か閑散期かで大きく異なります。
また、家財道具の量や距離等でも金額が異なる点が特徴です。

荷物の保管費用

仮住まい先に荷物が入りきらない場合には、荷物の保管費用が発生します。
預け先は、主にトランクルームになりますが、引っ越し会社によっては荷物一時預かりサービスも利用できます。

家の買換えで費用が不足したときの方法

家の買い替えで費用が不足したときの方法

家の買換えは費用が掛かり、自己資金が不足することもあります。
この章では、費用が不足した時の対処法について解説します。

住み替えローン

住み替えローンとは、売却代金で返済しきれなかったローンを購入物件の住宅ローンに上乗せして借りられるローンのことです。

住み替えローンは、売却物件がオーバーローンの場合に利用するローンになります。
オーバーローンとは、住宅ローン残債が売却代金を上回っている状態のことです。

売却で残っている住宅ローン残債は、売却の引渡時と同時に一括返済を行います。

そのため、売却物件では原則として住宅ローン残債が売却代金を下回っている(アンダーローン)ことが必要です。

オーバーローンでは売却物件の住宅ローン残債を一括返済できませんが、住み替えローンを利用すれば売却を行うことができます。

ただし、住み替えローンは取り扱っている銀行が少なく、さらに売却物件と購入物件の引渡日を同日にしなければならない点がデメリットです。

また、購入物件での返済額も大きくなることから、融資審査も厳しくなり、借りることが難しい点もデメリットとなります。

つなぎ融資

つなぎ融資とは、売却を先に行う買換えにおいて、売却と購入の順番が想定外に入れ替わったときに生じる一時的な資金不足を補填するローンのことです。

つなぎ融資を使えば、予定外に購入物件の引渡が売却物件よりも先になっても物件を買うことができます。

つなぎ融資は一時的な資金調達であり、売却物件が無事に売却できた際に一括返済するという仕組みです。
融資期間は3カ月~1年程度であるため、融資期間内に売却を終了させる必要があります。

つなぎ融資は融資という名前がついていますが、基本的には不動産会社の提供しているサービスです。

つなぎ融資を利用する可能性がある場合には、あらかじめつなぎ融資サービスを提供している不動産会社に仲介を依頼する必要があります。

ダブルローン

ダブルローンとは、売却物件と購入物件のローンを二重に組むことができるローンのことです。

住宅ローンは原則として1人1本しか組むことができないため、購入物件でローンを組む前に売却物件のローンは完済している必要があります。

しかしながら、二重にローンを組めないと売却してから購入しないといけないため、手順の面で不都合が生じることが多いです。

そこで、ダブルローンを使えば、購入物件を買った後に売却物件を売ることができ、例えば引っ越しも1回で済む等のメリットが生じます。

ただし、ダブルローンは返済額も大きくなることから審査が厳しく、また取り扱っている銀行が少ないこともあり、金利も高い点がデメリットです。

この記事のポイント

家の買換えで新居を購入する際にかかる費用は?

家の買換えで新居を購入する際には、仲介手数料、印紙税、登録免許税、不動産取得税など、さまざまな費用がかかります。

住宅ローンを組む際は、抵当権設定のための登録免許税と、住宅ローン契約書の印紙税、銀行へ支払う事務手数料や保証料が発生します。

詳しくは「家の買換えで新居を購入する際にかかる費用」をご覧ください。

家の買換えで費用が不足したときはどうしたらいい?

家の買換えは費用が掛かり、自己資金が不足することもあります。

その際には、住み替えローン、つなぎ融資、ダブルローンの利用を検討するという方法があります。

ただし、それぞれメリット・デメリットがあるので、しっかり理解した上で選択しましょう。

詳しくは「家の買換えで費用が不足したときの方法」をご覧ください。

ライターからのワンポイントアドバイス

家の売却では、その他として売却時に譲渡所得(売却益のこと)が発生すれば所得税等の税金が生じます。売却時の税金は3,000万円特別控除等の特例を利用すれば、大幅に節税できます。場合によっては売却時の税金は発生しないことも多いです。
ただし、3,000万円特別控除等の節税特例は購入物件で住宅ローン控除を利用する場合には同時に併用できません。売却物件の節税特例と購入の住宅ローン控除で節税効果を検証し、有利な方を選択することをおすすめします。
・「3,000万円特別控除」に関する記事はこちら

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