家賃10万円 賃貸 持ち家 得
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家賃10万円がもったいない! 持ち家と賃貸は結局どちらが得なのか

執筆者プロフィール

品木 彰
品木彰
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大手生命保険会社に7年半勤め、個人営業と法人営業の両方を経験。人材サービス会社の転職エージェントとしての勤務経験もあり。 2019年1月からはフリーランスのWebライターとして独立。「お金に関する正しい知識を、より多くの人々に届けたい」という思いを原動力に、保険や不動産、資産運用、相続など幅広いジャンルの記事を執筆している。2級ファイナンシャル・プランニング技能士の資格を保有。

ざっくり要約!

  • 家賃10万円は、東京都における3部屋(3K・3DK・3LDK等含む)の平均賃料と同水準
  • 10万円の家賃を支払う代わりに、毎月10万円のローン返済で持ち家を購入することも現実的には可能

10万円の家賃を毎月支払い続けていると「お金がもったいない」「持ち家を買ったほうが良いのではないか」などと考えることもあるかもしれません。

たしかに、賃貸物件は家賃をいくら支払っても自身の資産になることはありません。一方、賃貸物件と持ち家にはそれぞれにメリットがあるため、よく理解したうえで自身や家族に合った住まいを検討することが大切です。

この記事では、全国の家賃相場や毎月の返済額10万円で購入できる物件価格の目安、賃貸住宅と持ち家の特徴などを解説します。

家賃10万円がもったいない!10万円って高い?安い?

家賃10万円という金額が高いのか安いのか、また同じ金額を払うのであれば持ち家を購入したほうが良いのか、判断に迷う方も多いでしょう。

ここでは、全国の家賃相場や10万円のローン返済で購入できる物件の価格を解説します。

「家賃10万円」は東京都の3部屋の住宅の平均的な賃料

全国賃貸管理ビジネス協会の調査によると、2025年5月における全国の主要都市の平均家賃は以下の通りです。

1部屋2部屋3部屋総平均賃料
東京都75,98490,36298,42379,578
大阪府58,97970,47675,75963,376
愛知県52,79660,42368,17458,054
福岡県52,15866,85172,93660,503
北海道44,84453,54566,42250,066
宮城県50,22659,26471,25955,739
広島県50,41159,23968,89056,203
京都府54,30471,54079,44860,569
※出典:全国賃貸管理ビジネス協会「全国家賃動向(資料出所:全管協少額短期保険 少額短期保険契約実績)

※総平均賃料は、1部屋から3部屋すべてのデータより抽出したもの(1部屋=1K・1DK・1LDK 等を含む)

調査結果をみると、家賃10万円は東京都における3部屋の賃貸住宅の平均賃料と同等であり、全国の家賃相場と比較しても比較的高額といえます。

毎月10万円払ったらどんな家が買える?

毎月10万円を家賃の支払いではなく住宅ローンの返済に充てる場合、いくらのマイホームを購入できるのでしょうか。

返済期間35年、金利1%、返済方法は元利均等方式(毎月の返済金額を一定にする方式)とし、毎月返済できる金額が10万円とすると、借入可能額は約3,540万円です。物件価格の10〜20%の頭金を準備する場合、購入できるマイホームの価格は以下の通りです。

頭金の割合購入できるマイホームの価格
10%約3,933万円(頭金393万円・住宅ローン借入額3,540万円)
15%約4,164万円(頭金624万円・住宅ローン借入額3,540万円)
20%約4,425万円(頭金885万円・住宅ローン借入額3,540万円)

毎月10万円の住宅ローンを35年間返済できる場合、10%の頭金で4,000万円弱の物件を購入できる計算です。

物件価格の20%の頭金を準備できれば、4,400万円程度の物件を購入することも可能です。

【2025年】東京・大阪の中古住宅相場

頭金と住宅ローンの借入額が合計で4,000万円前後の場合、新築住宅に絞ると選択肢が限られる可能性があるため、中古住宅も視野に入れて検討することをおすすめします。

公益財団法人東日本不動産流通機構と近畿圏不動産流通機構によると、首都圏と近畿圏における中古住宅の平均成約価格(2025年5月)は、以下の通りです。
(単位:万円)

地域中古マンション中古戸建て住宅
東京都6,9015,804
 東京都区部7,5566,898
 東京都多摩地域3,6763,861
大阪市4,1253,664
 大阪府北部3,1653,428
 大阪府東部1,8842,031
 大阪府南部1,9971,756
出典:東日本不動産流通機構近畿圏不動産流通機構

東京都区部では平均価格が4,400万円を大きく超えていますが、エリアや築年数、広さなどを選べば4,000万円前後の予算で不動産を持つことも可能です。一方、東京都の多摩地域や大阪府においては、4,000万円前後の予算があれば選択肢が広がるでしょう。

賃貸と持ち家のメリット・デメリット

賃貸 持ち家 メリット デメリット

賃貸と持ち家のどちらが良いかは一概にはいえません。それぞれの特徴を理解し、自身や家族の希望とライフスタイルに合っているのはどちらであるかをよく考えることが大切です。

ここでは、賃貸住宅と持ち家それぞれのメリットとデメリットを解説します。

賃貸のメリット・デメリット

賃貸住宅の主なメリットとデメリットは、以下の通りです。

メリットデメリット
  • 初期費用が安い
  • 気軽に引っ越せる
  • 住まい・設備のメンテナンス費用がかからない
  • 自分の資産にはならない
  • 家賃値上げのリスク
  • 内装・設備を自由に変えられない
  • 高齢になると借りにくい

賃貸物件に入居するときは敷金や礼金などの初期費用がかかりますが、金額は家賃の4〜6か月分程度であり、持ち家よりも安価です。また、解約手続きをすると退去できるため、気軽に引っ越しがしやすいといえます。

給湯器の故障や建物の修繕などは、基本的に大家さんや管理会社が対応してくれるため、借主は過失がない限り、メンテナンス費用を負担する必要はありません。

一方で、家賃をいくら払い続けても物件が自身の資産になることはありません。

また、契約更新のタイミングで家賃が値上がりすることがある点や、壁紙や床材などを自由に変更できない点もデメリットといえます。

高齢になると収入面や健康状態などの理由から入居審査が厳しくなり、新しい部屋を借りにくくなることがあります。

持ち家の主なメリット・デメリット

持ち家の主なメリットとデメリットは、以下の通りです。

メリットデメリット
  • 資産として残る
  • 自由に改修できる
  • 総じて建具・設備・性能の質が高い
  • やがてローン返済が終わる
  • 初期費用が高額
  • 気軽に引っ越せない
  • 維持・修繕費用が自己負担
  • 金利上昇リスクがある

購入した持ち家は自身の資産になるため、将来的に売却したり賃貸に出したりできます。リフォームや改築に関する制約は賃貸住宅よりも少なく、建具・設備・性能は優れる傾向にあるため、より快適で満足できる住まいを得られるでしょう。

住宅ローンの完済後は、毎月の返済額の分だけ支出が減るため、家計が楽になる可能性があります。

ただし、取得する際に税金や手数料などがかかるため、初期費用は賃貸物件よりも高額です。住み替えをするときは、基本的に売却活動をして買い手を見つける必要があります。

取得後は、固定資産税を始めとした維持費もかかり、壁紙や床材などの修繕費用も持ち主の自己負担となります。戸建て住宅の場合、外壁や屋根などの修繕費用も必要に応じて負担しなければなりません。

変動金利型の住宅ローンを組んだ場合は、返済途中で世の中の金利が上昇して返済額が増えるリスクもあります。

月々10万円の家賃・ローン返済の生涯コストを比較

毎月10万円の家賃を支払い続ける場合と、毎月10万円のローンを返済する場合では、生涯にかかる費用はどのくらい違うのでしょうか。家賃とローン返済額が同等の賃貸マンションと分譲マンションの生涯コストをシミュレーションで比較します。

分譲マンションの価格は3,500万円とし、すべてを住宅ローンで賄って購入するとします。住宅ローンの返済期間を35年、金利1%、返済方法は元利均等方式、ボーナス払いなしとする場合、毎月の返済額は約9.9万円です。

賃貸マンションと分譲マンションそれぞれのコストは、以下の通りとします。

賃貸マンション分譲マンション
家賃10万円住宅ローンの月々の返済額9.9万円
共益費0.8万円仲介手数料・住宅ローン事務手数料などの諸費用
(取得価格の5%と想定)
175万円
仲介手数料・敷金・礼金・保証料などの諸費用
(賃料の5か月分と想定)
50万円修繕積立金(全国平均)1.3万円
火災保険料(年間)1万円管理費(全国平均)1.7万円
更新料(賃料の2か月分と想定)20万円火災保険料(年間)1万円
引っ越し費用10万円固定資産税15万円

※住宅ローンは金利1.0%、返済期間35年、元利均等方式で試算

賃貸は2年に1度の更新、10年に1度の転居を想定し、持ち家は20年後と40年後に100万円の費用をかけてリフォームをするとした場合、それぞれのコストは以下の通りです。

賃貸持ち家
10年後1,466万円約1,883万円賃貸のほうが約417万円安い
10年後〜20年後1,466万円約1,808万円賃貸のほうが約342万円安い
20年後〜30年後1,466万円約1,708万円賃貸のほうが約242万円安い
30年後〜40年後1,466万円約1,214万円持ち家のほうが約252万円安い
40年後〜50年後1,466万円約520万円持ち家のほうが約946万円安い
総額7,330万円約7,133万円持ち家のほうが約197万円安い

ローンを返済している35年目までは、賃貸のほうが総支出は少ない傾向にあります。しかし、ローン完済後は金銭的な負担が減るため、50年間の合計コストは分譲マンションのほうが約197万円安い結果となりました。

家賃や管理費、修繕積立金、金利などは変動するため一概にはいえませんが、長期的にみれば、持ち家のほうがコストは低くなると考えられます。また、持ち家は資産として残すことができるため、相対的に見ても持ち家は経済合理性が高い選択といえそうです。

賃貸・持ち家に向いているのはどんな人?

賃貸と持ち家のどちらが適しているのかを判断するときは、コストだけでなく今後のライフプランや価値観なども踏まえて検討することが大切です。

ここでは、賃貸物件と持ち家のそれぞれが向いている人の特徴を解説します。

賃貸に向いている人

賃貸に向いている人の特徴は以下の通りです。

  • 転勤や子どもの成長などを理由に引っ越す可能性がある人
  • 住宅ローンを組むことに抵抗がある人
  • 家のメンテナンスに手間をかけたくない人
  • 勤務先から住宅手当が支給される人

転職や転勤、子どもの誕生や成長、親の介護など、生活背景の変化に合わせて柔軟に住み替えをしたい人には賃貸が向いています。

また、数千万円あるいは1億円以上の多額のローンを組むことに抵抗がある人、外壁や屋根、給湯設備などのメンテナンスをする手間を省きたい人にもおすすめできます。

勤務先から家賃補助が出る場合、賃貸に住むと毎月の住居費の負担が軽くなるため、家計が楽になり、将来に向けた貯蓄も行いやすくなるでしょう。

持ち家に向いている人

一方、持ち家に向いている人の特徴は以下の通りです。

  • 1つの場所に長く住む予定の人
  • 老後の住居費の負担を減らしたい人
  • 資産として家を残したい人
  • 内装や設備にこだわり、自由に改修したい人

特定のエリアに腰を据えて暮らすことを決めている人や、高齢になり年金生活が始まったあとに住居費の支払いに関する不安を軽減したい人には持ち家が適しています。

持ち家であれば、将来的に売却してまとまった現金に換えたり、他人に貸して賃料収入を得たりするなど、資産として有効活用することも可能です。

内装や設備などにこだわりがあり、自身や家族の好みに合わせた居住空間を作りたいと考えている方も持ち家を選択するのが良いでしょう。

まとめ

毎月10万円の家賃は、全国的にみれば高額であり、東京都におけるファミリータイプの物件の平均賃料と同じ水準です。

また、同額を住宅ローンの返済に充てれば約3,900万〜4,400万円の物件を購入できます。持ち家に40〜50年ほど住むのであれば、賃貸住宅よりも金銭的な負担は軽くなる可能性があります。

ただし、賃貸住宅には「初期費用が安い」「気軽に引っ越しができる」などのメリットがあるため、一概に持ち家が優れているとはいえません。それぞれのメリットやデメリットを押さえ、自身や家族が理想とする暮らしを考えて住まいを選ぶことが大切です。

この記事のポイント

家賃10万円の部屋に住んでいます。この家賃は安いですか?高いですか?

家賃10万円という金額が高いのか安いのか、また同じ金額を払うのであれば持ち家を購入したほうが良いのか、判断に迷う方も多いでしょう。

「家賃10万円がもったいない!10万円って高い?安い?」では、全国の家賃相場や10万円のローン返済で購入できる物件の価格を解説します。

賃貸と持ち家、それぞれのメリット・デメリットを教えてください。

賃貸と持ち家のどちらが良いかは一概にはいえません。それぞれの特徴を理解し、自身や家族の希望とライフスタイルに合っているのはどちらであるかをよく考えることが大切です。

詳しくは「賃貸と持ち家のメリット・デメリット」をご覧ください。

賃貸と持ち家、どちらが向いているのかわかりません。

賃貸と持ち家のどちらが適しているのかを判断するときは、コストだけでなく今後のライフプランや価値観なども踏まえて検討することが大切です。

詳しくは「賃貸・持ち家に向いているのはどんな人?」をご覧ください。

ライターからのワンポイントアドバイス

品木 彰

持ち家は、賃貸住宅に比べて引っ越しがしにくいとよくいわれます。しかし、将来的に不動産価格の上昇が期待できるエリアにある物件や好立地の物件などは、買い手が見つかりやすい傾向にあり、比較的容易に住み替えができます。「子どもが成長して家が手狭になった」「近隣の住民とトラブルになった」などの際に住み替えをしやすくしたいときは、不動産会社とも相談のうえ買い手が見つかりやすい持ち家を選ぶことが大切です。

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