不動産繁忙期
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不動産の繁忙期のピークはいつ?オーナーが繁忙期・閑散期にするべき空室対策

執筆者プロフィール

竹内 英二
不動産鑑定士

不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、住宅ローンアドバイザー、中小企業診断士の資格を保有。
https://grow-profit.net/

ざっくり要約!

  • 不動産の繁忙期のトップシーズンは引越しシーズンである2~3月で、閑散期はお盆休みのある8月
  • 不動産の閑散期は不動産会社も時間的に余裕があるため、賃貸オーナーにとってはさまざまな相談ができるチャンス

日本の不動産市場では、毎年決まった時期に繁忙期と閑散期が訪れます。
繁忙期のトップシーズンは2~3月、閑散期はお盆休みのある8月です。

住宅市場は需要の増減を予測できることから、閑散期にしっかりと対策を行い、繁忙期に確実に稼ぐといった戦略を取りやすいといえます。

賃貸オーナーは、不動産の繁忙期や閑散期にどのような対応を取るべきなのでしょうか。
この記事では、「不動産の繁忙期」について解説しますので、ぜひ参考にしてください。

不動産の繁忙期と閑散期

不動産の繁忙期と閑散期

住宅市場の需要は、人々の生活習慣と深い関わりを有しています。
日本には毎年、同じ時期に同じイベントがあるため、住宅市場の需要も一定の法則性を持って増減します。
最初に、不動産の繁忙期と閑散期について解説します。

1~3月|繁忙期

住宅市場の最大の繁忙期は、1~3月です。
正確には2~3月、特に3月がトップシーズンとなります。

1~3月が繁忙期になるのは、日本の最大の引越しシーズンだからです。

日本は、4月から新年度や新学期が始まるため、新しい生活を始める社会人や学生、および子供を持つファミリー層の多くが3月までに引っ越しを完了させます。

また、住宅市場には賃貸と分譲があり、いずれの市場も2~3月はトップシーズンとなりますが、特に需要の偏りは賃貸市場の方が強いです。

例えば、賃貸仲介を行っている不動産会社の中には、2~3月にかけての賃貸仲介の売上が年間の8割くらいに及ぶ会社も存在します。
売買仲介では売上にこのような極端な差は生まれにくいですが、賃貸仲介では大きな差がつきやすい傾向があります。

それだけ賃貸市場では2~3月に需要が集中しやすいということであり、不動産オーナーとしては2~3月が極めて重要であると認識することが望ましいです。

4~5月|通常期

4~5月は、1~3月に比べると需要は落ちます。
ただし、4月の前半は社会人の賃貸需要がまだまだ多い時期です。

社会人の場合、急に転勤を言い渡されるケースがあります。
3月は引き継ぎ等で動けず、4月に入ってからマンスリーマンションに住みながら引っ越し先を探す社会人も多いです。

4月前半の社会人需要が終わると需要がひと段落し、通常期に入ります。

6~8月|閑散期

不動産市場は、8月が年間を通じて最も時間に余裕ができる閑散期です。

6~7月は5月と同程度の需要があり、閑散期というよりは通常期に近いといえます。

8月が閑散期となる理由は、お盆休みがあるからです。
不動産会社自体もお盆休みを取りますが、消費者も旅行に行ったり、実家に帰ったりする人が多いため、全体的に暇になります。

また、近年は夏に猛暑や酷暑となる日が多いことから、人が家の中に閉じこもりがちなことも閑散期に拍車をかけている要因と考えられます。

9~10月|繁忙期

2~3月ほどではありませんが、9~10月も年間を通じてみると2番目の繁忙期です。

日本の企業は秋の10月に人事異動の命令を出す企業も多く、9月には社会人を中心とした賃貸需要の増加があります。

社会人を中心とした賃貸需要であることから、9月にはファミリー世帯の賃貸需要も見込める時期です。

11~12月|通常期

9~10月の第2繁忙期を過ぎた11~12月は、再び需要は落ち着きます。
12月は25日から冬休みに入る人も多いため、実質的な営業日数が他の月よりも1週間程度短くなります。

不動産会社は1週間少ない中で同じ量をこなすため、感覚的には忙しくなりますが、1カ月あたりの需要の量は特に増えていないことが多いです。

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不動産の繁忙期にオーナーがしておくこと

不動産の繁忙期にオーナーがしておくこと

賃貸経営で成功するには、2~3月の繁忙期に借主をしっかりと決めることがコツです。
この章では、不動産の繁忙期にオーナーがやるべきことについて解説します。

早めに退去者の確認をする

引越しシーズンである繁忙期は、入居だけでなく退去も多いです。
学生アパートであれば、卒業により3月に物件を引き払うことがよくあります。

一般的な賃貸借契約であれば、借主は30日前に解約の申し入れを行えばペナルティ無しで解約できるようになっています。

そのため多くの場合、30日前には解約の意思を確認することが可能です。

管理会社には、借主から解約の意思表示があったら、すぐに伝えてもらうようにしておきます。

退去後の原状回復工事を早めに行う

繁忙期は退去が出たらすぐに次の入居者希望者が物件を見に来ることが多いです。

そのため、退去後の原状回復工事を速やかに行う必要があります。
貸主としては、原状回復で揉めないように国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に沿った形で対応することが適切です。

仲介会社に入居者募集をしてもらう

借主から退去予告を受けたら退去時期が確定するため、管理会社にすぐに次の入居者募集を開始してもらいます。

2~3月は、「入居中」と謳って新たな入居者を募集している物件も多いです。

共用部の清掃を徹底する

繁忙期は多くの入居希望者が内見に訪れるため、目に付く共用部は清掃しておくことが望ましいといえます。

エントランスや集合郵便受け、宅配ボックス、共用廊下等にゴミが散乱していないか、いつも以上に気を配ることが適切です。

不動産の閑散期にオーナーがしておくこと

不動産の閑散期にオーナーがしておくこと

繁忙期に確実に賃貸需要を捉えるには、閑散期における準備が欠かせません。
この章では、閑散期にオーナーがやるべきことについて解説します。

仲介会社への相談・連携強化

閑散期は不動産会社も時間的に余裕があるため、賃貸オーナーにとってはさまざまな相談ができるチャンスです。

入居が長期間決まらない部屋がある場合には、何が原因として考えられるのか、不動産会社の意見を聞いてみることをおすすめします。

不動産会社は部屋を案内する際、入居希望者から不満な点を直接聞いています。
複数の入居希望者が同じ理由で入居を見送っている場合、その部分を改善すると入居が大きく改善することが多いです。

例えば、ある物件では冷蔵庫置き場が狭過ぎるという理由で入居が何回も見送られることがありました。
この物件では、リフォームで冷蔵庫置き場を広くしただけで入居率が大きく改善しています。

オーナー自身が気付いていない理由が潜んでいる可能性もあるので、普段から物件を案内している担当者に意見を聞くことは極めて重要です。

空き家を確認し設備を点検する

現在空いている部屋は、設備や内装の状態を点検し、いつでも貸せる状態にしておきます。

設備は正常に作動していたとしても、寿命を迎えてすでに老朽化している場合は入居後にすぐ壊れる可能性があるため、事前に交換しておくことも適切です。

また、長期間空室の部屋は、臭いがこもっていたり、ホコリがたまっていたりすることがあります。

余裕があれば、定期的に換気と掃除を行っておくことも望ましいです。

リフォームの着手

築古物件において、長期間入居者が決まらない部屋がある場合には、リフォームに着手することも効果的です。

リフォームはうまくいけば効果がありますが、失敗すればほとんど効果が出ないというリスクがあります。

そのため、リフォームを行う場合には、どのような工事内容をすべきか慎重に検討することが必要です。

具体的には、管理会社に相談することをおすすめします。

相談すべき内容は「そもそもリフォームすべきか」「行うならどのようなことをすべきか」「良いリフォーム業者を知っているか」等です。

築古物件の場合、家賃が安いため、リフォーム費用が費用対効果に見合わないこともよくあります。
前のめりになり過ぎず、見積を取った段階で費用が高過ぎればリフォームを見送るといった冷静な判断も必要です。

募集条件の見直し

空室対策は、リフォームだけでなく募集条件を見直すことも効果的です。

効果があるのは、貸しても良い借主の属性を広げる対策となります。

例えば、外国人可、単身高齢者可とするという対応の他に、ペット可、喫煙可とすることも属性を広げる対策です。

特に外国人に関しては、全ての部屋を外国人だけに貸す外国人専門物件とすることが効果的となります。

外国人は自力で借りられる物件を探せない人も多いため、外国人専門物件とすることで遡及効果が上がります。

外国人専門物件は、外国人コミュニティの中で物件が口コミで広がることが多く、退去が発生してもすぐに次の入居者が仲間同士の紹介で決まっていく物件もあります。

その他として、募集条件の見直しには家賃を下げることもありますが、家賃は一度下げると再び上げるのが難しいことから値下げは慎重に判断すべきです。

管理会社にアプローチ

貸主側から管理会社に対して積極的にアプローチを行い、空室を改善していくという方法もあります。

例えば、AD(エーディー:広告宣伝費)の増額を提案してみて、空室改善を図るということも考えられます。

ADとは業者インセンティブとも呼ばれ、自分の物件に優先的に借主をあっせんしてもらう動機づけの費用のことです。

具体的には、今までADが家賃の1カ月分であれば、それを2カ月分にするといった提案を持ちかけてみるということになります。

ただし、ADもいったん上げてしまうと、今後もずっと高いADを支払い続けなければならない点がデメリットです。

ADを上げる提案は、万策が尽きた後に検討すべきといえます。

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まとめ

以上、不動産の繁忙期について解説してきました。
住宅市場は、賃貸や売買を含めて人の異動に伴い、毎年同じ時期に繁忙期と閑散期が訪れます。
特に賃貸市場においては、1~3月の繁忙期が大きなチャンスです。
繁忙期の機会を逃さないようにするためには、閑散期に適切な準備を進めておくことが求められます。
管理会社とコミュニケーションを取りながら、繁忙期対策をして頂ければと思います。

この記事のポイント

不動産の繁忙期と閑散期はいつ?

住宅市場の最大の繁忙期は、1~3月です。

正確には2~3月、特に3月がトップシーズンとなります。

一方で、8月は年間を通じて最も時間に余裕ができる閑散期です。

詳しくは「不動産の繁忙期と閑散期」をご覧ください。

不動産の繁忙期にオーナーは何をすればいい?

繁忙期は退去が出たらすぐに次の入居者希望者が物件を見に来ることが多いです。

そのため、退去後の原状回復工事を速やかに行う必要があります。

詳しくは「不動産の繁忙期にオーナーがしておくこと」をご覧ください。

ライターからのワンポイントアドバイス

繁忙期や閑散期の差は、地域によって大きく異なるのが通常です。例えば、賃貸需要の強い東京23区内であれば、年間を通じた繁閑差は比較的少なくなっています。それに対して、学生街では1~3月の繁忙期の需要が極端に強いのが特徴です。そのため、閑散期にできる対策も地域によって異なります。
学生街のような地域では、閑散期にリフォームのような本格的な対策をじっくり行うことが可能です。閑散期にどのような対策を行うかは、地域の実情に合わせて決定することが望ましいといえます。

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