ざっくり要約!
- 外構タイプのうちで最も工事費が高くなるのは、構造物が多く工事の範囲が広いクローズ外構
- 外構工事に使用する素材を変更するなどの工夫をすることで、工事費用は抑えられる
外構工事とは、塀やガレージ、ウッドデッキなど、建物の外回りの工事全般のことをいいます。
注文住宅の本体工事費に、外構工事費は含まれません。建物プランを検討する際は、外構工事も並行して計画するようにし、資金計画に計上することを忘れないようにしましょう。
本記事では、外構工事にかかる費用目安や、工事費に大きく影響する要素について解説します。外構工事の費用を抑えるコツも紹介しますので、注文住宅を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
記事サマリー
外構工事とは

外構工事とは、玄関までのアプローチやガレージ、塀など、建物の外回りの構造物を造作する工事全般をいいます。
不審者の侵入や子どもの飛び出し防止など、防犯や安全性を高めることを目的に行う工事もあれば、美観やデザイン性を高める工事、庭の機能向上のために行う工事もあります。
建売住宅は、外構工事まで含めた価格で売り出されているケースがほとんどです。しかし注文住宅の場合、本体工事に外構工事は含まれません。資金計画を立てる際は、外構工事にかかる費用を忘れないようにしましょう。
ちなみに外構工事は大きく分けると、オープン外構・セミオープン(セミクローズ)外構・クローズ外構の3つのタイプがあります。
構造物が多いクローズ外構に比べて、工事範囲が少ないオープン外構はコストを抑えることができます。予算や希望に合わせて、工事のタイプを選択しましょう。
外構工事のタイプ別の特徴やメリット・デメリットについては、後半で解説します。
| ・外構工事などの「附帯工事」に関する記事はこちら 附帯工事とはどういう意味?本体工事との違いは?建設業法との関係も |
エクステリア工事との違い
外構工事に似た工事にエクステリア工事がありますが、それぞれにどのような違いがあるのでしょうか。
実はいずれも建物の外回りの工事のことを意味し、一般的にはほぼ同義で使われています。
あえて区別している場合は、外構工事が塀や門扉など、構造物を造作する工事を意味するのに対し、エクステリア工事は空間デザインも含めた工事を意味することが多いです。
インテリア(室内装飾)の対義語であるエクステリアの工事は、屋外空間を装飾するための工事とイメージするとわかりやすいかもしれません。
オープン外構とは
オープン外構とは、敷地と道路や隣地との境界を明確にするような背の高い塀やフェンスを設置せず、外部に対して開かれた外構のことをいいます。
構造物が少ない分、開放感があり、工事費を抑えられるのがメリットです。日当たりや通風を確保しやすく、見た目も明るい印象になります。
一方で外部からの侵入や視線を阻止するものがないため、防犯性が低く、プライバシーを守りづらいのがデメリットです。
人感センサー付きの照明や防犯砂利を採用するなど、セキュリティ対策を講じるようにしましょう。
セミオープン(セミクローズ)外構とは
セミオープン外構とは、部分的に塀やフェンスを設置した外構のことをいいます。
オープン外構では不安だけれど、クローズ外構ほどコストをかけずに工事をしたい方に向いています。
ほどよく開放感を得られ、予算に合わせて計画できるのがメリットです。玄関周りやリビングの窓の前にだけ塀や目隠しを設置するなどして、プライバシーを守りましょう。
しかし部分的に構造物を設置することで、死角ができやすくなります。クローズ外構よりも不審者が隠れやすい状況になるため、防犯対策を忘れないようにしてください。
クローズ外構とは
クローズ外構とは、敷地をぐるりと囲むように、高さのある塀やフェンスを設置した外構をいいます。
不審者の侵入や通行人の視線を遮ることができ、プライベートな空間を作りやすいのがメリットです。
ただしオープン外構やセミオープン外構に比べて、コストが高くなるのがデメリットです。また塀を高くしすぎると、暗い印象になりやすいため、部分的に抜け感のあるフェンスを取り入れるなどして工夫しましょう。
| ・「建築物の犬走り」に関する記事はこちら 犬走りとは?目的や材質別のメリット・デメリットを解説 |
外構工事の場所別の費用相場

外構工事にはいくつかの種類があり、工事の種類や規模、使用する素材などによって相場は異なります。
ここでは各種工事の一般的な相場を紹介しますので、ぜひ目安として参考にしてください。
門まわり
門柱や門扉、表札、ポスト、インターフォンの設置など、門まわりの工事の費用相場は、以下のとおりです。
| 工事箇所・内容 | 費用相場 |
| 門柱(表札やインターホン・ポストを含む) | 約10万円~40万円 |
| 門扉 | 約10万円~50万円 |
たとえば門柱やポストなどを別々に設置すると割高になることもありますが、すべてが一体化された「機能門柱」のようなタイプを採用することで、費用を抑えることも可能です。
門扉とは、道路との境界に設置して、防犯や安全性を高める役割をする扉のことです。アルミやステンレス製のほか、木製の門扉もあります。
採用する素材やサイズによってコストが異なるため、デザイン性や耐久性も含めて計画しましょう。
塀・フェンス
敷地周りに設置する塀は、防犯やプライバシー保護の観点から設置するものです。したがってオープン外構にする場合は、基本的には必要ありません。
クローズ外構やセミオープン外構にする場合は、塀の高さや施工する範囲をどの程度にするか検討しましょう。
塀にも種類があり、たとえばブロック塀やフェンスを設置する方法があります。ブロック塀を高く設置する場合や目隠しフェンスを設置する場合は、腰の高さほどのフェンスを設置するよりも費用は割高になるでしょう。
デザイン性が高いタイプを採用すると、フェンスであっても高額になるケースもあります。子どもの飛び出しや不審者の侵入を防ぐためなのか、目隠しをしてプライバシーを保護したいのかなど、目的や予算、好みに合わせて計画しましょう。
塀の種類ごとの費用相場は、以下のとおりです。
| 工事箇所・内容 | 費用相場 |
| ブロック塀 | 1mあたり約1万円~2万円 |
| フェンス | 1mあたり約5,000円~3万円 |
| 目隠しフェンス・塗り壁(左官仕上げ) | 1mあたり約2万円~5万円 |
| ・「目隠しフェンス」に関する記事はこちら 目隠しフェンスのメリット、デメリットとは?費用相場、安く済ませるコツも解説 |
駐車スペース
駐車スペースを設ける場合は、屋根の有無と、舗装の種類によってかかる工事費用が異なります。砂利やアスファルト、コンクリートで舗装するのが一般的で、コンクリートが最も高額になるでしょう。
たとえば屋根を必要としないオープンタイプの駐車場であれば、舗装工事だけで済みます。雨風を防ぎたい場合はカーポートの設置を検討し、車のセキュリティ対策を重視したい場合はシャッター付きのガレージにするなど、希望するタイプと予算に合わせて計画してください。
以下は、1台分の駐車スペースを設けるのにかかる費用相場です。樹木の抜根や造成工事が必要になる場合は、追加費用がかかります。実際にかかる費用については、見積額を参考にしてください。
| 工事箇所・内容 | 費用相場 |
| 砂利敷き | 約10万円~20万円 |
| アスファルト舗装 | 約15万円~20万円 |
| コンクリート舗装 | 約25万円~45万円 |
| カーポート設置 | 約40万円~60万円 |
| ガレージ設置 | 100万円前後~ |
| ・「駐車場の寸法基準」に関する記事はこちら 駐車場の寸法基準とは?車種や住宅に合わせたポイントを紹介 |
玄関アプローチ
玄関アプロ―チは、門から玄関までの空間のことをいいます。家族が毎日使う場所であり、訪問者が初めに目にする空間です。また家の外観全体のイメージにも影響するため、建物との調和やデザイン性も考慮して検討しましょう。
水はけをよくするために砂利を敷いたり、石材を貼ったりして足元を整えましょう。1㎡あたりの価格で計算することが多く、面積や使用する材料、工事内容にもよりますが、総額は約30万円~60万円を目安としてください。
| ・「玄関ポーチ」に関する記事はこちら 玄関ポーチとはどこ?後悔しない広さや屋根形状などチェックポイントも解説 |
庭
庭の芝生や植栽は、比較的DIYしやすい工事です。たとえば土留めや花壇の設置は業者に依頼して、庭木や花の植え付けを自分で行う方法もあります。
ただし芝生は、水はけが悪いと根腐れし、土が固いとうまく生育しないことがあります。施工が難しいと感じる場合は、専門業者に相談しましょう。
芝生の種類によっても異なりますが、芝生を敷く工事自体は1㎡あたり2,000円~5,000円、総額では10万円程度かかるケースが多いです。
庭の設計から施工まで依頼する本格的な工事の場合は、総額約50万円~100万円を想定しましょう。
| ・「坪庭」に関する記事はこちら 坪庭とは?身近に自然を感じられる坪庭の魅力を紹介 |
照明
玄関周りや庭に照明を設置することで、おしゃれな雰囲気を演出でき、夜間も安心して歩くことができます。防犯性も高めるのに役立つため、複数箇所への設置を検討しましょう。
照明器具の種類や設置数によってかかる費用も変動しますが、一般的には20万円程度が目安になります。
外構工事費用に影響する要素

外構工事にかかる費用は、さまざまな条件によって大きく変動します。したがって「○○工事は○○円」と言い切ることはできません。
ここでは、外構工事費用に影響を与える、代表的な要素を3つ紹介します。
外構タイプ
オープン・セミオープン・クローズのいずれのタイプの外構にするかで、工事費用は大きく変動します。
3つのタイプのうちで最も工事費が高くなるのは、構造物が多く工事の範囲が広いクローズ外構です。
次に工事費が高くなりやすいのは、クローズとオープンの中間であるセミオープン外構です。コストを極力抑えたい場合は、オープン外構を採用しましょう。
工事の範囲や採用する素材、工事内容によって異なるため、一概にはいえませんが、オープン外構は約50万円~150万円、クローズ外構は約200万円~300万円、セミオープン外構は約150万円~200万円を目安としてください。
デザイン性
デザイン性の高い外構にしようとすると、その分費用は高くなる傾向があります。
たとえば特注品や装飾された建材を多用すると、工事費は跳ね上がってしまいます。門扉やフェンス、タイルなどを選ぶ際は、単価をチェックするようにしてください。1つあたりはそれほど差がなくても、広範囲を工事する場合は大きな違いになるでしょう。
なるべく工事費を安くしたいときは、既製品やシンプルなデザインのものを選ぶようにして、材料費を抑える工夫をしましょう。
使用する素材
同じ工事をする場合でも、使用する素材によって工事費は大きく変動します。
たとえば駐車スペースをコンクリート舗装するのか、アスファルトにするのかによって、かかるコストは変わります。工事費が予算オーバーとなる場合は、素材を変更してみましょう。
レンガやインターロッキングで舗装する方法もありますが、使用する素材によって耐久性も異なります。初期費用だけで判断せず、今後のメンテナンスの有無も含めて計画するようにしてください。
外構工事費用を抑えるコツ

外構工事は数百万円単位でかかることも多く、なるべく費用を抑えたいと考える方も多いでしょう。
最後に、外構工事費用を抑えるコツを紹介します。上手に工夫して、理想の外構工事を実現させましょう。
可能な範囲でDIYする
外構工事のうち、部分的に自分たちで工事できれば、工事費を節約できます。すべてを業者に依頼するのではなく、DIYすることも検討してみましょう。
ただし塀やフェンスなど安全性にかかわるような工事は、専門業者に任せるようにしてください。
比較的工事が簡単で、手に入りやすい材料で工事できるのは以下のような工事です。
- 表札やポストの設置
- 芝生や防犯砂利の敷設
- 庭木や花の植え付け
- 玄関までのアプローチへの敷石
- 防犯カメラや照明器具の設置
素材にかかる費用を抑える
外構工事に使用する素材を変更することで、工事費用は抑えられます。
安い材料にすることで費用は軽減できますが、見栄えや耐久性が悪くなる可能性があるため、優先順位をつけて材料を選びましょう。
たとえば天然の石材よりも安いタイルを使うことで、工事費を抑えることはできますが、理想とするデザインにはならない可能性があります。見た目に影響する部分はコストをかけるなど、費用対効果を考えて素材選びをしましょう。
少しずつ段階的に進める
希望する外構工事をすべて一度に行うのではなく、最低限必要な箇所を優先して行い、資金を貯めてから追加工事として進めて行く方法があります。
段階的に工事することで、工事の質やデザインを諦める必要がなくなり、完成度の高い仕上がりになるでしょう。時間をかけてでも、理想とする外構を実現したい方に向いています。
複数の業者に相見積もりをとる
ハウスメーカーや工務店に外構工事を依頼すると、仲介料が別途かかることがあり、外構工事業者に直接依頼するよりも割高になることがあります。
外構工事の見積は、少なくとも3社以上から見積もりをとるようにし、価格や工事実績を比較したうえで依頼先を決めましょう。
補助金を活用する
外構工事の内容や工事のタイミングによっては、国や自治体の補助金を利用できるケースがあります。
まずは国や自治体のホームページや窓口で確認し、利用できる補助金がないか確認してみましょう。
たとえば以下のような補助金や支援があります。
必須工事に該当するリフォーム工事のうち、2つ以上のカテゴリーの工事をする必要がありますが、一緒に行うことで任意工事も対象になります(1件当たりの補助額の合計が5万円未満の工事は対象外)。
たとえば開口部や躯体の断熱改修工事と合わせて行う、宅配ボックス設置工事(子育て対応改修)や手すりの設置工事(バリアフリー改修)が補助の対象になります。
参考:介護保険における住宅改修
要介護者が安全に生活するために必要な手すり設置や段差を解消する工事については、支給限度基準額である20万円の9割までが支給(償還払い)されます。
まずは介護保険が利用できるか、地域を担当するケアマネージャーへ相談してみましょう。
また、自治体によっては、倒壊する危険性のあるブロック塀の撤去や、街の緑化を推進するために生垣の設置や緑化に対して、補助事業を行っているケースがあります。
補助事業の有無や内容については、各自治体のホームページや窓口で確認するようにしてください。

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まとめ
注文住宅を建てる際は、本体工事費以外に外構工事費がかかります。資金計画を立てる際は、外構工事にかかることを想定して計画しましょう。
外構工事にかかる費用は、外構のタイプ(オープン・セミオーオープン・クローズ)やデザイン性、使用する素材によっても変動します。
部分的にDIYしたり、補助金を活用したりすることで、外構工事費を抑えることも可能です。予算や希望に合わせて、外構工事を検討しましょう。
この記事のポイント
- 外構工事とは?
外構工事とは、玄関までのアプローチやガレージ、塀など、建物の外回りの構造物を造作する工事全般をいいます。
不審者の侵入や子どもの飛び出し防止など、防犯や安全性を高めることを目的に行う工事もあれば、美観やデザイン性を高める工事、庭の機能向上のために行う工事もあります。
詳しくは「外構工事とは」をご覧ください。
- 門まわりの外構工事の費用相場は?
門柱や門扉、表札、ポスト、インターフォンの設置など、門まわりの工事の費用相場は以下のとおりです。
工事箇所・内容 費用相場 門柱(表札やインターホン・ポストを含む) 約10万円~40万円 門扉 約10万円~50万円 詳しくは「外構工事の場所別の費用相場」をご覧ください。
ライターからのワンポイントアドバイス
注文住宅の本体価格や土地の購入代金に気を取られて、外構工事まで気が回らなかったという方は少なくありません。外構工事は、住みやすさだけでなく、マイホームに対する満足度にも影響します。注文住宅を建てる際は、どのような外構にしたいのか家族で相談し、早めに計画しましょう。
外構工事はハウスメーカーや工務店に依頼することも可能ですが、コストを抑えたい方は専門業者への相見積もりをおすすめします。

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