ざっくり要約!
- 文教地区とは、都市計画法に基づいて定められた特別用途地区のひとつ
- 文教地区では、一般的な娯楽施設を始め、ホテルや劇場など、教育・文化活動を行う上で好ましくない施設の建設が制限される
文教地区は、学校を中心とする教育機関や文化施設が集まり、閑静な住環境が魅力のエリアです。文教地区は東京に限らず、全国に点在しています。
この記事では、文教地区に住むメリットとデメリットをご紹介します。首都圏の代表的な文教地区も紹介するので、文教地区がどこにあるのか気になる方は参考にしてください。
記事サマリー
文教地区とは?
文教地区とは、都市計画法に基づいて定められた特別用途地区のひとつで、学校や図書館、美術館などの教育・文化施設が多く、落ち着いた住環境が特徴となっているエリアのことです。
文教地区では、一般的な娯楽施設を始め、ホテルや劇場など、教育や文化活動を行う上で好ましくない施設の建設が制限されています。
文教地区は、市町村の建築条例で定められており、建築物の具体的な規制内容に関しては、市町村の建築確認担当部署に問い合わせる必要があります。
第1種文教地区
第1種文教地区は、住居系用途地域内への指定、または教育・文化施設の周囲に指定されるため、建築規制の対象となる施設が多く、制限が厳しいエリアです。
ホテル、旅館、劇場、マーケット(市場を除く)、遊技場(学校附属のものを除く)などの建築物は建てることができません(東京都の場合)。
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)第2条第1項第一号から第三号まで及び同条第6項各号のいずれかに該当する営業に係るもの
- ホテル又は旅館(前号に該当するものを除く。)
- 劇場、映画館、演芸場、観覧場又はナイトクラブその他客にダンスをさせ、かつ、客に飲食をさせる営業を営む施設(第1号に該当するものを除く。)
- マーケット(市場を除く。)
- 遊技場又は遊戯場(学校附属のものを除く。)
- 旧工場公害防止条例(昭和24年東京都条例第72号)別表に掲げられていた作業を常時行う工場
- 勝馬投票券発売所、場外車券売場及び勝舟投票券発売所
- 前各号の建築物に類するもので、環境を害し、又は風俗を乱すおそれがあると認めて知事が指定するもの
引用元:東京都文教地区建築条例(東京都)
第2種文教地区
第2種文教地区は、住居系以外の用途地域内に指定され、第1種文教地区と同様の規制が一部ありますが、第1種文教地区よりも制限が緩和されています。
第1種文教地区と同様に、ホテル、旅館、劇場などは建てられませんが、マーケットや遊技場などは規制の対象になっていません(東京都の場合)。
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)第2条第1項第一号から第三号まで及び同条第6項各号のいずれかに該当する営業に係るもの
- ホテル又は旅館(前号に該当するものを除く。)
- 劇場、演芸場、観覧場又はナイトクラブその他客にダンスをさせ、かつ、客に飲食をさせる営業を営む施設(第一号に該当するものを除く。)
- 勝馬投票券発売所、場外車券売場及び勝舟投票券発売所
- 前各号の建築物に類するもので、環境を害し、又は風俗を乱すおそれがあると認めて知事が指定するもの
引用元:東京都文教地区建築条例(東京都)
文教地区に住むメリット
文教地区は、教育・文化施設の建設が優先され、静かで落ち着いた環境で子育てができることがメリットです。
閑静
文教地区は、学校や図書館、美術館、博物館などの教育・文化施設に建築物が限定されています。
教育や子育て環境の形成が優先され、一般的な娯楽施設は建てられないため、閑静で落ち着いた住環境が魅力です。
治安が良い
深夜まで営業する飲食店やカラオケボックスなどがあると、治安が悪くなることがありますが、文教地区は繁華街から離れていることが多く、比較的治安が良いエリアです。
また、登下校時の見守り活動や防犯パトロールなど、コミュニティ全体の安全対策に力を入れている地域も多く見られます。
子育てしやすい
文教地区には教育機関が集まっているので、子育てを支援するインフラも充実しています。幼稚園や保育園の選択肢が多く、教育方針や保育内容を比較検討しながら、子どもに最適な施設を選ぶことができます。
また、文教地区は緑豊かで公園が多い立地であることも多く、子育てにも良い環境です。親同士の考え方も近く、コミュニケーションを取りやすいでしょう。
文教地区に住むデメリット
文教地区は落ち着いた住環境が魅力の一方で、生活面では不便さを感じることがあります。
価格・賃料が高い
文教地区は子育て世帯を中心に高い人気を誇るため、周辺地域と比較して物件価格や賃料が高い傾向にあります。特に、人気のある学区内の物件はその傾向が強くなるでしょう。
初期費用だけでなく、固定資産税や管理費などの維持費用も高額になりがちなため、購入の際には長期的な資金計画を入念にしておく必要があります。
商業施設から距離があることも
文教地区は、商業施設や娯楽施設の建設が制限されるため、普段の買い物やレジャーにおいて不便を感じる場合があります。
特に、車を所有していない場合は、最寄りの商業施設まで電車やバスでの移動となり、日常的な負担が大きくなることが考えられます。
また、映画館やカラオケ、ゲームセンターなどの娯楽施設も文教地区周辺にはあまりなく、中高生の子どもが友人と遊ぶ場所に困るかもしれません。
首都圏(一都三県)の代表的な文教地区

文教地区は日本全国に点在しています。ここでは、首都圏の代表的な文教地区を4か所ご紹介します。
東京都文京区
日本屈指の文教地区として知られているのが「東京都文京区」です。明治初期に東京大学が創設されて以降、文京区には数多くの学校が創設されました。
また、文京区は繁華街から離れた立地でもあり、緑豊かで落ち着いた環境も理想的で、教育の拠点として発展を続けてきました。
現在では、東京大学を始め、お茶の水女子大学や拓殖大学、筑波大学附属小学校やお茶の水女子大学附属小学校など、名門の学校が集まる人気の学区となっています。
| ・「文京区」の不動産情報はこちら ・「文京区」に関する記事はこちら 文京区の住みやすさを解説! 歴史やおすすめエリア、治安などについてご紹介 |
埼玉県さいたま市浦和区
県庁・市役所・区役所など多くの行政機関を有する「埼玉県さいたま市浦和区」。東京大学合格者が多いことで知られる埼玉県立浦和高等学校や埼玉県立浦和第一女子高等学校など、人気の進学校が集まる文教地区としても知られています。
駅周辺は、ショッピング施設が立ち並び賑やかな印象ですが、少し外れると落ち着いた住環境が広がり、子育てに適した環境です。
また浦和区には、埼玉県立近代美術館やうらわ美術館、さいたま市立中央図書館やさいたま市青少年宇宙科学館といった芸術・文化施設も多くあります。子どもの様々な知的好奇心を育む上で良い環境になるでしょう。
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千葉県千葉市稲毛区
千葉県千葉市には、いくつかの文教地区がありますが、千葉大学や敬愛大学、千葉経済大学の3大学を有するのが「稲毛区」です。大学と連携して、学生・若者と共に挑む「まちづくり」を進めています。
主要駅は、JR稲毛駅と西千葉駅となっており、1時間程度と都心へのアクセスも良好。学生の街とあって、スーパーや飲食店、ドラッグストアなど商店街も充実しています。
また、稲毛区には大小様々な公園がありますが、少し足を伸ばせば、千葉市動物公園や稲毛海浜公園があり、文化施設としては千葉市稲毛図書館があります。自然と文化施設がバランス良くあり、子育てにもおすすめの環境です。
| ・「千葉市稲毛区」の不動産情報はこちら ・「稲毛エリア」に関する記事はこちら 都心へのアクセス性も良く閑静な住宅街が広がる街 【稲毛エリアの歴史】 |
神奈川県横浜市中区
神奈川県横浜市中区の文教地区「山手」。名門といわれる聖光学院やフェリス女学院、横浜共立学園など、有名私立中学校・高等学校が多くあるエリアです。
主要駅は、JR石川町と山手となっており、石川町からは元町商店街や中華街に程近く生活にも便利です。山手は横浜の高級住宅地といわれ、落ち着いた住環境が魅力となっています。
山手方面には根岸森林公園、本牧方面に少し足を伸ばすと三渓園がある立地です。夏にはスライダーや流れるプール、バーベキューも楽しめる横浜市本牧市民プールが隣接しています。
山手エリアには、学校や教会などの歴史的建造物も多く見られ、横浜市では保全・活用の推進、緑豊かな環境の維持、文教地区としての教育環境の維持・向上を目標に掲げています。
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まとめ
文教地区とは、都市計画法に基づいて定められた特別用途地区のひとつで、学校や図書館、美術館などの教育・文化施設が多く集まるエリアです。
閑静で治安の良い住環境が魅力で、子育てを支援するインフラが充実しています。一方で、家賃や物件価格が高い、商業施設から遠く不便といったデメリットもあります。
文教地区の物件を購入する場合は、初期費用だけでなく維持費用を含めた長期的な資金計画を検討することが重要です。
この記事のポイント
- 文教地区とはなんですか?
文教地区とは、都市計画法に基づいて定められた特別用途地区のひとつで、学校や図書館、美術館などの教育・文化施設が多く、落ち着いた住環境が特徴となっているエリアのことです。
詳しくは「文教地区とは?」をご覧ください。
- 文教地区に住むメリットはなんですか?
文教地区は、教育・文化施設の建設が優先され、静かで落ち着いた環境で子育てができることがメリットです。
詳しくは「文教地区に住むメリット」をご覧ください。
- 文教地区に住むデメリットはなんですか?
文教地区は落ち着いた住環境が魅力の一方で、生活面では不便さを感じることがあります。
詳しくは「文教地区に住むデメリット」をご覧ください。
ライターからのワンポイントアドバイス
文教地区の不動産は、治安の良さや落ち着いた住環境といった魅力が多く、子育て世帯から注目されています。不動産は、購入して住み始めると資産価値が下がり始めることが一般的です。しかし、文教地区の場合は厳しい建築制限があり、教育上好ましくない娯楽施設などが建つことは基本的にありません。そのため、街全体のブランドイメージが低下しにくく、資産価値が下がりにくいことにもつながっています。

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