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親子ローンとは?ペアローン・リレーローンの違いやメリット・デメリットを解説

執筆者プロフィール

品木 彰
品木彰
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大手生命保険会社に7年半勤め、個人営業と法人営業の両方を経験。人材サービス会社の転職エージェントとしての勤務経験もあり。 2019年1月からはフリーランスのWebライターとして独立。「お金に関する正しい知識を、より多くの人々に届けたい」という思いを原動力に、保険や不動産、資産運用、相続など幅広いジャンルの記事を執筆している。2級ファイナンシャル・プランニング技能士の資格を保有。

ざっくり要約!

  • 親子ローンには「親子ペアローン」と「親子リレーローン」の2種類があり、親の年齢や収入、借入目的に応じて適した方法を選ぶことが大切である
  • 借入額を増やせるというメリットはあるものの、共有名義による制限や相続時のトラブル、贈与税のリスクなどの注意点もある

親または子どもの年収のみでは住宅を購入することが難しい場合「親子ローン」を利用する方法があります。

親子ローンは、親と子のどちらかが単独でローンを組むよりも借入可能額を増やせる可能性があります。一方で、将来的に家の売却を検討する際に親子で揉める可能性があるなどのリスクがあるため、親子ローンを利用すべきかどうかは慎重に検討することが大切です。

この記事では、親子ローンの種類や選び方、利用する際の注意点などを解説します。

親子ローンは2種類

親子ローンとは、親と子が協力して住宅購入資金を借り入れる方法の総称です。「親子ペアローン」と「親子リレーローン」の主に2種類があります。

親子ペアローン

親子ペアローンは、親と子のそれぞれが金融機関と契約を結ぶ借入方法です。

1つの物件に対して2本の住宅ローン契約を結ぶため、親と子はそれぞれが主債務者として自身の借入分に対する返済義務を負います。

また、お互いの借入に対して連帯保証人となるのが一般的です。

親子リレーローン

親子リレーローンは、1本の住宅ローン契約を親から子へとバトンを渡すように引き継ぐ仕組みの借入方法です。

基本的には、親が主債務者として返済を始め、将来的には子が返済義務を引き継ぎます。

契約形態は、親が主債務者、子は連帯債務者(または連帯保証人)となるのが一般的です。また、子が親の返済期間中から借入全額に対して返済義務を負います。

親子ローンのメリット

親子ペアローンと親子リレーローンに共通するメリットは、以下の通りです。

  • 借入可能額を増やせる
  • 親と子のどちらも住宅ローン控除を受けられる

親子リレーローンは親子2人分の収入を合算して金融機関の審査を受けられます。親子ペアローンは親子で2本の契約を結ぶため、どちらのローンも親または子どもが単独で申し込みをするよりも、借入可能額を増やせます。

また、親と子のどちらも「住宅ローン控除」を受けることも可能です。

住宅ローン控除を受けられると、年末時点のローン残高に応じた一定金額が所得税や一部の住民税から控除されるため、税負担を軽減できます。

親子ペアローンは親と子が個別にローン契約を結ぶため、要件を満たしていればどちらも住宅ローン控除を受けられます。

親子リレーローンの場合も、親と子それぞれに持分が設定されている場合、その持分に応じた控除を受けることが可能です。

親子リレーローンのメリット・デメリット

親子リレーローンのメリット・デメリット

親子リレーローンの主なメリットとデメリットは以下の通りです。

メリットデメリット
・子の年齢を基準に返済期間を決められる
・諸費用が1契約分で済む
・親が亡くなってもローンが残る場合が多い
・子どもがローンを引き継ぐタイミングをコントロールしにくい

親子リレーローンのメリット

親子リレーローンは、後継者となる子の年齢をもとに借入期間を決められるため、長期のローンを組みやすいです。

通常、住宅ローンは契約者の完済時の年齢が80歳を超えるような返済期間には設定できません。親子リレーローンであれば親が高齢であっても、子どもが20代や30代などであれば返済期間30〜50年のローンを組むことも可能です。

住宅ローン契約自体は1本であるため、事務手数料や印紙代、司法書士への報酬などの諸費用が単独ローンと同じ1本分で済みます。

親子リレーローンのデメリット

民間金融機関が取り扱う親子リレーローンでは、子どものみが団体信用生命保険(以下、団信)に加入するのが一般的です。

子どものみが団信に加入する場合、返済途中で親が亡くなったとしてもローン残高は減りません。子どもは親の債務もすべて引き継ぐことになります。

また、親が急逝すると子どもはすぐに返済義務を負うことになるため、バトンを渡すタイミングをコントロールしにくい可能性があります。

親子ペアローンのメリット・デメリット

親子ペアローンには、以下のようなメリットとデメリットがあります。

メリットデメリット
・親子それぞれが団信に加入できる
・ライフスタイルに応じた柔軟な借り入れがしやすい
・諸費用が2本分かかる
・親が高齢であると長期のローンを組めない

親子ペアローンのメリット

親子ペアローンは、親子のそれぞれが自身の借入分を保障する団信に加入することができます。

親子2人が団信に加入すると、返済途中でどちらか一方がなくなった場合はその方のローン残債が0円となるため、残された側の返済負担が増える心配がありません。

加えて、借入金額や返済期間、金利タイプなどを親と子どもで個別に決められるため、ライフスタイルや個人の考え方などに応じて柔軟な返済プランを設計しやすいといえます。

親子ペアローンのデメリット

親子ペアローンの場合、契約を2本結ぶことになるため、事務手数料や印紙税、登記費用などが2人分かかります。

そのため、親子リレーローンに比べて諸費用が高額になる可能性があります。

また、親と子どものそれぞれが年齢や年収などをもとに金融機関の審査を受けるため、親が高齢であると返済期間が長期のローンを組むことは困難です。

【ケーススタディ】親子ペアローンとリレーローン、向いているのはどっち?

親子ペアローンと親子リレーローンのどちらが適しているかは一概にはいえません。家庭の状況や借り入れる目的に合ったローンを選ぶことが重要です。

ここでは、以下の4つのケースについて、どちらのローンが適しているかを解説します。

  • 親が高齢である場合:親子リレーローン
  • 親子ともに安定した収入がある場合:親子ペアローン
  • 子の収入が少ない・不安定な場合:親子リレーローン
  • 借り入れ額を最大限増やしたい場合:状況により異なる

親が高齢である場合:親子リレーローン

親が高齢である場合は「親子リレーローン」のほうが向いていると考えられます。これは、後継者である子どもの年齢をもとに返済期間を設定できるためです。

一般的な住宅ローンは、完済時の年齢が80歳未満となるように返済期間を設定する必要があります。

たとえば、60歳の親が単独でローンを組む場合、返済期間は原則として20年以内に設定しなければなりません。

その点、親子リレーローンは親が高齢であっても、子どもが20代や30代であれば30年を超えるローンを組める可能性があります。

金融機関や商品によっては、最長40年や50年の超長期ローンを組むことも可能です。

返済期間を長く設定できると、毎月の返済額を抑えられ、マイホーム購入後の生活がより楽になる可能性があります。

親子ともに安定した収入がある場合:親子ペアローン

親子ともに安定した収入がある場合は「親子ペアローン」が適しています。

親と子が個別に審査を受けることにより、借入額を増やせたり、金利を低く抑えられたりと好条件で契約できる可能性があるためです。

また、住宅ローン控除の恩恵をより多く受けられるという利点もあります。

とくに親子ともに所得が高く、それぞれの納税額が多い場合は、2人分の控除枠を活用することにより、世帯全体で考えたときの節税効果を高められるでしょう。

子の収入が少ない・不安定な場合:親子リレーローン

子どもの収入が少ない、または不安定な場合は「親子リレーローン」のほうが向いていると考えられます。

親子ペアローンは契約が2本になるため、親子それぞれが「独立した債務者」として別々の契約を結ぶため、双方が安定した収入を持っていることが前提となります。

子どもの年収が低い場合や短期間での転職を繰り返している場合は、審査に通過することが難しくなるでしょう。

その点、親子リレーローンは、親と子の収入を合算し、1つのローン契約として審査が行われる仕組みです。そのため、子どもが若くまだ収入が少ない場合であっても、親の返済能力を合わせることで審査に通過できる可能性があります。

借り入れ額を最大限増やしたい場合:状況により異なる

借入額を増やしたい場合、親子ペアローンと親子リレーローンのどちらが有利かは状況によって異なります。

住宅ローンの審査において融資の可否や借入可能額が決まる際の重要な判断基準となるのが「返済負担率」です。これは、年収に対する年間の総返済額の割合です。

親子リレーローンであれば、親が高齢でも子どもの年齢を基準に返済期間を長く設定できます。返済期間を長くしたことにより、年間の総返済額が抑えられると審査上の借入可能額を増やすことが可能です。

一方、親子ともに高収入でありかつ親もまだ若い場合は「親子ペアローン」を選んだほうが借入可能額が高くなることもあります。

親子ローンを組むときの注意点

親子ローンには多くのメリットがある一方で以下のような注意点もあります。

  • 共有名義には制約がある
  • 持分割合と出資割合が異なると贈与税が課されるリスクがある
  • 相続で揉める可能性がある
  • ライフステージの変化に対応しにくい

共有名義には制約がある

親子で資金を出し合って購入した住宅は、その親子の共有名義になります。

共有名義の不動産を売却したり、大規模なリフォームをしたりするには、原則として共有者である親子の同意が必要です。

将来、家族間で不仲が生じた場合や離婚・再婚などがあった際に、住宅を売却しようとしても親子の意見が対立して身動きが取れなくなる場合があります。

また、親が高齢になり認知症などで意思能力を喪失すると法的な契約行為ができません。

介護費用や医療費などを捻出するために家を売りたいと思っても、親の同意が得られず事実上の資産凍結状態となる場合があります。

持分割合と出資割合が異なると贈与税が課されるリスクがある

不動産の登記における「持分割合」は、原則として親と子どもが実際に負担した「出資割合(頭金+ローン負担額)」と一致させなければなりません。

親と子のそれぞれが出資した金額と登記上の持分割合が異なる場合、差額分が贈与とみなされて高額な贈与税が課される可能性があります。

相続で揉める可能性がある

亡くなった親が所有していた不動産の持分は相続財産となります。

そのため、親子ローンを組んで住宅を購入していると親が亡くなり相続が発生したときに、同居していた子どもと他の相続人との間でトラブルに発展する可能性があります。

とくに揉めやすいのが、相続財産の大半を不動産の持分が占めているケースです。

亡くなった人の兄弟姉妹以外の相続人には「遺留分」という最低限の遺産を受け取る権利があります。

そのため、同居の子どもが単独で家の持分を相続しようとすると、取得できる遺産の金額が遺留分にも満たなくなった相続人から一定の金銭の支払いを請求されることがあります。

子どもの手持ち資金が不足している場合、住んでいる家を売却して現金化せざるを得なくなるかもしれません。

こうしたトラブルを防ぐため、相続発生時の扱いを家族全員であらかじめ話し合っておくことや遺言書を作成するなどの方法で対策をすることが大切です。

ライフステージの変化に対応しにくい

親子ローンは、基本的に親と子どもが同居する住宅を購入するために利用するものです。金融機関や商品によっては「親子が同居すること」または「将来同居すること」が融資の条件として定められています。

親子ローンの返済中に子どもが転勤や出産などを機に別居したいと考えても、ローンの契約条件に抵触することにより、簡単には選択できない場合があります。

また、子どもはローンを完済するまで多額の債務を抱えている状態です。

将来、子ども自身が「別の家を買いたい」と考えても、新たな住宅ローンを組むことは難しいでしょう。

まとめ

親子ローンを利用すると、親と子の収入を合算して審査を受けられるため、単独では手が届かない物件も購入できる可能性があります。また、要件を満たせば親子の両方が住宅ローン控除を受けることも可能です。

主な種類は、契約を2本結ぶ「親子ペアローン」と、返済を親から子へ引き継ぐ「親子リレーローン」があり、親の年齢や互いの収入状況などに応じて選べます。

一方で、共有名義による制限がある点やライフスタイルの変化に対応しにくい点などには注意が必要です。親子ローンの利用を検討する際は、家族でよく話し合いをするとともに不動産会社や金融機関ともよく相談することをおすすめします。

この記事のポイント

親子ローンにはどのような種類がありますか?

親子ローンとは、親と子が協力して住宅購入資金を借り入れる方法の総称です。「親子ペアローン」と「親子リレーローン」の主に2種類があります。

詳しくは「親子ローンは2種類」をご覧ください。

親子ローンのメリットはなんですか?

親子ペアローンと親子リレーローンには「借入可能額を増やせる」「親と子のどちらも住宅ローン控除を受けられる」という共通するメリットがあります。

詳しくは「親子ローンのメリット」をご覧ください。

親子ローンを組む時の注意点はありますか?

親子ローンには多くのメリットがある一方で、「共有名義には制約がある」「持分割合と出資割合が異なると贈与税が課されるリスクがある」等の注意点があります。

詳しくは「親子ローンを組むときの注意点」をご覧ください。

ライターからのワンポイントアドバイス

品木 彰

親子ローンの利用を検討するときは、10年先や20年先など長期にわたるライフプランを練ることが重要となります。
「完済まで親子で同居し続けられるか」「返済途中で別居を検討したくなるようなライフイベントが起こる可能性はあるか」などをよく考えたうえで借り入れるようにしましょう。

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