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マーケットレポート

マーケットレポート2025, 12

2025年12月1日時点公表分
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レインズの中古マンション流通データの活用方法②

今回は、東日本レインズの中古マンション流通データを、不動産投資家の視点からどのように活用すべきかについて解説します。

目次
実需データの重要性
レインズデータで見るべきポイント
成約件数で市場の勢いを把握する
在庫件数で「供給過多」や「需給逼迫」の兆しを見る
成約件数で価格のトレンドをウォッチ

実需データの重要性

レインズに掲載されている物件データは、一般の個人が直接閲覧することはできませんが、中古マンションの取引状況や登録状況を集計したデータは、公益財団法人東日本不動産流通機構が運営する「REINS TOWER」というサイトで確認できます。
毎月公表される「月例マーケットウォッチ」では、首都圏をはじめ全国47都道府県における前月分の中古マンションなどの取引動向を把握することが可能です。
これらのデータは「実需」、つまり自宅購入を目的とした不動産取引に関するものです。では、こうした実需データを把握することが、投資家にとってどのような意味を持つのでしょうか。
投資用不動産の価格も、最終的には実需の動きに影響を受けるとされています。実需の変化をいち早く捉えることで、市場サイクルの兆候を察知し、リスクを抑えた投資判断につなげることができる有用な指標となります。

レインズデータで見るべきポイント

東日本レインズが公表する「月例マーケットウォッチ」は、中古マンション市場の実勢を示す基礎的なデータです。成約件数、在庫件数、成約平米単価といった指標から、市場の方向性や動きを客観的に把握することができます。

成約件数で市場の勢いを把握する

首都圏中古マンション成約件数の推移
首都圏中古マンション成約件数の推移
(公益財団法人東日本不動産流通機構「月例マーケットウォッチ」より作成。以下同様。)

成約件数は季節要因の影響を受けやすく、年度末は転勤や卒入学に伴う引っ越し需要が増えるため取引が活発になる一方、8月はお盆休みなどで営業日数が少ないことから減少する傾向があります。そのため、月ごとの増減を見るだけでなく、前年同月比で比較する方がトレンドを把握しやすくなります。グレーの前年同月比の推移を見ると、コロナ禍では大きく落ち込み、その反動で急伸した時期があったことがわかります。直近では成約件数が増加傾向にあり、市場の活発化がうかがえます。このように、成約件数からは市場の勢いを読み取ることができます。

在庫件数で「供給過多」や「需給逼迫」の兆しを見る

次に、新規登録件数や在庫件数の動向を見ていきましょう。

首都圏中古マンション新規登録件数と在庫件数の推移
首都圏中古マンション新規登録件数と在庫件数の推移
(公益財団法人東日本不動産流通機構「月例マーケットウォッチ」より作成。以下同様。)

新規登録件数や在庫件数は、需要と供給の関係でいえば「供給」にあたります。需要が供給を上回れば価格は上昇し、逆に供給が需要を上回れば価格は下落します。
そのため、在庫件数の増減を追うことは、今後の価格動向や市場の転換点を予測するうえで重要な手がかりとなります。

成約件数で価格のトレンドをウォッチ

首都圏中古マンション成約平米単価の推移
首都圏中古マンション成約平米単価の推移
(公益財団法人東日本不動産流通機構「月例マーケットウォッチ」より作成。以下同様。)

ここ数年、「中古マンション価格は天井ではないか」との声も聞かれますが、実需の堅調さなどを踏まえると、全体としては底堅い状況が続いています。投資家にとって重要なのは、“価格水準の高さ”そのものではなく、“価格上昇局面のどの段階にあるのか”を見極めることです。価格の動きだけでなく、成約件数や在庫件数との関係性をあわせて確認することで、市場の位置づけや先行きの変化をより的確に捉えることができます。

中古マンション市場のデータは、一見すると「実需向け」の情報に見えますが、投資家にとっても市場サイクルを把握するうえで欠かせない材料です。成約件数・在庫件数・成約平米単価の3つを定点的に追うことで、市場の勢い、供給バランス、価格トレンドを客観的に読み取ることができます。
いずれにしても、短期的な価格変動に振り回されず、中長期的な視点で市場を観察することが重要です。

ご留意事項
不動産投資はリスク(不確実性)を含む商品であり、投資元本が保証されているものではなく、元本を上回る損失が発生する可能性がございます。
本マーケットレポート に掲載されている指標(例:利回り、賃料、不動産価格、REIT指数、金利など)は、
不動産市場や金融市場の影響を受ける変動リスクを含むものであり、これらの変動が原因で損失が生じる恐れがあります。
投資をする際はお客様ご自身でご判断ください。当社は一切の責任を負いません。
本マーケットレポートに掲載されている情報は、2025年12月1日時点公表分です。
各指標は今後更新される予定があります。
本マーケットレポートに掲載した記事の無断複製・無断転載を禁じます。
2025年12月 マーケットレポート 
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