プロパティスタ|PROPERTISTA 東急リバブル

MENU

不動産エコノミストが読み解く
マーケット情報Vol.7

MARKET COLUMN専門家コラム Vol.7PDFをダウンロードダウンロード

専門家
コラムVol. 7

数字で見る東京23区転出超過の真相。
賃貸需要はこれからどうなる?

コラムニスト・吉崎 誠二|プロフィール写真 COLUMNIST PROFILE

吉崎 誠二

不動産エコノミスト
社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長

先ごろ、総務省統計局から21年12月の「人口移動報告」が公表されました。
これにより、21年1年間の人口移動の実態が見えてきます。

2021年の都道府県間の移動者は 2,476,640人で、20年分からプラス12,648人(+0.5%)となりました。2020年は前年に比べてマイナス104,094人と大きく減少しましたが、移動数は大きく戻らなかったという結果となりました。
いまだ新型コロナウイルスの影響が大きいものと思われます。

20年は東京都を除く46道府県で転出数が減りましたが、21年はその反動なのか24都道府県で増加となりました。3大都市全体では65,873人の転入超過となり、これは前年比でマイナス15,865人、2年連続の縮小となりました。

2021年東京都の状況

東京都の転入超過数は10,815人(日本人のみの集計)で、2019年の86,575人から、87%もの大幅なマイナスとなりました。しかし、転入がプラスであることには変わりありません。

新型コロナウイルスの影響が色濃く出た2020年の数字では、転入超過数が38,374人でしたので、影響2年目といえる2021年では大きく状況が変化しているようです。
また、東京23区においては、年間の転出者が転入者を上回る転出超過となりました。東京23区が転出超過となったのは、外国人を含めた集計を開始した2014年以来初めてで、日本人のみの統計で遡っても1996年以来、25年振りのことです。
コロナ禍前の2019年まで5万~7万人程度の転入超過で推移してきました。

今回の転出超過が続くのか一時的なものかはわかりませんが、少なくとも21年に限っては大きな変化となりました。

東京圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)で見れば、81,699人の転入超過となり、前年比でマイナス17,544人、これは2年連続のマイナスです。
都県別にみると、全ての都県で転入超過であり、東京都は5,433人(外国人も含めた集計)、神奈川県は31,844人(外国人を含めた集計)、埼玉県は27,807人(外国人を含めた集計)、千葉県は16,615人(外国人を含めた集計)でした。神奈川・埼玉・千葉県では、転入超過数が増加したのに対して、東京都では転入超過数が2年連続の減少となりました。前年の転入超過数は31,125人(外国人を含めた集計)でしたので大きく減少したことになります。

東京の人口流入の歴史

2021年の東京都への転入者数は、人口移動の集計が始まった1954年以降で最も少ない388,297人でした。1960年代の高度成長期には年間65~70万人もの人が東京に転入していました。上信越や東北地方などの若者が仕事を求めてやってきたわけです。1980年代に入り、東京の地価・住宅価格が上昇すると、神奈川県や埼玉県、千葉県に自宅を購入する方が増え、転入数は減少に向かいます。その後、都心回帰と言われた1995年頃からジワジワと転入数は増加していました。そうして、都心の一極集中の是正議論が高まることになります。「東京都の転入数の推移」グラフを参考にしてください。

しかし、2020年に広まったコロナ禍の影響でテレワークが浸透するなどライフスタイルの変化が都市部の多くで浸透し、21年の数字を見ていると、一極集中が少し是正され始めている状況と言えそうです。
東京の周辺都市埼玉県や神奈川県、千葉県では転入超過が拡大、また、21年には群馬県、茨城県、山梨県なども転入超過となりました。
そして、人口移動の状況を細かく見ると、いま述べたような傾向は全世代に起こっていることではないようです。

東京都の転入数の推移|グラフ
変化が起こっているのはファミリー層

この人口移動報告は、5歳刻みでの集計もあります。これをみれば、年代ごとの傾向が分かります。
グラフはコロナ禍前の2019年と2021年の転入超過数の年代ごとの比較をしたものです。
19年と21年で大きく変化しているのは、子育て世代と言われる30~40代前半における転出が大幅に増えていること、そして子ども世代、特に9歳以下の世代の転出が増えていることです。
また、15~19歳、概ね進学での転入と思われますが、この世代の転入数はほぼ横ばい、20代、概ね就職での転入と思われますが、この世代では大幅な転入超過には変わりありませんが、その数字が少し減少しています。
こうした傾向は、東京圏の数字(合計数字)で見ても共通する特徴です。
つまり、「リモートワークの浸透で郊外に転居したのは、概ねファミリー層であり、若年層は、こうした傾向はあまり顕著ではない」ということが数字の上からは推測されます。

進学、就職での転入者の大半が、少なくとも結婚して子供を持つまでは賃貸住宅に住むことが多いことから考えると、首都圏における賃貸住宅需要は、大きな落ち込みはないものと思われます。

【年齢別】東京23区転入超過数(2019年・2021年)|グラフ
コラムニスト・吉崎 誠二|プロフィール写真 COLUMNIST PROFILE

吉崎 誠二

不動産エコノミスト
社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長

早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。
 立教大学大学院 博士前期課程修了。

㈱船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者 、(株)ディーサイン取締役 不動産研究所所長 を経て 現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、テレビ、ラジオのレギュラー番組に出演、また全国新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。

著書:「不動産サイクル理論で読み解く 不動産投資のプロフェッショナル戦術」(日本実業出版社)、 「大激変 2020年の住宅・不動産市場」(朝日新聞出版)「消費マンションを買う人、資産マンションを選べる人」(青春新書)等11冊。多数の媒体に連載を持つ。

(レギュラー出演)
ラジオNIKKEI「吉崎誠二のウォームアップ 840」(ニュース解説番組)
「はいさい!沖縄デュアルライフ」 (吉崎誠二×新山千春)
「吉崎誠二・坂本慎太郎の至高のポートフォリオ」(不動産投資番組)

テレビ番組:BS11や日経CNBCなどの多数の番組に出演

吉崎誠二公式サイト http://yoshizakiseiji.com/

ご留意事項
※不動産に対する投資はリスク(不確実性)を含んでおり、投資元本が保証されているものではなく、元本を下回る損失が発⽣する可能性がございます。
※本マーケットレポート に掲載されている指標(例:利回り、賃料、不動産価格、REIT指数、金利など)は、不動産市場や金融市場の影響を受ける変動リスクを含むものであり、
これらの変動が原因で損失が生じる恐れがあります。 投資をする際はお客様ご自身でご判断ください。当社は一切の責任を負いません。
※本マーケットレポートに掲載されている情報は、2022年2月22日時点公表分です。各指標は今後更新される予定があります。
※本マーケットレポートに掲載した記事の無断複製・無断転載を禁じます。

PROPERTISTA 買う時も、売る時も、
もっとわかりやすく、
もっと迅速に。