規格,住宅
更新日:  

規格住宅とは?特徴やメーカー選びのポイントを紹介

執筆者プロフィール

竹内 英二
不動産鑑定士

不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、住宅ローンアドバイザー、中小企業診断士の資格を保有。
https://grow-profit.net/

ざっくり要約!

  • 規格住宅とはハウスメーカーが用意している仕様の中から選んで建てる住宅のこと
  • 規格住宅はハウスメーカーが大量発注によって安く調達している仕様の中から設備などを選ぶことができ、コストパフォーマンスが良い

戸建て住宅の一つに、「規格住宅」があります。
規格住宅とは、ハウスメーカーの規格に基づいてプランを選択しながら建てる住宅のことです。設計の自由度は、建売住宅よりも高く、注文住宅よりも低くなります。

規格住宅は建売住宅と注文住宅の中間に位置し、建売住宅や注文住宅にはないメリットやデメリットが存在します。

この記事では、「規格住宅」について解説します。

規格住宅とは

規格住宅とは

規格住宅とは、ハウスメーカーが用意している仕様の中から選んで建てる住宅のことです。

注文住宅のようにゼロから設計するのではなく、あらかじめ用意された間取りや設備、仕上材の中から自分で好きなものを選んで建てる住宅となります。

同様類似のものに、セミオーダー住宅があります。
セミオーダー住宅も、あらかじめ用意されたプランの中から選んで建てる住宅のことです。

規格住宅とセミオーダー住宅はほぼ同義ですが、規格住宅よりも設計の自由度が高いニュアンスを伝えたい場合には、セミオーダー住宅と称することが多いようです。

注文住宅・建売住宅との違い

注文住宅とはゼロから設計して建てる住宅のことで、フルオーダー住宅とも呼ばれています。

注文住宅は発注者の希望に沿ってプランを検討していくため、自由な設計の建物を建てられる点がメリットです。ただし、コストは割高で設計の打ち合わせに多大な労力がかかり、設計の失敗をするリスクがある点がデメリットとなります。

建売住宅とは、竣工した状態で売られている新築住宅のことです。

建売住宅はハウスメーカーの経験やノウハウを元に設計された建物であるため、注文住宅よりも設計上の失敗が少ないというメリットがあります。

ただし、コストを抑えて建てられているため、採算を取るために土地が小さく分割されがちで建物も狭かったり、設備が標準的で注文住宅に比べると仕様が劣ったりすることも多い点がデメリットです。

規格住宅のメリット

規格住宅のメリット

規格住宅にはさまざまなメリットがあります。
ここでは、主なメリットについて紹介します。

コスパが良い

規格住宅は、コストパフォーマンスが良い点がメリットです。
規格住宅ではハウスメーカーが大量発注によって安く調達している仕様の中から設備や仕上げ材を選ぶことができます。

そのため、注文住宅のように一つひとつを個別に注文して建てるよりも、全体のコストを抑えやすいです。

また、ハウスメーカーは設備等の性能を確認したうえで標準仕様を決めていることから、選べる仕様でもパフォーマンスが十分に備わっているといえます。

設計の失敗を防ぎやすい

規格住宅は、あらかじめ用意されている仕様の中から間取りや設備を選ぶため、設計の失敗を防ぎやすい点がメリットです。

注文住宅の場合、設計の自由度が高いことから、例えば空調の利きにくい部屋や動線の悪い部屋を作ってしまうことがあります。

規格住宅はハウスメーカーの豊富な経験に基づき標準仕様を決めているため、住みやすさに関して一定のレベルが確保されています。
そのため、注文住宅でありがちな後悔が発生するリスクは低いです。

良質な素材を選ぶことができる

規格住宅は、用意されている仕様の中から良質な素材を選ぶことができる点がメリットです。

建売住宅では、コストを抑えるために仕様が低い素材が使われていることがあります。
外装材で仕様の低い素材が使われている建物は、安普請に見えてしまうことも多いです。

規格住宅では、良質な素材を選ぶことができるため、デザインが良く、機能性も高い住宅を建てることができます。

規格住宅のデメリット

規格住宅のデメリット

規格住宅にはメリットが多い一方で、デメリットもあります。
規格住宅を検討しているなら、デメリットも把握しておくことが望ましいです。
この章では、規格住宅のデメリットについて紹介します。

設計に一定の制約が生じる

規格住宅は、注文住宅と比べて設計に一定の制約が生じる点がデメリットです。
間取りや設備、仕上材等はあらかじめ選べるものが決まっているため、自由な設計はできなくなります。

標準仕様以外の設備では割高になることもある

規格住宅では、一部の商品については標準仕様以外のものを選択できる場合もあります。
標準仕様以外の商品を選択すると、割高になる点がデメリットです。

仕上材選びで失敗するリスクがある

規格住宅では、仕上材選びで失敗するリスクがある点がデメリットです。
規格住宅において仕様を選択できることはメリットではあるものの、逆に選択ミスも生じる可能性があります。

例えば、玄関の床材として白基調の石を選択すると、汚れが目立ち、頻繁に掃除が必要になってしまうことがあります。

仕様選びの後悔は注文住宅で発生しやすいですが、規格住宅でも同様の後悔が生じやすいです。

規格住宅がおすすめの人

規格住宅がおすすめの人

規格住宅がおすすめの人は、以下のような人たちです。

【規格住宅がおすすめの人】

  • ある程度の選択肢の中から、好みの設備や仕様を選びたい人
  • 設計の打ち合わせの負担を減らしたい人

規格住宅は、仕様を選べる余地があるため、自分で間取りや設備をある程度決定したい人におすすめです。

また、規格住宅は注文住宅と比べると、設計の打ち合わせの負担を大幅に削減することができます。

そのため、設計の打ち合わせの負担を減らしたい人にもおすすめです。

規格住宅を建てる流れ

規格住宅を建てる流れ

規格住宅は、おおまかな流れを知っておくとスムーズに家を建てることができるようになります。

規格住宅を建てるおおまかな流れは、以下の通りです。

【規格住宅を建てる流れ】

  1. 規格住宅を扱う会社の情報収集・絞り込み
  2. 相談する
  3. プラン・見積もりを確認して納得した場合は契約
  4. 着工
  5. 建物の竣工後、引き渡し

最初に行うことは、規格住宅を扱う会社の情報収集と絞り込みです。

規格住宅は、全てのハウスメーカーで行っているわけではありません。
また、セミオーダー住宅の名称で規格住宅を取り扱っている会社もあります。

そのため、「規格住宅」または「セミオーダー住宅」という両方のキーワードを使って、ハウスメーカーを探すことが適切です。
ハウスメーカーは、インターネットだけでなく住宅展示場でも探すことができます。

規格住宅を扱うハウスメーカーを数社絞り込んだら、次に相談に行きます。

規格住宅は各社で規格の内容が異なるため、相談ではどのようなことができるかを確認することがポイントです。

相談に関しては、複数のハウスメーカーに相談することが望ましいといえます。
住宅展示場であれば各ハウスメーカーの担当者が待機しているため、複数のハウスメーカーに効率良く相談ができます。

見積もり金額も、複数社で比較することが望ましいです。
納得感のある見積もり額を提示する会社が見つかったら、その会社と工事の請負契約を締結します。

工事が着工して竣工したら、発注者に引き渡され、完了です。

規格住宅を建てるメーカーを選ぶポイント

規格住宅を建てるメーカーを選ぶポイント

規格住宅は、どこに依頼すべきか迷っている方もいらっしゃると思います。
ここでは、チェックすべき点を紹介します。

譲れないポイントを明確にする

ハウスメーカーを選ぶ際は、事前に譲れないポイントを明確にすることが望ましいです。

譲れないポイントとしては、例えば予算があります。
適正な住宅ローンの額は収入によって決まるため、まずは予算を確定しておくことが望ましいです。

また、耐震性や省エネ性能等の住宅の性能についてこだわりのある人は、希望の条件を決めておきます。

条件に合ったメーカーを探す

譲れないポイントを決めたら、条件に合った規格住宅を提供しているメーカーを探します。

各ハウスメーカーの最も大きな特徴は、得意とする構造が違うという点です。

建物の構造には木造や軽量鉄骨造、重量鉄骨造があり、各ハウスメーカーはそれぞれ得意とする構造を有しています。

建築費に関しては、低い順から木造、軽量鉄骨造、重量鉄骨造となることが一般的です。

ただし木造は地震時の揺れが大きいことから、一般的には外壁の仕上材に石やタイルといった重い素材を選択することはできません。

一方で、重量鉄骨造は地震時の揺れが小さいことから、石やタイルといった重い素材を選択することができます。

そのため、重量鉄骨造は高級感のある家を建てることができ、選択できるデザインの幅が広くなる点が特徴です。

ハウスメーカーの得意とする構造を把握してから規格住宅の内容を調べると、価格や選択できる仕上材の違いを理解できるようになります。

・「ハウスメーカー」に関する記事はこちら
ハウスメーカーのおすすめの選び方と注意点│工務店との違いは?

希望の土地に建てられるか確認する

すでに土地を持っている人や、希望の土地がある場合には、その土地で規格住宅を建てられるかを確認することが必要です。

例えば、防火地域と呼ばれる地域内では、一定の要件を満たす建物は耐火建築物としなければなりません。
防火地域では、木造で建てられないこともあります。

なお、土地の建築制限についてはハウスメーカーが最終的に調べてくれるため、相談の段階では過度に気にする必要はありません。

まとめ

以上、規格住宅について解説してきました。
規格住宅のメリットには、「コスパが良い」や「設計の失敗を防ぎやすい」等があります。
デメリットは、「設計に一定の制約が生じる」や「標準仕様以外の設備では割高になることもある」等です。
規格住宅を建てるには、まずは規格住宅を扱うハウスメーカーに相談することが第一歩となります。
規格住宅はメーカーによってさまざまな企画が存在することから、十分に比較検討したうえで施工会社を選定することをおすすめします。

この記事のポイント

規格住宅のメリットは?

規格住宅は、コストパフォーマンスが良い点がメリットです。規格住宅ではハウスメーカーが大量発注によって安く調達している仕様の中から設備や仕上げ材を選ぶことができます。
そのため、注文住宅のように一つひとつを個別に注文して建てるよりも、全体のコストを抑えやすいです。

詳しくは「規格住宅のメリット」をご覧ください。

規格住宅のデメリットは?

規格住宅は、注文住宅と比べて設計に一定の制約が生じる点がデメリットです。
間取りや設備、仕上材等はあらかじめ選べるものが決まっているため、自由な設計はできなくなります。

詳しくは「規格住宅のデメリット」をご覧ください。

ライターからのワンポイントアドバイス

規格住宅を建てる際は、家の断熱性も考慮して建てることが望ましいです。断熱性の高い住宅は、冬は暖かく、夏は涼しく過ごすことができます。家の断熱化に関してはまだ歴史が浅いため、ハウスメーカーによって技術やノウハウの差が大きいです。
必ずしも大手のノウハウが高いとは限らず、中小でも早くから断熱化に取り組んできた会社は高いノウハウを有しています。デザインだけでなく、断熱化にどれだけ注力してきたかも踏まえてハウスメーカーを選ぶことが望ましいといえます。

ハッシュタグから物件検索!

300種類以上のハッシュタグから「理想の住まい」を探してみませんか?
#タワーマンション #ペット #リノベーション

「ハッシュタグ検索」はこちら