ざっくり要約!
- アフォーダブル住宅とは、東京都で官民連携により提供の準備が進められている安価に住める住宅
- 東京都のアフォーダブル住宅の提供開始は2026年を予定している
住宅価格や賃料の高騰、空き家の増加などを背景に、近年「アフォーダブル住宅」の普及が推進されています。「アフォーダブル」は「安価な」「手軽な」という意味の形容詞です。したがって、アフォーダブル住宅は「安価に住める住宅」という意味になります。2026年には、東京都で提供が開始される予定です。
この記事では、アフォーダブル住宅の詳細や東京都で進められている政策の現状、背景などを解説します。
記事サマリー
アフォーダブル住宅とは?
アフォーダブル住宅とは、東京都が推進している官民連携の住宅政策のひとつで、子育て世帯などが手頃な価格で安心して住むことができる賃貸住宅を指します。東京都のみならず、国土交通省も都市部の実需層が無理なく住宅を取得できるようアフォーダビリティの確保を目指しているため、今後は他の自治体等でもアフォーダブル住宅の導入が進む可能性があります。
セーフティネット住宅との違い
自治体が推進している賃貸住宅として「セーフティネット住宅」が挙げられますが、これは高齢者や低額所得者、障害者など住宅確保要配慮者が安心して生活を送るための基盤となる住まいを確保することを目的としています。東京都でも「東京ささエール住宅」という愛称でセーフティネット住宅の供給と普及が推進されています。一方、アフォーダブル住宅は、住宅確保要配慮者ではなく、基本的に子育て世帯やひとり親世帯などを対象としています。
また、事業スキームにおいても明確な違いがあります。セーフティネット住宅は広く入居できる物件として都道府県に登録された住宅を指しますが、アフォーダブル住宅は東京都と民間が出資したファンドが投資して家賃を軽減する仕組みです。
アフォーダブル住宅の供給はいつから?

アフォーダブル住宅の推進は、現都知事の小池百合子氏が都知事選で掲げていた公約のひとつです。2025年1月、「東京都の少子化対策2025」のひとつとして、アフォーダブル住宅の普及促進のため官民連携のファンドを立ち上げることが発表されました。
総額200億円の官民ファンドを創設
東京都のアフォーダブル住宅は、都と民間が連携してファンドを立ち上げて供給される予定です。2025年7月現在、ファンド立ち上げのため運営事業者の募集が始まっています。都が100億円を出資し、民間出資と合わせて総額200億円規模のファンド創出を目指しています。
賃料は市場価格の8割程度
アフォーダブル住宅の賃料はまだ未定ですが、都は市場価格の8割程度と想定しています。一方、公明党は都の収益を最小限とし、民間からの出資や収益率を下げることで、市場価格の6割程度まで引き下げられると訴えています。
2026年度の提供開始を目指す
アフォーダブル住宅の提供開始予定は、2026年度中とされています。運営事業者の募集期間は2025年7月29日までで、10月頃に選定委員会で審査が行われ運営事業者が決定する予定です。
アフォーダブル住宅普及の背景

アフォーダブル住宅政策推進の背景には、次のように複数の社会課題があります。
空き家の増加

アフォーダブル住宅政策は、中低所得世帯向けに安価な住宅を提供することに加え、空き家の有効活用も目的のひとつとされています。東京都の空き家率は10.9%と、全国平均の13.8%を下回っているものの、家屋の数が多いことから空き家の数自体は全国で最多です。
| ・「空き家」に関する記事はこちら 空き家を手放したいなら早くすべき!5つの処分方法と注意点 空き家の売却でかかる税金とは?特別控除についても解説 |
少子化

先のとおり、東京都のアフォーダブル住宅政策は少子化対策のひとつです。出生数は2015年以降、全国的に減少傾向にあり、2023年には国・都ともに過去最低を記録しました。
都の少子化対策は婚活や不妊治療の支援、保育園や学童などの整備、学費の補助など多岐にわたりますが、住宅は暮らしの基盤となります。東京都では、アフォーダブル住宅政策に加え、住宅の整備・改修を行う事業者などを支援する「東京こどもすくすく住宅」の推進や子育て対応住宅に改修するための支援なども行っています。
住宅の価格・賃料の高騰

東京都が実施した若年層および子育て世代を対象とした意識調査によれば「住宅に係る家賃や購入費が高い」ことが子育てする上での住環境・教育での課題のトップに挙がっています。とくに23区内など都市部の住宅価格および賃料の昨今の上昇率は高く、光熱費や食費などの物価上昇も著しいことから、東京都では子育て世帯の住環境の向上を喫緊の課題に位置づけています。
【2025年東京・大阪】住宅価格・賃料相場




上記は、東京都・大阪府の中古マンション、中古戸建ての価格推移を表しています。都区部および大阪市の2025年5月時点の平均価格は以下のとおりです。(かっこ内は前年比上昇率)
| 東京都23区 | 大阪市 | ||
| 中古マンション | 中古戸建て | 中古マンション | 中古戸建て |
| 128.65万円/㎡ (13.3%) | 6,898万円 (11.3%) | 70.70万円/㎡ (16.3%) | 3,664万円 (14.6%) |
いずれも前年比上昇率は10%を超えており、2025年に入ってからは成約数が大幅に増加し、在庫物件数も減少傾向にあります。

一方、東京・大阪では賃貸住宅の家賃も上昇傾向にあり、2023年以降は上昇率が一層高まっています。
アフォーダブル住宅政策は、住宅価格・賃料の高騰が進むなか、都市部で暮らす子育て世帯や若年層が、経済的な不安を抱えることなく安心して住み続けられる環境づくりの一貫として推進されているのです。
| ・「不動産市場」に関する記事はこちら 2025年不動産市場を考察! 2025年問題・金利上昇の影響は? 不動産の2025年問題とは? 大暴落が危惧される理由 |
まとめ
住宅政策の課題が複雑化・多層化するなか、アフォーダブル住宅は「家賃が高くて希望のエリアに住めない」「子育てに適した住宅が見つからない」といった切実な声に応えるための制度として生まれました。東京都の事例は先進的な取り組みであり、今後は他の都市や自治体でも同様の動きが広がっていく可能性があります。
とはいえ、東京都のアフォーダブル住宅政策は現時点で予算が限定的であることから、希望するすべての世帯が入居できるわけではないものと推察されます。こうした制度の有無に加え、背景や実態を理解し、住まい選びに役立てましょう。
この記事のポイント
- アフォーダブル住宅とは何ですか?
官民連携で提供される「安価に住める住宅」です。東京都では2026年度の提供を目指し、政策が推進されています。
詳しくは「アフォーダブル住宅とは?」をご覧ください。
- アフォーダブル住宅政策推進の背景は?
空き家の増加、少子化、住宅価格や家賃の高騰といった課題の解決が背景にあります。
詳しくは「アフォーダブル住宅普及の背景」をご覧ください。
- 都市部の不動産価格・賃料はどの程度高騰しているの?
東京23区・大阪市の2025年5月の中古住宅価格は、前年比10%以上の上昇が見られます。賃料も東京都では2023年から2025年にかけて1割ほど上昇しています。
詳しくは「【2025年東京・大阪】住宅価格・賃料相場」をご覧ください。
ライターからのワンポイントアドバイス
住宅は単に「住めればいい」ではなく、暮らしの質に大きく関わる要素です。子育てや働き方、将来のライフプランまで視野に入れると、家賃や立地だけでなく、地域の支援制度や住宅政策などを知っておくことが大切です。

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