ざっくり要約!
- マンションの売却価格は、基本的に経年によって落ちていく
- 成約に至る中古マンションの築年数は上昇傾向にある
マンションの売却価格は、基本的に築年数が古くなればなるほど落ちていきます。ただ毎年一律に価値を下げていくのではなく、価値が落ちやすい築年帯と価値が維持されやすい築年帯があります。
売却を検討する際は、こうした築年帯ごとの売却相場の傾向を知っておくと良いでしょう。この記事では、マンションの売却価格と築年数の相関や築年帯ごとの売却のコツなどを解説します。
記事サマリー
マンションの売却相場は築年数が高いほど落ちる

東日本不動産流通機構によれば、2024年に首都圏で成約した中古マンションのうち、最も平均成約平米単価が高かったのは「築0〜築5年」で、平均平米単価は「126.08万円/㎡」でした。最も低かった「築31年〜築35年」の平均平米単価は「40.54万円/㎡」。「築0〜築5年」の3分の1以下です。
中古マンションの売却相場(平均平米単価)は、基本的に築年数が高いほど低くなります。建物は経年によって劣化していくため「古いより新しいほうが良い」と考える方が多いことは容易に想像できます。
ただし、経年によって同じだけ価値を落としていくのではなく、価値の下落率には築年帯によって差があるようです。たとえば「築6年〜築10年」から「築11年〜築15年」にかけての下落率は9%と小さいですが「築26年〜築30年」から「築31年〜築35年」にかけては30%下落しています。
成約した中古マンションの4割以上が築30年以上

東日本不動産流通機構によれば、2025年3月に首都圏で成約した中古マンションの平均築年数は「26.58年」でした。平均成約築年数は、上図のとおり上昇傾向にあります。

2024年に首都圏で成約した中古マンションの築年帯別構成比率を見ると、築41年〜が最も高く、築30年以上の中古マンションは4割以上を占めていることがわかります。築30年以上など高経年のマンションは売りにくいというイメージもあるかもしれませんが、決してそのようなことはありません。
・「築30年のマンション」に関する記事はこちら
築30年のマンションには何年住める?購入するときに見ておきたいポイントとは
マンションを売却するベストなタイミングは?

マンションを売却するベストなタイミングは、家庭の事情によって異なります。しかし、所有期間や築年帯が手残りや売却金額に影響する可能性があるため、次のポイントを認識しておきましょう。
所有期間が5年を超えてから

出典:国土交通省
マンションの価格はここ数年、上昇し続けており、購入時より高くマンションが売れることも少なくありません。しかし、マンションの売却による譲渡所得(売却益)は、課税の対象となります。譲渡所得税の税率は、マンションの所有期間によって以下のように異なります。
| 所有期間 | 所得税 | 住民税 | 合計税率 | |
|---|---|---|---|---|
| 短期譲渡所得 | 5年以下 | 30.63% | 9% | 39.63% |
| 長期譲渡所得 | 5年超 | 15.315% | 5% | 20.315% |
このように所有期間が5年以下か5年超かで税率が大きく異なるため、所有期間が5年を超えたタイミングで売却することで税額を抑えられることもあります。
ただし、マイホームの売却では「3,000万円特別控除の特例」が適用できるため、そもそも課税対象とならない場合があります。適用には一定の条件があるため、事前に条件や税金について調べたうえで売却時期を検討しましょう。
・「長期譲渡所得」に関する記事はこちら
長期譲渡所得とは?短期との違いや計算方法、特別控除、軽減税率などをわかりやすく解説!
・「3,000万円控除」に関する記事はこちら
3,000万円控除とは?制度の概要、適用条件や具体的な計算方法も解説!
築20年まで
マンションの売却相場は経年によって落ちていきますが、先述のとおり、どの築年帯も一律に価値を落としていくわけではありません。
築20年までの5年ごとの減価率は10%前後ですが、築21年から築31年までの減価率は20%〜30%です。したがって、価値が大きく落ちる築20年より前に売却することで、高く売却できる可能性が高いといえます。
築31年以降
築21年から築31年まで大きく価値を落とした後、売却相場はほぼ横ばいになります。築31年以降は大きく減価しないことから、自分たちの都合も考慮しながらゆっくり売却を検討しやすい時期といえるでしょう。
ただし、高経年のマンションは立地や管理状態などの条件がシビアに見られやすい傾向にあります。これらの条件が悪いマンションは、早期売却も検討しましょう。
築何年のマンションが売却できる限界なのか
築40年、50年を超えてくると、建物の老朽化や設備の陳腐化が進み、購入検討者の選択肢から外れやすくなります。とくに、住宅ローンが組みにくくなるケースが増えるため、購入できる層が現金購入者や投資目的の層に限られ、流通性は低下しがちです。
しかし、築年数だけで一律に「売れにくい」と判断できるわけではありません。都心部や駅近など立地条件が良いマンションや、管理状態が良好で計画的な修繕が行われているマンションであれば、築40年超であっても一定の需要が見込めます。実際、市場では築古マンションでも安定して取引されているエリアは少なくありません。
重要なのは「築年数」そのものよりも、立地・管理状態・修繕履歴・市場環境といった複合的な条件です。築年数はあくまで目安にすぎず、売却可能性や価格水準は物件ごとに大きく異なります。
また、基本的に売れない不動産はありません。見た目にも老朽化が進み、立地が良いとも言いがたいマンションであっても、相場や需要を踏まえた価格設定にすることで、購入検討者の関心を集めることは可能です。
築年数が古くても売れるマンションの特徴
築年数が古いマンションであっても、条件次第では安定した需要が見込めます。ここでは、実際に市場で評価されやすい代表的な特徴を紹介します。
立地が良いマンション
マンションの評価は、立地条件が大きく影響します。都心部や駅近など利便性の高い立地にあるマンションは、築年数が経過していても一定の需要が見込まれます。また、周辺に商業施設や医療機関、学校、公園などの生活利便施設がそろっているエリアは、実需層だけでなく投資目的の購入検討者からも評価されやすい傾向にあります。
管理状態が良いマンション
築年数が古いマンションほど、管理状態の良し悪しが資産価値に大きく影響します。共用部の清掃状況や修繕履歴、長期修繕計画の有無、修繕積立金の水準などは、購入検討者が必ず確認するポイントです。
とくに近年は、マンション管理を評価する制度の創設や修繕積立金のガイドラインの改定などを背景に、マンションの管理状況がこれまで以上に重視されるようになっています。計画的な修繕が実施され、管理組合が機能しているマンションは、将来的な維持管理への不安が小さく、築年数以上に良い評価を受けるケースも少なくありません。
リノベーション済みマンション
専有部分がリノベーションされているマンションは、築年数の古さを感じにくく、購入後すぐに住める点が評価されます。また、初期費用を抑えられる点も購入検討者にとって魅力的です。
とくに間取り変更や断熱性能の改善などによって、見た目だけでなく快適性が向上しているマンションは、築古物件であっても競争力が高まります。ただし、リノベーションの内容や施工品質によって評価は大きく分かれるため、工事内容や履歴が書面等で確認できるかどうかも重要なポイントとなります。
| ・「リノベーション済みマンション」に関する記事はこちら リノベーションの価値と役割。リノベーションマンションの魅力とは ・東急リバブルのリノベーションマンション「Lideas(リディアス)」 |
【築年帯別】マンションを売却するポイント
最後に、築年帯別にマンションを売却するポイントを見ていきましょう。
築5年前後
築5年前後の築浅のマンションは、新築マンションと比較されることも多くなります。とくに、近年は新築マンションの供給数が減少していることから、しばらく新築マンションが供給されていないエリアや逆に新築マンションの開発が進み、再注目されているエリアでは、高値売却に期待できます。
ただし、先述のとおり、所有期間が5年以下のマンションの譲渡所得税の税率は39.63%です。所有期間が5年を超えて売却する場合と比べて税額が高くなる可能性があるため、譲渡所得額や控除特例の適用可否などを考慮したうえで売却時期を検討しましょう。
築15年前後
中古マンションの平均築年数は20年を超えていることから、築15年前後というと、市場では比較的新しいマンションと認識されます。ただし、築15年にもなるとだいぶ使用感が出てきており、設備や内装材は交換時期を迎えているものもあるはずです。
とはいえ、売却前に劣化したものや不具合があるものを交換・修繕するかは慎重に検討する必要があります。それは、交換・修繕の費用をまかなえるだけ高く売れるとは限らないからです。
綺麗にしなければ売れないということはありません。まずは現状のまま不動産会社に相談し、売却前に交換・修繕するかどうかも含めて一緒に売却方法を検討していきましょう。
築25年前後
築25年前後は、現在、流通している中古マンションの平均的な築年数です。物件数も多いため、他の物件と差別化することで好条件で売れる可能性が高まると考えられます。
差別化する方法としては、次のような施策が挙げられます。
- インスペクション
- ホームステージング
- ハウスクリーニング
施策との相性は、マンションの条件や競合の売り出し状況などにもよるため、不動産会社と相談しながら検討しましょう。
・「インスペクション」に関する記事はこちら
インスペクションとは?メリットや費用、注意点、自治体の補助金を解説
・「ホームステージング」に関する記事はこちら
ホームステージングとは?メリットや売却への効果、自分で行うポイントも解説
・「ハウスクリーニング」に関する記事はこちら
ハウスクリーニングの相場はいくら?水回りから一戸建てにかかる費用まで紹介
築35年前後
築35年前後というと多少の古さは否めませんが、成約した物件の築年帯別構成比率を見ると、築35年以上で成約したマンションの比率は3割以上と決して少なくありません。築35年前後のマンションは新耐震基準で建築されているため、リフォーム・リノベーションすれば十分、快適に住めるでしょう。
とはいえ、基本的に売主がリフォーム・リノベーションする必要はありません。築35年前後のマンションを購入する人の多くは、自ら改修することを前提にしているためです。買主の好みやライフスタイルに合わない改修をすることで、逆に売りにくくなってしまう可能性もあるため、基本的には現状のまま売ることを検討しましょう。
・「マンション売却前のリフォーム」に関する記事はこちら
中古マンション売却時にリフォームは必要?判断基準や費用を解説
・東急リバブルの「CGリフォーム」はこちら
旧耐震物件
1981年5月以前に建築確認申請したマンションは、旧耐震基準で建築されています。耐震診断や耐震補強工事をしていなければ耐震性に一定の不安があるため、新耐震基準で建てられたマンションと比べて売りにくいと言わざるを得ません。
とはいえ、立地や管理状態が良好であれば十分、売却可能です。立地などが優れていない場合は「買取」で売却することを検討してみましょう。買取とは、不動産会社に直接買い取ってもらう売却方法です。
・「マンション買取」に関する記事はこちら
マンションの買取とは?買取向きの物件と詳しい売却方法を徹底解説
・東急リバブルの不動産買取はこちら
築50年以上のマンションを売却する方法
築50年以上のマンションは現状、すべて旧耐震物件に該当します。現存しているマンションの中でもとくに築年数が古いため、耐震性や将来の維持管理に対する不安から、購入検討者が慎重になりやすい傾向にあります。
相場をよく確認する
築50年以上のマンションを売却する際は、相場価格をよく確認する必要があります。同じエリア内に築40年以上の物件の成約事例がある場合は参考になりますが、築古物件の成約事例が見当たらない場合は、まずは築年数を限定せず、同じエリアで広さや間取りが近い物件の直近の成約事例や現在の売り出し事例を確認しましょう。
管理状態やリフォーム履歴によって差はあるものの、立地や広さが同じであっても、築20年・築30年のマンションと同水準の価格で売却することは現実的ではありません。どの程度価格を調整すべきかは、自身だけで判断するのが難しいため、不動産会社の担当者と相談しながら、成約事例や市場動向を踏まえて価格をすり合わせていくことが大切です。
| ・「売却相場の調べ方」に関する記事はこちら マンション売却相場の調べ方は?地域別・築年数別の目安売却相場も紹介 ・東急リバブルの売出相場検索はこちら |
リノベーションプランを付けて売却する
古いマンションは、リノベーションプランを付けて売却するのも有効な戦略のひとつです。築年数が古い物件は、購入後にどの程度の改修が必要になるのかイメージしづらく、検討段階で敬遠されやすい傾向があります。
あらかじめリノベーション後の間取りイメージや参考プラン、概算費用などを提示することで、購入検討者が「この物件でどのような暮らしができるのか」を具体的に想像しやすくなります。
売主がリノベーションして売却するという手段もありますが、改修費用をそのまま売却価格に上乗せできるとは限らず、ターゲティングを誤れば、逆に需要が落ちてしまうおそれもあります。比較的安く取得でき、好きなように改修できるという点は、築古物件の大きな魅力のひとつでもあります。
設計プランや完成イメージを提示するだけでも、築古物件に対する心理的なハードルを下げる効果が期待できます。また、購入後の工事内容や費用感が見えることで、資金計画を立てやすくなり、検討が前向きに進みやすくなります。
| ・「マンション売却時のリフォーム」に関する記事はこちら 中古マンション売却時にリフォームは必要?判断基準や費用を解説 東急リバブルの「CGリフォームイメージ」 |
不動産会社に買い取ってもらう
築50年以上のマンションは、住宅ローンの利用制限や耐震性への不安などから、売却に時間がかかるケースも少なくありません。早期売却を優先したい場合や内見対応、販売活動の負担を避けたい場合は、不動産会社による買取も現実的な選択肢となります。
買取価格は市場相場より下がりやすいものの、売却時期や条件が読みやすく、スケジュールを組みやすい点は大きなメリットです。
ただし、買取業者であっても、どのような不動産でも必ず買い取ってくれるわけではありません。築年数に制限を設けている業者もあるため、複数の買取業者に相談し、対応可否や条件を比較することが大切です。
| ・「マンションの買取」に関する記事はこちら マンションの買取価格は相場の7〜9割! 査定依頼方法と不動産会社の選び方 マンション買取のデメリットとは?仲介との価格差や不動産会社選びの注意点 |
まとめ
マンションは築年数が浅いほど高く売れやすいですが、どのような築年数であっても売却は可能です。近年は平均成約築年数が上昇傾向にあり、マンション全体の築年数も上昇し、高経年マンションも増えているため、築30年、築40年の古いマンションも条件や売り方次第では好条件で売ることもできるでしょう。
築年帯ごとに売却のコツは異なりますが、築年帯だけでは最適な売却方法を判断することはできません。マンションの条件や状態、競合物件動向なども考慮し、不動産会社とともにベストな売却時期や売却方法を検討しましょう。
この記事のポイント
- マンションを売却するときの相場は?
中古マンションの売却相場(平均平米単価)は、基本的に築年数が高いほど低くなります。
詳しくは「マンションの売却相場は築年数が高いほど落ちる」をご覧ください。
- 成約したマンションの築年数はどのくらいが多いのでしょうか?
東日本不動産流通機構によれば、2025年3月に首都圏で成約した中古マンションの平均築年数は「26.58年」でした。
詳しくは「成約した中古マンションの4割以上が築30年以上」をご覧ください。
- マンション売却のベストタイミングは?
マンションを売却するベストなタイミングは、家庭の事情によって異なります。しかし、所有期間や築年帯が手残りや売却金額に影響する可能性があるため「マンションを売却するベストなタイミングは?」をご覧ください。
ライターからのワンポイントアドバイス
近年、中古マンション価格は著しく上昇しています。築年数が古いマンションも、予想を上回る金額で売れるかもしれません。一方で、金利は上昇傾向にあり、インフレが進む中、実質賃金がなかなか増えないこともあって、条件の良くないマンションの売れ行きは鈍化しているという声も聞かれます。築年数が古く、立地や管理状態が良好ではないマンションについては、早期売却も検討しましょう。


