2024年も日本の不動産価格は上昇基調を維持しました。一方で、世界に目を向けてみると、オフィス空室率の高止まりなど、金利上昇による不動産市場の低迷が見られます。2025年は堅調な東京や大阪に加え、ソウルやシドニーを筆頭としたアジア太平洋地域が注目されます。
この記事では、国内外の不動産市況レポートを基に、2024年の世界の不動産市場の振り返りと2025年の見通しをお伝えします。
記事サマリー
2024年の世界と日本の不動産市場
現在、世界的にインフレが進行しており、金利も総じて高水準で推移しています。日本は欧米諸国と比べてコロナ禍の影響が小さく、著しく低金利で、都市部の不動産価格は高騰を続けていますが、世界的に不動産市場は低迷期にあるといえます。
■世界主要都市の不動産バブル指数

上記は、2024年の世界主要国の不動産バブル指数を表しています。東京やスイスのチューリッヒ、米国のマイアミは高い数値を示していますが、ニューヨークやロンドン、パリ、ミラノなど欧米の主要都市の多くは低い数値になっています。
スイスの金融大手UBSは「価格不均等が何年にもわたり悪化した都市では、実質住宅価格が2021年央以降20%下落した」とレポートしています。一方、東京を筆頭にアジア諸国は総じて安定しており、欧米諸国とアジア太平洋地域の差が鮮明になっています。
2024年度前半の不動産市場は東京・大阪が軒並みトップ
2024年11月に日本不動産研究所が公表した「国際不動産価格賃料指数」によれば、2024年10月までの半年間のオフィス価格変動率・オフィス賃料変動率・マンション価格変動率は世界主要15都市の中で東京や大阪がトップだったということです。
欧米諸国などではオフィス空室率が高位にあって、政策金利も依然として高水準であることから、賃料および価格の低迷が続いています。米国の格付け会社ムーディーズ・アナリティックスによれば、2024年1月〜3月期のオフィス空室率は19.8%で、過去最高水準に達しました。
一方、日本はコロナ禍以降、いち早くオフィス回帰が進み、都心5区の平均空室率は2024年8月にコロナ禍の2021年1月以降初めて需給均衡の目安となる5%を下回りました。三鬼商事によれば、2024年11月時点の東京都心5区の平均空室率は4.16%。5%を切ってからもさらに空室率は下がり続け、それに伴って平均賃料も上昇傾向にあります。
2025年はアジア太平洋地域の不動産市場がさらに活発化か
大手総合不動産コンサルティングサービス・投資運用会社のコリアーズ・インターナショナル・ジャパンは2024年11月、「2025年 グローバル・インベスター・アウトルック(英文)」およびそれに関連するアジア太平洋レポートを発表しました。両レポートによれば、2025年はアジア太平洋地域の不動産市場が活発化する見込みとのことです。
世界的に「ポジティブな兆し」
同社は、インフレの緩和や主要中央銀行による金利引き下げなどを理由に、商業不動産市場は世界的にポジティブな兆しを示しているとしています。
■主要中央銀行の2024年第4四半期政策金利と2025年同期の予測

同レポートでは、2025年第4四半期の政策金利について上記のように予測しています。日本は若干の上昇予測も、世界的には緩和的な金融政策が不動産市場の活性化を促進すると見ているようです。
アジア太平洋地域のオフィスセクターを中心に注目が集まる
2025年は世界的に不動産投資市場が活発化すると見られる中、同社は金利引き下げへの期待と価格および評価ギャップの継続的な縮小などの要因がアジア太平洋地域の取引量を押し上げると予測しています。
同社が行った国際不動産投資家への調査によれば、アジア太平洋地域の調査回答者の69%が、今後5年間で管理下にある総資産の30%以上を不動産に割り当てる意向を示しており、産業およびオフィスセクターがアジア太平洋地域の投資家の最優先選択肢となっていると伝えています。
中でも日本・オーストラリア・韓国の需要は非常に高く、オフィス回帰のトレンドが加速することで、一層需要が高まる可能性があります。とくに、環境・社会・ガバナンス基準に準拠する不動産は世界的にも注目度が高いことから、ESG不動産投資の動きは今後も強まっていくものと見られます。また、オフィスに加えて、物流セクターやデータセンターなどの大規模インフラへの投機も高まっています。
2025年の日本の投資市場は?
金利上昇局面とはいえ、世界で最も資金調達がしやすいうえにオフィス空室率が低く、マンション価格も大きく上昇している日本は、2025年も世界的に魅力的な投資環境を維持するものと見られます。
■不動産価格指数(令和6年第2四半期半期分・季節調整値)


日本では、2012年の自民党への政権交代とそれによる金融緩和政策の開始以降、10年以上にわたって不動産価格が上がり続けており、コロナ禍以降、その動きが加速しています。加えて先のとおり、オフィス価格変動率・オフィス賃料変動率・マンション価格変動率は、世界主要都市の中で東京や大阪がトップ。とはいえ、まだまだ日本の不動産の賃料や価格は世界的に見て安価です。
■マンション/高級住宅(ハイエンドクラス)の価格水準の比較

上記のグラフは、2024年10月時点の東京のハイエンドクラスのマンション価格を100とした場合の他の主要都市の価格水準を表したものです。マンション価格の変動率は東京が世界1位、大阪が2位ですが、価格自体はニューヨークやロンドンに加え、北京、上海、台北よりもはるかに低い水準です。
昨今、日本の大都市部で分譲される新築マンションは「億ション」を超える「2億ション」も一般的になってきており、数十億円の部屋が分譲されたというニュースもしばしば耳にしますが、それでも高価格帯の物件の数も価格も他国と比べると低水準であることから、上昇の余地が大きい状況です。したがって、2025年も日本の不動産は引き続き世界的に見ても魅力が大きく、不動産市場も活発化していくものと考えられます。
まとめ
コロナ禍を経て低迷期にあった世界の不動産市場ですが、2025年はインフレと金融の緩和を背景に活性化する見通しです。中でもアジア太平洋地域の注目度は高く、とりわけ日本の不動産の安定性や収益性、資産性が改めて評価されています。日本の場合、金利上昇が懸念されるものの、世界的に見てもこれほどまでにレバレッジ効果が得られる市場はありません。
ただし、日本では格差が広がっており、近年はとくにエリアや物件の管理状態、設備の充実度などによる収益性、資産性の二極化が拡大しつつあります。「世界から見た日本」といったマクロな視点だけでなく、投資を検討しているエリアの都市計画や人口動態、物件の魅力などにも着目した投資判断が必要です。

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