ざっくり要約!
- 人工大理石とは、アクリル樹脂やポリエステル樹脂を主原料として、用途に合わせて成型したものを指す
- 人工大理石の黄ばみや色素沈着は、クリームクレンザーやメラミンスポンジで落とせる場合もある。ただし、人工大理石の種類によって対処法が変わるので、取扱説明書を確認することが重要
色やデザインの種類が豊富で、シンクとカラーコーディネートも可能な「人工大理石」のキッチン。新築やリフォームでご検討している方も多いのではないでしょうか。
人工大理石は黄ばみや色素沈着することがあるので、対処法を知っておくと安心です。
この記事では、人工大理石のメリットやデメリット、10年後も美しく使い続けるためのメンテナンス方法について解説します。
記事サマリー
人工大理石とは?素材による違い
人工大理石とは、アクリル樹脂やポリエステル樹脂を主原料として、用途に合わせて成型したものを指します。大理石を模した色やデザインが特徴的ですが、実際には石は含まれておらず人工的な素材です。
人工大理石は、水に強く、熱加工しやすいことから、ワークトップ(キッチンカウンター)や浴槽など、住設建材に幅広く使われています。
一方、天然石を含む素材は「天然人造石」と呼ばれます。天然人造石は、天然石の砕石を樹脂やセメントで固めたもので、シミや欠けに弱い天然石のデメリットを補った素材です。
尚、「人造大理石」という言葉は、人工大理石と同じ意味で使っているメーカーもあれば、天然人造石のことを人造大理石と呼ぶ場合もあり、その定義は曖昧となっています。
アクリル樹脂
アクリル樹脂はポリエステル樹脂と比較して、熱や衝撃に強い、紫外線による劣化が起きにくいという特徴があり、人工大理石キッチンの主流になっている素材です。
また、アクリル樹脂の人工大理石は加工や着色がしやすく、色やデザインも豊富。ワークトップとシンクをカラーコーディネートできるので、キッチンを多彩に演出することができます。ただし、価格はポリエステル樹脂と比較して高い傾向にあります。
ポリエステル樹脂
ポリエステル樹脂はアクリル樹脂と比較して、熱や衝撃に弱く、耐候性が低いため紫外線によって黄ばむことがあります。
アクリル系樹脂より価格が安く、以前はキッチンのワークトップにも使われていましたが、現在は浴槽に使われることが多くなっています。
人工大理石のキッチンのメリット

人工大理石のキッチンは、水や汚れに強く、カラーバリエーションが豊富なことが魅力です。
カラーバリエーションやデザインが豊富
人工大理石のキッチンは、豊富な色やデザインの中から選べることが最大の魅力です。さらに、シンクも人工大理石製を選ぶことができます。ワークトップと人工大理石シンクは一体成型で製造するので、継ぎ目がなく滑らかな仕上がりです。汚れがたまりにくいというメリットも見逃せません。
人工大理石のカラーバリエーションは多彩で、キッチン全体のカラーコーディネートができるという点は、ステンレスキッチンにはないメリットです。
汚れが付きにくい
天然石は小さな穴が無数にある「多孔質」という性質を持っており、水に弱くシミができやすいというデメリットがあります。
一方、人工素材である人工大理石は、主原料が樹脂で平滑に成型される素材です。天然石のような穴は無く、こぼした調味料はすぐに拭き取ればシミになることはありません。水や汚れに強いことも、人工大理石のメリットです。
衝撃に強く、傷が付きにくい
人工大理石のワークトップは衝撃に強く、欠けたり割れたりしにくいといわれています。また、傷も付きにくいといわれており、傷が付いたとしても、浅い傷であればクリームクレンザーで補修することも可能です。
ただし、研磨剤によってツヤや光沢が失われる場合もあるので、取扱説明書は必ず確認しましょう。
人工大理石のキッチンのデメリット
人工大理石のキッチンは、シミが付いたり変色を起こしたりすることがあります。また、シンクも人工大理石製の場合は、より注意が必要です。
黄ばみ・色素沈着しやすい
キッチンは汚れやすい場所ですが、人工大理石に付いた汚れを長期間放置すると色素沈着が起こり、黄ばんでしまうことがあります。特に、コンロ周りは汚れが飛び散りやすい場所なので、こまめに清掃することが大切です。
また、シンクも人工大理石製の場合は、シンクの黄ばみや色素沈着にも注意しましょう。三角コーナーをシンクに置くと、常時汚れた水分が落ちるので、色素沈着を起こしやすくなります。できれば三角コーナーは置かないほうが良いでしょう。
紫外線で変色することも
プラスチック製品の変色は、誰もが一度は経験したことがあるのではないでしょうか。樹脂が紫外線に弱く変色を起こしやすいのは、人工大理石においても同様です。
紫外線が当たりやすい場所にキッチンがある場合は、ワークトップを慎重に選びましょう。
ただし、一部の人工大理石には耐候性が高い商品もあるので、そのような商品から選ぶのも方法のひとつです。
シンクがひび割れることも
人工大理石キッチンのシンクは、ステンレス・人工大理石いずれも選択可能です。デザイン性では人工大理石シンクが優位ですが、人工大理石シンクはひび割れを起こすというリスクがあります。
例えば、シンクに高温のフライパンや鍋を置いたり、包丁や重量のある物を落としたりすると、ひび割れを起こす原因になるので注意が必要です。また、ドライアイスをシンクに置くと、温度変化によってシンクが割れることがあります。
人工大理石シンクは丁寧に扱い、こまめに清掃する必要があるので、今までステンレスシンクを使っていた方にとっては扱いにくいかもしれません。
10年後も綺麗を保つ! 人工大理石のキッチンのメンテナンス方法
人工大理石キッチンのメンテナンスは、取扱説明書の指示に従うことが基本です。同じメーカーのキッチンでも、人工大理石の種類によって使用できる洗剤や掃除道具が異なる場合があります。
基本のお手入れは水拭きと乾拭き
日常的なお手入れは、やわらかい布やスポンジに、水や台所用中性洗剤を含ませて汚れを落とします。
水分が残っていると、水垢や変色の原因になることがあるので、乾拭きで水分を拭き取って仕上げましょう。
浅い傷にはクリームクレンザー
人工大理石キッチンに付いた浅い傷は、クリームクレンザーで目立ちにくくすることができます。粒子の粗いクレンザーは人工大理石を傷めるので、研磨材が20%以下のものを選びましょう。クレンザーは水拭きで拭き取り、乾拭きで仕上げます。
深い傷の場合は、クリームクレンザーでは落としきれないこともあります。サンドペーパーの使用が可能な人工大理石もありますが、使用前には必ず取扱説明書を確認してください。
黄ばみ・色素沈着の対処法
ウーロン茶やコーヒー、カレーやミートソースの汚れは、放置すると黄ばみや色素沈着の原因になります。汚れはやわらかい布やスポンジですぐに拭き取ることが大切です。
既に付着している黄ばみや色素沈着にも、クリームクレンザーが効果を発揮します。研磨材が20%以下のものを選び、メラミンスポンジを併用するとさらに効果的です。
また、特殊コーティングされた人工大理石は、クリームクレンザーの使用が禁止されている場合も少なくありません。このようなケースでは、泡状の台所用漂白剤で落とせる場合があります。
ただし、台所用漂白剤は変色の原因になる場合もあるので、洗浄や拭き取りをしっかり行うことが重要です。
人工大理石以外のキッチンの特徴は?
人工大理石以外でよく使われる、ワークトップの種類と特徴についてご紹介します。
ステンレス
ステンレスは、昔からあるワークトップやシンクの材質です。汚れが落としやすく、人工大理石のように黄ばみや色素沈着に悩まされることはありません。水や熱にも強く、長く安定して使い続けられる耐久性の高さが特徴です。
色やデザインのバリエーションでは人工大理石に及びませんが、お手入れが簡単で扱いやすいので、根強い人気があります。
セラミック
セラミックは、比較的最近登場したワークトップの材質です。熱や衝撃に強く、傷が付きにくいという特徴があります。
陶器のような独特の質感があり、上品で高級感のあるキッチンを演出できるので、近年人気が高まっています。セラミックも変色しにくい素材なので、黄ばみに悩むことはないでしょう。
セラミックは機能性もデザイン性も申し分のない素材ですが、価格が高いことがデメリットです。
タイル
水や熱に強く、おしゃれで個性的なキッチンを作れるのがタイルです。人工大理石やステンレスのように一体成型する素材ではなく、一枚一枚手で貼って施工する素材なので、間口や奥行きのサイズを自由に作ることができます。
唯一無二のキッチンを作れることが大きな特徴ですが、施工に時間がかかり、費用が高額になることがデメリットです。また、タイルの割れや目地の汚れやすさなど、耐久性にやや欠ける面もあります。
まとめ
人工大理石は、水や汚れに強く、色やデザインが豊富なことが大きな魅力です。ワークトップとシンクをカラーコーディネートすることも可能ですが、人工大理石シンクは黄ばみや色素沈着に悩まされる場合もあるので、よく検討して選びましょう。
人工大理石の黄ばみや色素沈着を防ぐには、こまめな清掃が大きなポイントになります。カレーやミートソースの汚れはすぐに落とし、色素沈着の原因を排除することが大切です。
人工大理石は種類によってメンテナンス方法が変わるので、必ず取扱説明書を確認しましょう。
この記事のポイント
- 人工大理石とはどのような素材ですか?
人工大理石とは、アクリル樹脂やポリエステル樹脂を主原料として、用途に合わせて成型したものを指します。
詳しくは「人工大理石とは?素材による違い」をご覧ください。
- 人工大理石キッチンのメリットは?
人工大理石のキッチンは、水や汚れに強く、カラーバリエーションが豊富なことが魅力です。
詳しくは「人工大理石のキッチンのメリット」をご覧ください。
- 人工大理石キッチンのデメリットは?
人工大理石のキッチンは、シミが付いたり変色を起こしたりすることがあります。また、シンクも人工大理石製の場合は、より注意が必要です。
詳しくは「人工大理石のキッチンのデメリット」をご覧ください。
ライターからのワンポイントアドバイス
人工大理石のキッチンで後悔するケースは、黄ばみや色素沈着が主な要因となっています。人工大理石は樹脂が主原料である以上、自然劣化を含め、黄ばみを完全に避けることは難しいと考えておきましょう。
ただし、黄ばみが目立ちにくいブラック系の色を選んだり、汚れやすいシンクはステンレス製を選んだりすることで、劣化を目立ちにくくすることは可能です。また、こまめに清掃することでも黄ばみは防ぐことができます。

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