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令和8年基準地価を読み解く

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吉崎 誠二

COLUMNIST PROFILE

吉崎 誠二

不動産エコノミスト
社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長

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国土交通省より令和8年の基準地価が9月15日に公表されました。全用途、住宅地、商業地はいずれも5年連続の上昇となり、全国的に地価の上昇傾向が続いていることが分かります。大都市圏では特に上昇が目立つ結果となりました。今回のデータで注目したいのは、地価上昇の中心が都心の一等地だけではなくなってきているということです。特に東京では、これまで「都心と比べて割安」とされてきたエリアでも、地価の上昇が目立つようになっています。都心部の住宅価格が大きく上昇するなかで、住宅を求める人の目が周辺エリアへ向かい、そこに再開発や交通利便性の向上などが重なることで、これまでとは違ったエリアでの地価上昇がみられました。今回は、令和8年の基準地価をもとに、地価上昇の広がりについて解説していきます。

目次
基準地価とは
令和8年の基準地価の動向
まとめ

基準地価とは

ここで、今回発表された「基準地価」について確認しておきましょう。 基準地価とは、各都道府県が毎年調査・公表している、土地価格の指標となるデータです。正式には「都道府県地価調査」といい、毎年7月1日時点の基準地の1平方メートル当たりの標準価格を調査・公表しています。令和8年は全国約2万1,000地点が調査対象となりました。土地の価格を示す指標として、基準地価とよく比較されるのが「地価公示」です。地価公示は国土交通省が毎年1月1日時点の価格を調査し、公表するものである一方、基準地価は都道府県が7月1日時点の価格を調査します。つまり、調査する主体と時点が異なるというのが大きな違いです。また、基準地価と地価公示では調査時点が半年ほど異なるため、双方を把握しておくことで、その年の地価の動きをより幅広く確認することができます。

令和8年の基準地価の動向

令和8年の基準地価は、全国平均で全用途が前年比1.5%上昇しました。住宅地は1.0%、商業地は2.9%、工業地は3.3%の上昇です。全用途、住宅地、商業地はいずれも5年連続の上昇となりました。

基準地価変動率5年間の推移(住宅地)

基準地価変動率5年間の推移(住宅地)
国土交通省「都道府県地価調査」より作成

用途別にみると、住宅地では東京都の上昇率がここ数年はとりわけ大きく、令和8年は5.8%の上昇という結果でした。東京圏全体でみても、住宅地は4.0%上昇しています。 一方、愛知県は1.3%、大阪府は3.0%、福岡県は2.1%の上昇で、それぞれ上昇率に違いはあるものの、いずれも全国平均を上回っており、地価の上昇が続いていることが分かります。

基準地価変動率5年間の推移(商業地)

2026年上半期の新設住宅着工戸数と前年同月比(貸家)
国土交通省「都道府県地価調査」より作成

商業地では、住宅地よりも上昇率の差が大きくなっています。令和8年の全国平均は2.9%の上昇でしたが、東京都では11.4%の上昇と、全国平均を大きく上回る動きがあります。また、大阪府は8.8%の上昇で、2年連続の上昇となりました。一方、福岡県は4.0%、愛知県も2.5%の上昇となっており、上昇幅はやや落ち着いているようにも見えます。

続いて、東京に着目していきます。東京23区の中でも上昇率には違いがあります。商業地では台東区が19.6%、北区と荒川区が16.9%となるなど、都心5区以外でも高い上昇率となったエリアがあります。住宅地についても、港区16.3%、台東区15.6%、文京区13.8%など、高い上昇率が見られました。23区ではすべての区で住宅地が上昇しています。こうした数字を見ると、今回の東京の地価上昇は、都心の一部が地価を引き上げる構図ではないことが読み取れます。もちろん、地価が上昇する理由はエリアによって異なります。交通利便性や再開発、住宅需要、商業施設の集積など、複数の要素が関係していると考えられます。そのため、「都心の価格上昇によって周辺エリアの地価も上昇した」と単純に説明することはできません。ただ、都心部の住宅価格が上昇するなかで、相対的に価格水準の低いエリアにも目が向けられるようになっている可能性はあります。 基準地価を見る際には、全国平均の数字だけでなく、住宅地と商業地を分け、さらに地域ごとの変化を見ることで、地価の動きをより深く捉えることができます。そのうえで東京を見ると、都心部の高い上昇率に加えて、その周辺でも上昇が確認されていることが、今回の基準地価の一つの特徴といえそうです。

まとめ

今回は、令和8年の基準地価について解説しました。全国的に地価の上昇が続くなか、東京では都心部だけでなく、23区内の幅広いエリアで上昇がみられています。地価の動きを見る際には、用途や地域ごとの変化に注目することが重要です。今後も地域ごとの動きを追っていくことで、不動産市場の変化がより見えやすくなってくるでしょう。

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