専門家コラム
2026年上半期の分譲マンションの賃料推移から見る賃貸需要
COLUMNIST PROFILE
吉崎 誠二
不動産エコノミスト
社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長
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近年、住宅価格、とくにマンション価格の高騰が続いており、「購入したいけれど手が届かない」という実需層も少なくありません。その結果、とくにファミリー需要では、住宅購入を見送り賃貸住宅を選択する人がいることが現状です。特に利便性の高い都市部では分譲マンション市場が底堅く、賃料は上昇基調を維持しています。東京カンテイによって毎月発表されている「三大都市圏・主要都市別/分譲マンション賃料月別推移」は、売買価格とは異なり「地域別の実際の賃貸ニーズ」を把握するのに適しているため、これは不動産投資家にとってはエリアごとの需要や将来的な収益性を判断する上で参考になるでしょう。
今回は、このデータを用いて2026年上期の分譲マンション賃料の推移と、その背景について解説します。
「三大都市圏・主要都市別/分譲マンション賃料月別推移」とは
「三大都市圏・主要都市別/分譲マンション賃料月別推移」は、東京カンテイのデータベースに登録された分譲マンションの月額募集賃料をもとに算出されており、ファミリータイプ(専有面積30㎡未満の住戸、事務所、店舗用を除く)の住戸を対象に、1㎡当たりの賃料として集計されています。そのため、専有面積の異なる物件でも比較しやすく、市場全体の動向を把握する指標として広く活用されています。ファミリータイプのみ対象となると、ワンルーム投資に役立てる指標とはならないのではないかといった懸念もありそうですが、ファミリータイプは転勤・転職・子育て・住宅購入などの多数のライフイベントによって動く売買市場との連動性が高い(購入・賃貸の選択が揺れやすい)ため、需要変動が賃料に現れやすいという特徴があります。
三大都市圏の分譲マンションの賃料推移とその背景
以下グラフは、2026年上期の首都圏・近畿圏・中部圏の分譲マンションの賃料推移と前月比を表したものです。
2026年上半期の首都圏の分譲マンション賃料は、月ごとの変動は見られたものの全体的に上昇基調で推移しました。最新の6月では4,193円/㎡となり、前月比+2.0%になるとともに、直近1年間で最高値を更新しました。 首都圏全体の上昇をけん引したのは東京都です。東京都では依然として賃料が強含みで推移しました。一方、埼玉県や千葉県では上半期で上昇はしているものの、東京都や神奈川県と比較すると限定的な伸びになったということができます。また、周辺3県(神奈川県・埼玉県・千葉県)のいずれもが平均築年数が20年を超えているのに対し、東京都は20年を切っていて築浅物件が多いことが特徴のひとつとして挙げられます。
近畿圏では、2026年上半期を通じて着実な上昇基調が続きました。6月では2,496円/㎡(前月比+0.6%)となりました。これで8カ月連続の上昇となり、三大都市圏の中で最も安定した伸びを見せています。 特に近畿圏の中でも、大阪府や兵庫県などの交通の便が良いエリアでは賃料の着実な上昇がみられました。大阪は世界の主要都市の中で見ても直近の賃料水準や物件価格水準の上昇率はトップレベルとなっています。また、大規模な再開発プロジェクトが複数進行していることからも賃貸需要を支えていることがうかがえます。
中部圏では、前半は上昇したものの、春以降はやや勢いを欠く展開となりました。6月は2,145円/㎡と2カ月連続の下落となっています。(前月比-0.1%) 愛知県は2カ月連続で前月比が下落し、さらには名古屋市では築5年以内の物件を除くと賃料がピークアウトしている築年帯も見られます。首都圏や近畿圏と比較すると人口流入や再開発による需要の押し上げ効果は限定的であり、今後はエリアや物件ごとの差がより重要になると考えられます。
まとめ
分譲賃料マンションの賃料推移は、そのエリアの需要や収益性の予測に役立てることができます。ただ、ひとつ注意しなければならない点として、このデータは「月額募集家賃」の推移であり、実際の成約賃料ではないためそのことを把握して扱う必要があります。
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