専門家コラム
不動産投資家と「人口減少時代」
COLUMNIST PROFILE
吉崎 誠二
不動産エコノミスト
社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長
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人口動態は、不動産投資において住宅需要や賃貸需要を読み解くうえで参考となる指標の一つです。
総務省統計局が2026年5月に公表した国勢調査(速報版)「令和7年国勢調査 人口速報集計結果」によると、日本の総人口は1億2,305万人となりました。前回の2020年調査から309万7,000人減少し、減少率は2.5%となっています。これは前回調査時の減少率である0.7%を大きく上回るペースであり、今回の調査結果からは人口減少がさらに加速していることがうかがえます。
不動産投資家にとっては、「どのエリアに需要が残るのか」を見極めることが重要になります。今回は、最新の人口動態について解説していきます。
日本の人口推移
都道府県別・市町村別人口から見える「勝ち組エリア」と「縮小エリア」
今回の調査では、人口が増加した都道府県は東京都と沖縄県の2都県のみとなりました。東京都は19万9,000人増加(1.4%増)、沖縄県はわずかながら740人増加(0.1%増)となり、残る45道府県はすべて人口減少という結果になりました。
東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)の人口は3,691万人と全国の約30%を占めており、全国的な人口減少の中でも人口集中は続いていることが分かります。
その一方で、これまで人口増加を維持していた埼玉県、千葉県、神奈川県、愛知県、福岡県などは、今回初めて人口減少へ転じました。また、不動産投資家から人気が高い福岡県や愛知県も人口減少局面に入っています。
続いて、市町村別に見るとどうでしょうか。例えば、福岡県は人口減少となった一方で、福岡市は5年間で3.2%増加し、全国の大都市の中でも高い伸びを示しています。大阪市も2.0%増、東京都特別区部は2.3%増となりました。
人口が増加した大都市としては、
・東京都特別区部(2.3%増)
・福岡市(3.2%増)
・大阪市(2.0%増)
・名古屋市(0.6%増)
・千葉市(2.1%増)
・川崎市(1.5%増)
・さいたま市(1.6%増)
となっています。
全国的な人口減少の中でも、雇用や交通利便性に優れた都市中心部への人口集中は継続していることが分かります。
世帯数は増加基調が続く可能性
次に、「世帯」にも注目してみましょう。不動産投資においては、人口動向以上に世帯数の変化が重要といえます。なぜなら、住宅を借りるのも購入するのも、一般的には「人」単位ではなく「世帯」単位だからです。
日本の総世帯数は5,712万5,000世帯となり、2020年調査から129万4,000世帯増加しました。都道府県別に見ると、32都府県で増加、15道県で減少となり、最も世帯数が増加したのは沖縄県でした。このことから、人口減少が進む中でも、都道府県によっては世帯数が増加傾向にあることが分かります。
背景にはさまざまな要因が考えられますが、その一つに高齢化や未婚化、晩婚化の進行が挙げられます。また、1世帯当たりの人員は2.15人で、2020年の2.26人から減少しました。これは、一人暮らしや夫婦のみの世帯が増加していることを示しています。
人口が減少しても世帯数が維持・増加する地域では、住宅需要が直ちに縮小するとは限りません。こうした世帯構成の変化を踏まえると、日本の住宅需要の構造も変化していると考えられます。そのため、ワンルームマンションやコンパクトタイプの賃貸住宅への需要は、今後も底堅く推移すると考えられます。
日本の世帯数の推移
まとめ
今回は、「令和7年国勢調査 人口速報集計結果」について解説しました。あくまで速報値ではありますが、「人口減少時代」の中で、不動産投資家にはこれまで以上に「どのエリアに、どのような需要があるのか」を見極める重要性が高まっていくでしょう。
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