専門家コラム
データで見る!「転入超過数」と「有効求人倍率」の関係
COLUMNIST PROFILE
吉崎 誠二
不動産エコノミスト
社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長
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日本では人口減少や出生率の低下が進行する一方で、東京への一極集中はより顕著になっています。総務省統計局が2月3日に公表した「住民基本台帳人口移動報告」によると、2025年の東京都の転入超過数(転入者が転出者を上回った数)は65,597人となりました。
前年から4,966人減少し、コロナ禍以降では4年ぶりの縮小となりましたが、依然として他都道府県と比較して高い水準にあり、東京の吸引力の強さが続いていることがうかがえます。
転入超過数は「社会動態」を示す代表的な指標の一つであり、不動産市場における需要動向や賃貸需要を読み解くうえでも有効なデータです。
本稿では、この社会動態の背景にある労働市場の需給バランスを示す有効求人倍率に着目し、両者の関係性について解説していきます。なお、本稿で用いる転入超過数は、外国人を除いた日本人移動者数を対象としています。
転入超過数
転入超過数とは、冒頭で述べたとおり、「ある地域における転入者数と転出者数の差」を指し、人口の流入・流出の実態を示す代表的な指標の一つです。この数値がプラスであれば転入超過、マイナスであれば転出超過を意味し、地域の吸引力や居住ニーズの強さを把握するうえで有用とされています。
東京圏の転入超過数の推移
このグラフを見ると、東京圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)では、2013年以降一貫して転入超過が続いており、転出超過となった年は見られません。最新の2025年の転入超過数は、東京都が+65,597人、神奈川県が+18,524人、埼玉県が+12,529人、千葉県が+16,088人となりました。
一方、全国で見ると、転入超過となったのは東京圏に加え、愛知県・大阪府・福岡県を含む7都府県に限られ、残る40道府県では転出超過となっています。
地域ごとの一時的な要因による増減は考慮する必要がありますが、これらの都市では生活利便性や雇用機会の集積を背景に、引き続き高い吸引力が維持されていることが確認できます。
また、東京都の転入超過は継続しているものの、コロナ禍以降では初めて縮小に転じました。その背景として、近年の住宅価格の上昇や居住コストの高まりが影響している可能性が考えられます。今後も、住宅価格と人口動態の関係性については継続的に注視していく必要があるでしょう。
有効求人倍率
一方、労働市場を把握するための指標の一つとして、有効求人倍率があります。有効求人倍率とは、公共職業安定所(ハローワーク)で取り扱うデータをもとに、求職者1人に対してどれだけの求人があるのかを示す指標であり、労働市場における需給バランスを表すものです。一般に、1倍を上回る場合は求人数が求職者数を上回る「人手不足」の状態、1倍を下回る場合は求職者数が求人数を上回る「雇用余剰」の状態を示します。また、有効求人倍率は景気と密接に関連しており、経済動向を把握する指標としても広く用いられています。以下のグラフを見ると、2012年頃以降は1倍を上回る「人手不足」の状態が続いており、直近の2026年2月の有効求人倍率は1.73倍となりました。
※値は一年間の平均値
転入超過数と有効求人倍率の関係性
続いて、転入超過数と有効求人倍率の関係性について、相関係数を用いて確認していきます。相関係数とは、2つの変数間の関係の強さを示す指標であり、-1から1の範囲で表されます。
一般に、正の相関の場合は正の値、負の相関の場合は負の値をとり、相関が強いほど絶対値が1に近づきます。
転入超過数と有効求人倍率の相関係数
※値は一年間の平均値とする
上の表は、新型コロナウイルス感染症の拡大による一時的な数値変動の影響を考慮し、コロナ禍以前とコロナ禍以降に期間を分けて算出した相関係数を示したものです。
分析の結果、転入超過数と有効求人倍率の間には、強い正の相関関係が確認されました。これは、雇用機会が豊富な地域ほど人口流入が生じやすく、また人口流入が新たな雇用を創出するという、相互に影響し合う関係にあることを示唆しています。
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