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「不動産価格指数」から不動産市況を読み解く

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吉崎 誠二

COLUMNIST PROFILE

吉崎 誠二

不動産エコノミスト
社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長

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2025年10月27日、日経平均株価は初めて5万円を突破しました。株価を押し上げた要因としては、高市新政権の誕生を受けた経済政策への期待、金融緩和が続くとの思惑による円安の進行、米国の利下げ局面、AI・半導体関連株の上昇など、複数の追い風が重なり、買いを後押ししたことが挙げられます。
また、10月末に行われた高市政権発足後初の金融政策決定会合では、政策金利を0.5%程度に据え置くことが発表され、先行きの金利動向に対しても引き続き注目が集まっています。こうした金融市場の変化は、株式市場のみならず不動産市場にも影響を与え得る重要な要素です。
そこで今回は、実際の取引価格を指数化した「不動産価格指数」の推移に着目し、その動向を解説していきます。

目次
不動産価格指数とは
不動産価格指数(住宅)の推移
不動産価格指数(住宅総合)と民営家賃の比較
まとめ

不動産価格指数とは

不動産価格指数とは、国土交通省が年間約30万件にのぼる実際の不動産取引価格をもとに算出している指標で、2010年平均を100とした指数です。この指数は大きく「住宅」と「商業用不動産」に分類され、それぞれ月次・四半期ベースで公表されています。
また、全国だけでなく三大都市圏別、都道府県別など、さまざまな地域単位で指数化されているため、自身の投資や保有不動産の実態により近いデータを把握することができます。

不動産価格指数の特徴のひとつは、実際の取引価格に基づく客観的な指標である点です。そのため、市場の実勢を比較的早く確認できるというメリットがあります。さらに、不動産価格指数は毎月の取引価格動向を把握できる点でも有用ですが、公表月と対象期間の間には約3か月のタイムラグがある点には留意が必要です。

不動産価格指数(住宅)の推移

下記のグラフは、不動産価格指数(住宅)の推移を示したものです。2025年7月の不動産価格指数(住宅)は、「住宅総合」が144.2、「住宅地」が118.0、「戸建住宅」が119.4、「マンション(区分所有)」が219.0となりました。
とくに「マンション(区分所有)」は前月比で1.5%上昇し、過去最高値を更新しています。

不動産価格指数(住宅)の推移(2010年平均を100とする)
持ち家率の推移
(国土交通省「不動産価格指数(住宅)-全国」より作成)※直近3ヶ月分は速報値(修正される可能性があります)

この推移を見ると、全体として右肩上がりで推移していることが分かります。リーマンショックが発生した2008年頃から価格は下落し、2013年頃までは横ばいが続いていました。しかしその後、景気回復の進展とともに「住宅地」や「戸建住宅」は緩やかではあるものの堅調な伸びを示し、2020年頃からは上昇幅が一段と大きくなっています。
なかでも際立っているのが「マンション(区分所有)」の動きで、直近5年間で68.9%も上昇しており、マンション価格の高騰が鮮明に表れています。

長期にわたる価格上昇の背景には、さまざまな要因があります。第一に、低金利環境が継続していることが挙げられます。2013年4月頃から始まった日銀の大規模金融緩和により住宅ローンが組みやすくなり、住宅需要を下支えしてきたと考えられます。
第二に、建築コストの上昇、およびそれに伴う新築戸建や新築マンションの供給の伸び悩みが、土地・建物価格の押し上げ要因となりました。
さらに、「マンション(区分所有)」は「住宅地」や「戸建住宅」と比べて、都心や駅近といった人気エリアに需要が集中している一方で供給がより減少していることも、顕著な上昇の一因となっています。

不動産価格指数(住宅総合)と民営家賃の比較

続いて、下記のグラフは不動産価格指数(住宅総合)と民営家賃の推移を比較したものです。前述のとおり、不動産価格指数は上昇傾向が続いており、実際の取引価格も近年さらに上昇しています。一方、民営家賃は2018年頃まで緩やかに低下し、その後は横ばいで推移していました。
2024年頃からようやく上昇の兆しが見られるものの、不動産価格指数の動きとは必ずしも連動していないことが分かります。

不動産価格指数(住宅総合)と民営家賃
東京都区部の募集家賃指数(2020年=100)と都区部CPI民営家賃の推計値
(国土交通省「不動産価格指数(住宅)-全国」、総務省統計局「消費者物価指数」より作成)

ここから読み取れるのは、実際の取引価格の上昇と民営家賃の動きは必ずしも比例関係にあるわけではない、という点です。
とはいえ、長らく横ばいが続いていた民営家賃が上向きつつあることは、市場環境の転換を示すサインとも捉えられます。今後もこれらの動向を注視していく必要があります。

まとめ

今回は、不動産価格指数について解説しました。不動産価格指数は、投資判断における重要な指標のひとつです。このデータを把握することで不動産市況のトレンドを読み取れるだけでなく、他の指標と組み合わせて分析することで、投資用不動産の資金調達から出口戦略に至るまで、あらゆるフェーズで有用な情報を得ることができます。
今後の不動産投資活動においても、こうしたデータの活用が大いに役立つでしょう。

ご留意事項
不動産投資はリスク(不確実性)を含む商品であり、投資元本が保証されているものではなく、元本を上回る損失が発生する可能性がございます。
本マーケットレポート に掲載されている指標(例:利回り、賃料、不動産価格、REIT指数、金利など)は、
不動産市場や金融市場の影響を受ける変動リスクを含むものであり、これらの変動が原因で損失が生じる恐れがあります。
投資をする際はお客様ご自身でご判断ください。当社は一切の責任を負いません。
本マーケットレポートに掲載されている情報は、2025年12⽉16⽇時点公表分です。
各指標は今後更新される予定があります。
本マーケットレポートに掲載した記事の無断複製・無断転載を禁じます。
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