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専門家
コラムVol. 5

首都圏の人口はどこまでふえるのか?
最新国勢調査を読み解く

コラムニスト・吉崎 誠二|プロフィール写真 COLUMNIST PROFILE

吉崎 誠二

不動産エコノミスト
社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長

2020年10⽉に調査が⾏われた最新の国勢調査の集計結果がこのほど公表されました。
⾔うまでもなく、⼈⼝動態や世帯動態は住宅投資に⼤きな影響を与えます。

外国⼈の急増が、
⽇本の⼈⼝減少幅を縮めた

結果が公表された11⽉30⽇のメディアの報道では、「⽇本の⼈⼝が95万⼈減少」という⾒出しが多く⾒られました。
しかし、⽇本⼈だけに限れば減少はもっと⼤きな数になっています。

日本国人口の変化|図表

日本国の人口は1億2614万人で前回調査(2015年)から約95万人減少しました。減少率は5年で0.7%、これを1年平均に換算すると0.15%ということになります。国勢調査は5年ごとに行われますが、前々回2010年→前回2015年において、我が国の人口は0.8%の減少となりました。今回の調査結果ではこの5年間の人口減少率は若干小さくなりました。
減少率が小さくなったのは、外国人移住者が増えたことが理由です。外国人人口は20年10月時点において274.7万人で、これは全人口の2.2%となります。前回調査と比べると+43.6%で83.5万人と大幅に増えています。これを1年換算にすると年あたり7.5%増となります。ちなみに日本に住む外国人の約20%、5人に1人は東京都に住んでいます。

今回の調査結果を細かくみると、日本人はこの5年で178.3万人も減少しています。日本人だけの人口でみれば、前回調査からマイナス1.4%となっており、2010→15年の5年間ではマイナス0.9%、2005→10年の5年間ではマイナス0.3%でしたので、回を追うごとにマイナス幅が大きくなっています。「日本における人口減少」ではなく、「日本人の人口減少」が正しい状況ということになります。

都市部に住む外国⼈は、
賃貸住宅需要が⼤きく伸びる領域

20−21年において、外国⼈移住者は、新型コロナウイルスの影響により⼤幅に減少していると思いますが、もとに戻れば外国⼈の我が国への移住者数は増えるでしょう。仮に、回復がおそくなれば、次回調査(2025年)の国勢調査での⼈⼝減少はこれまで以上に多くなるものと思われます。

いずれにせよ、今後我が国への外国⼈移住者は増えることは概ね確実であり、こうした⽅々の住宅需要は増えてくるものと思われます。地⽅都市では、企業が⽤意した社宅に住む⽅も多いようですが、都市部に住む外国⼈は⺠間の賃貸住宅、分譲マンションの賃貸物件に住む⽅が多いようです。このように、都市部に住む外国⼈は、賃貸住宅需要が⼤きく伸びる領域だと思われます。

また、⾸都圏への⼈⼝集中がさらに加速化しています。
東京都には全国の約11%の⽅が住み、1都3県に全国の約3割が住んでおり、2015年調査から78万3千⼈増えました。1年あたり約16万⼈の増加ということになります。都道府県別にみると⼈⼝増加はわずか8都県にとどまり、⾸都圏(1都3県)、愛知、福岡、滋賀県、そして沖縄県のみで、のこり39道府県では⼈⼝減少となっています。
⽐較的市況が⾒えやすい中古マンションの価格(㎡単価)と⼈⼝増加の関係は明らかで、⼈⼝増加地域では分譲マンション価格は安定(あるいは上昇)しています。また、賃貸住宅賃料も同様に安定(あるいは上昇)しています。

日本国人口の変化と外国⼈移住者|イラストイメージ
⾸都圏の世帯数増加は特に顕著!
調査開始以来増え続ける世帯数

最新国勢調査において、我が国の世帯数は5583万世帯で、前回調査から238万世帯、4.5%増となりました。人口減少は始まっていますが、世帯数は調査開始(1920年)以降一貫して増え続けています。
都道府県別にみれば、世帯数が最も多いのが東京都、神奈川県、大阪府の順です。前回調査からの増加率では、沖縄県(9.7%)、東京都(7.9%)、埼玉県(6.4%)、千葉県(6.3%)、神奈川県(6.2%)1都3県はいずれも6%を超える大幅な世帯数増になっています。

日本国人口の変化と首都圏の世帯数・外国⼈の人口|イラストイメージ

人口動態よりも、住宅需要に直結するのが、世帯数の動向です。持ち家(分譲戸建、分譲マンション)の価格はもちろん、賃貸住宅需要にも世帯数は大きく影響します(世帯類型にもよりますが、この件は別途改めてお伝えします)。

ここでは、国勢調査データをもとに都道府県単位での大雑把な人口動態、世帯数の動向をお伝えしましたが、もう少し世帯数の動向、世帯類型の変化などを細かくみれば、「どのエリアの物件を買えば価格が下がらないか」や「どのエリアの物件を買えば賃料が安定(あるいは上昇)するのか」が見えてきます。

コラムニスト・吉崎 誠二|プロフィール写真 COLUMNIST PROFILE

吉崎 誠二

不動産エコノミスト
社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長

早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。
 立教大学大学院 博士前期課程修了。

㈱船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者 、(株)ディーサイン取締役 不動産研究所所長 を経て 現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、テレビ、ラジオのレギュラー番組に出演、また全国新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。

著書:「不動産サイクル理論で読み解く 不動産投資のプロフェッショナル戦術」(日本実業出版社)、 「大激変 2020年の住宅・不動産市場」(朝日新聞出版)「消費マンションを買う人、資産マンションを選べる人」(青春新書)等11冊。多数の媒体に連載を持つ。

(レギュラー出演)
ラジオNIKKEI「吉崎誠二のウォームアップ 840」(ニュース解説番組)
「はいさい!沖縄デュアルライフ」 (吉崎誠二×新山千春)
「吉崎誠二・坂本慎太郎の至高のポートフォリオ」(不動産投資番組)

テレビ番組:BS11や日経CNBCなどの多数の番組に出演

吉崎誠二公式サイト http://yoshizakiseiji.com/

ご留意事項
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※本マーケットレポートに掲載されている情報は、2021年12月18日時点公表分です。各指標は今後更新される予定があります。
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