2026年 公示地価
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2026年公示地価、5年連続上昇でバブル後最大更新!需要は都心部に集中

執筆者プロフィール

亀梨奈美

株式会社realwave代表取締役。大手不動産会社退社後、不動産ジャーナリストとして独立。
2020年には「わかりにくい不動産を初心者にもわかりやすく」をモットーに、不動産を“伝える”ことに特化した株式会社realwaveを設立。
住宅専門全国紙の記者として活動しながら、不動産会社や銀行、出版社メディアへ多数寄稿。不動産ジャンル書籍の執筆協力なども行う。

国土交通省は3月17日、2026年1月1日時点の公示地価を発表しました。全国全用途平均は前年比2.8%上昇し、5年連続のプラスで、バブル崩壊後最大の伸び率を更新しました。

一方、これまで三大都市圏を上回り続けていた地方主要四市(札幌・仙台・広島・福岡)の上昇率が14年ぶりに三大都市圏を下回るなど、東京・大阪の都心部がこれまで以上に全体の上昇を牽引する構図が鮮明になっています。

全用途全国平均2.8%増! 5年連続上昇で上昇幅拡大

全用途平均


2021年2022年2023年2024年2025年2026年
全国▲0.50.61.62.32.72.8
三大都市圏▲0.70.72.13.54.34.6

東京圏▲0.50.82.44.05.25.7

大阪圏▲0.70.21.22.43.33.8

名古屋圏▲1.11.22.63.32.82.3
地方圏▲0.30.51.21.31.31.2

地方四市2.95.88.57.75.84.5

その他▲0.6▲0.10.40.70.80.8
(単位:%)

住宅地


2021年2022年2023年2024年2025年2026年
全国▲0.40.51.42.02.12.1
三大都市圏▲0.60.51.72.83.33.5

東京圏▲0.50.62.13.44.24.5

大阪圏▲0.50.10.71.52.12.5

名古屋圏▲1.01.02.32.82.31.9
地方圏▲0.30.51.21.21.00.9

地方四市2.75.88.67.04.93.5

その他▲0.6▲0.10.40.60.60.6
(単位:%)

商業地


2021年2022年2023年2024年2025年2026年
全国▲0.80.41.83.13.94.3
三大都市圏▲1.30.72.95.27.17.8

東京圏▲1.00.73.05.68.29.3

大阪圏▲1.80.02.35.16.77.3

名古屋圏▲1.71.73.44.33.83.3
地方圏▲0.50.21.01.51.61.6

地方四市3.15.78.19.27.46.4

その他▲0.9▲0.50.10.60.91.1
(単位:%)    
※地方四市:札幌市・仙台市・広島市・福岡市

出典:国土交通省「令和8年地価公示結果の概要

全用途平均および商業地は上昇幅が拡大し、住宅地は前年と同水準の上昇を維持しています。三大都市圏では東京圏・大阪圏が引き続き上昇幅を拡大させた一方、名古屋圏は住宅地・商業地ともに上昇幅が縮小しています。

地方四市(札幌・仙台・広島・福岡)も住宅地・商業地ともに上昇幅が縮小し、地方四市の全用途平均上昇率が、14年ぶりに三大都市圏を下回りました。14年ぶりに全用途平均の上昇率が三大都市圏を下回りました。地価は総じて都市圏より地方のほうが安く、伸びしろがあります。しかし、近年は建築コストの著しい高騰を背景に、地方の再開発計画の見直しや延期が多発していることが伸び率を鈍化させているものと推測されます。

たとえば札幌市では、JR札幌駅周辺の再開発の遅れに加え、北海道新幹線延伸の延期も重なり、上昇率の鈍化に拍車がかかっています。福岡市でも、JR博多駅前の「空中都市」構想の計画中止が発表されました。建築コストに地域差はほとんどないものの、地方は首都圏と比べて投資回収の見通しが立ちにくいため、再開発計画の見直しや延期が目立っています。

・「再開発」に関する記事はこちら
日本各地で進む再開発。東京・大阪の注目エリア

2026年公示地価、上昇率が高いエリアの特徴は?

2026年地価公示 変動率上位ランキング(全国)

住宅地

順位標準地番号都道府県標準地の所在地令和8年公示価格(円/㎡)変動率(%)
1白馬-1長野県北安曇郡白馬村大字北城字堰別レ 827番3627,40033.0 (29.6)
2富良野-4北海道富良野市北の峰町4777番33 『北の峰町25-11』84,50030.0 (31.3)
3野沢温泉-1長野県下高井郡野沢温泉村大字豊郷字蟹沢 7886番1034,00022.3 (20.9)
4港-19東京都港区港南3丁目6番7 『港南3-7-23』2,260,00022.2 (18.6)
5野沢温泉-2長野県下高井郡野沢温泉村大字豊郷字八幡下 6513番外24,70021.1 (17.9)
6文京-12東京都文京区本郷1丁目107番1 『本郷1-28-3』2,900,00020.8 (13.2)
7港-4東京都港区赤坂1丁目1424番1 『赤坂1-14-11』7,110,00020.5 (10.3)
8港-1東京都港区赤坂6丁目1911番 『赤坂6-19-23』4,080,00020.4 (10.4)
9港-17東京都港区芝浦2丁目1番33 『芝浦2-3-27』2,740,00020.2 (15.7)
10品川-17東京都品川区東品川4丁目13番 『東品川4-2-11』1,380,00020.0 (15.0)
(注)『』書きは住居表示・上段の変動率は2026年地価公示、下段は2025年地価公示

商業地

順位標準地番号都道府県標準地の所在地令和8年公示価格(円/㎡)変動率(%)
1千歳5-3北海道千歳市千代田町5丁目1番8(東宙ビル)245,00044.1 (42.9)
2千歳5-2北海道千歳市錦町2丁目10番3(ビジネスホテルホーリン)144,00038.5 (36.8)
3白馬5-1長野県北安曇郡白馬村大字北城字山越4093番2(こいや)40,30035.2 (33.0)
4千歳5-4北海道千歳市幸町3丁目19番2(ホワイトビル)172,00034.4 (48.8)
5渋谷5-13東京都渋谷区桜丘町15番6外 『桜丘町14-6』(黒松ビル)4,450,00029.0 (32.7)
6台東5-4東京都台東区浅草1丁目16番14外 『浅草1-1-2』(ASAKUSA SQUARE)9,150,00027.6 (29.0)
7台東5-5東京都台東区西浅草2丁目66番2 『西浅草2-13-10』(藏田フラッツ西浅)3,230,00025.2 (25.9)
8大阪中央5-19大阪府大阪市中央区道頓堀1丁目37番外 『道頓堀1-6-10』(新世界串カツいっとく道頓堀戎橋店)9,500,00025.0 (22.6)
9高山5-1岐阜県高山市上三之町51番(脇茶屋)531,00024.9 (28.8)
10台東5-22東京都台東区浅草2丁目24番6 『浅草2-14-13』(ナミキ)1,240,00024.2 (21.7)
(注)『』書きは住居表示・上段の変動率は2026年地価公示、下段は2025年地価公示
出典:国土交通省「令和8年地価公示結果の概要

住宅地の上位を占めるのは昨年と同様、長野県白馬村や野沢温泉、北海道富良野市など、インバウンド需要が旺盛なリゾート地です。こうしたエリアでは、移住者による別荘やコンドミニアムなどの需要も高く、観光客を受け入れるための従業員向け住宅の需要も堅調で、近年高い上昇率が続いています。一方で、港区や文京区、品川区など東京都心エリアも目立ちます。

商業地1位の千歳市では、大手半導体メーカー「ラピダス」が2025年4月に試作ラインの稼働を開始し、2027年の量産化を見据えた関連投資が地価を押し上げています。また、住宅地同様、東京・大阪など都心部の地価上昇も目立ちます。

首都圏は実需・投資マネー集中で上昇加速

2026 公示地価 首都圏

東京都


全用途住宅地商業地
東京都全域8.4(7.3)6.5(5.7)12.2(10.4)
23区11.1(9.6)9.0(7.9)13.8(11.8)
多摩地区4.3(3.8)3.9(3.4)6.0(5.3)
(単位:%)※かっこ書きは2025年(令和7年)の変動率

(出典:東京都財務局「令和8年地価公示価格(東京都分)の概要」)

東京都全体の全用途平均は、前年比8.4%と伸び率が拡大。住宅地は6.5%上昇し、18年ぶりに全国都道府県別で1位となりました。先のとおり、全国変動率上位ランキングにも東京都は6地点がランクインし、都心部の強さを示しています。

背景には、都心部における旺盛なマンション需要があります。変動率上位にランクインした港区、文京区、品川区はいずれもマンション需要が高く、建設コストの高騰や用地不足により新規供給が絞られる中で、実需・投資ともに希少性の高さから需要が集中し、地価を押し上げています。

商業地は12.2%上昇し、台東区浅草周辺ではインバウンド旺盛な需要を背景に20%超の伸び率を記録した地点も見られます。全国変動率上位ランキング5位の渋谷区桜丘町は、2024年に複合施設「渋谷サクラステージ」が開業しており、100年に一度とも言われる再開発への注目度の高さから、渋谷区の他の地点の上昇率も高くなっています。

2026 公示地価 東京
(出典:東京都財務局「令和8年地価公示価格(東京都分)の概要」)

神奈川県


全用途住宅地商業地
神奈川県全域4.4(4.1)3.4(3.4)7.3(6.6)
横浜市4.6(4.3)3.3(3.2)8.2(7.2)
川崎市5.6(5.4)4.4(4.4)9.0(8.5)
相模原市5.1(4.8)4.5(4.3)7.0(6.6)
その他市3.1(3.2)5.8(5.3)
(単位:%)※かっこ書きは2025年(令和7年)の変動率

(出典:神奈川県「地価公示の概要(令和8年地価公示)」)

神奈川県全域の住宅地の上昇率は、前年と同率の3.4%でした。横浜市は上昇率を拡大させており、商業地では需要が旺盛な関内駅や横浜駅周辺で高い伸びが継続しています。川崎市は商業地の上昇率が9.0%と、引き続き高い上昇率を維持しています。

相模原市は橋本駅周辺でリニア中央新幹線への期待感が高く、住宅地の上昇率は4.5%と政令3市の中で最も上昇幅が拡大しました。住宅地上昇率1位は横浜市西区(7.0%)、商業地1位も横浜市中区(12.9%)と横浜市内の都心エリアが牽引しています。

・「橋本駅の再開発計画」に関する記事はこちら
リニア中央新幹線駅開業で橋本駅はどう変わる?再開発計画の展望と現状

千葉県


全用途住宅地商業地
千葉県全域5.0(5.0)4.6(4.5)5.8(5.7)
東京圏4.9(4.9)7.0(7.0)
地方圏0.1(▲0.2)0.1(▲0.2)
(単位:%)※かっこ書きは2025年(令和7年)の変動率

(出典:千葉県「令和8年地価公示に基づく地価動向について《千葉県》」)

千葉県全域の住宅地の上昇率は4.6%と、首都圏近郊3県の中で最も高い上昇率を維持しています。住宅地・商業地ともに上昇率トップは、つくばエクスプレスの流山おおたかの森駅や流山セントラルパーク駅周辺の開発が注目される流山市でした。

都心部の不動産価格の高騰を背景に、千葉市や松戸市など比較的手の届きやすいエリアへの需要シフトも続いており、千葉県の上昇幅拡大に寄与しています。一方で、地方圏は前年のマイナスからプラスに転じたものの、東京圏との格差が浮き彫りになっています。

埼玉県


全用途住宅地商業地
埼玉県全域2.3(2.1)2.0(2.0)3.2(2.8)
さいたま市3.4(3.1)2.7(2.5)5.4(4.8)
川口市5.2(5.3)4.5(5.1)9.1(6.6)
蕨市6.3(6.1)5.9(6.1)9.0(6.1)
戸田市6.3(6.4)6.1(6.2)8.3(7.5)
(単位:%)※かっこ書きは2025年(令和7年)の変動率

(出典:埼玉県「令和7年地価公示のあらまし」「令和8年地価公示のあらまし」)

埼玉県全域の住宅地の上昇率は2.0%と前年と同率で、商業地は3.2%と上昇幅が拡大しました。いずれも首都圏近郊の中で上昇率は最も低くなっています。

住宅地の上昇率トップは戸田市、次いで蕨市、川口市と、いずれも東京隣接の県南エリアが上位を占めています。さいたま市は住宅地・商業地ともに安定した上昇が続き、とくに再開発が進む大宮区や浦和区の伸びが目立ちます。

商業地は川口市が9.1%と大幅に伸び率が拡大し、蕨市、戸田市も高水準を維持しています。対して、県北・県西部では引き続き下落が続く地点も多く、地域間格差が鮮明になっています。

2026 公示地価 埼玉
(出典:埼玉県「令和8年地価公示のあらまし」)

その他主要都市の住宅地 平均変動率


平均変動率
大阪府全域2.8 (2.3)
大阪市6.5 (5.8)
愛知県全域1.8 (2.3)
名古屋市3.1 (3.6)
北海道全域0.6 (1.4)
札幌市1.1 (2.9)
宮城県全域2.8 (4.2)
仙台市4.3 (6.3)
福岡県全域3.7 (4.9)
福岡市7.0 (9.0)
(単位:%)※かっこ書きは2025年(令和7年)の変動率
(出典:国土交通省「令和8年地価公示の概要」)

東京都を除く主要都市のうち、住宅地の上昇幅が前年から拡大したのは大阪市のみで、名古屋市、札幌市、仙台市、福岡市といった各都市がそろって伸び率を落としています。コロナ禍以降、続いてきた地方主要都市の急上昇局面が一巡しつつある様相です。

こうした流れの中で際立つのが、東京と大阪の強さです。東京都の住宅地の変動率は6.5%と18年ぶりに全国1位となり、大阪市も6.5%と上昇幅を拡大させています。地方都市に分散していた投資・居住需要が、インフラ・雇用・インバウンドの集積する二大都市圏へ改めて集中し始めていることが、地価の動向にも鮮明に表れています。

まとめ

2026年公示地価は5年連続の上昇でバブル後最大の伸び率を更新しましたが、東京・大阪の都心部への需要集中が鮮明になった一年でもありました。建築コストの高騰で地方の再開発に見直しの動きが広がり、地方四市の全用途平均の伸び率が三大都市圏を14年ぶりに下回るという転換点を迎えています。利上げの進行と人口減少が続くなか、エリアによる地価の明暗は、今後さらに広がっていく可能性があります。

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