コラム

安全な取引実施がミッション ~ エスクロー会社とは

21.12.14コラム

 エスクロー会社とは、売主、買主の間に立って不動産取引を安全に行うための業務を担う、ハワイ州政府から許可を受けた第三者機関です。今回は、ハワイ不動産取引で登場するエスクロー会社についてご紹介します。

 主な業務内容としては、決済・登記に関する全ての書類作成と売買に関する資金及び権利移転で、不動産の売買契約成立後に不動産エージェント(仲介会社)の指示書に基づき、業務を開始します。

 エスクロー会社は、契約成立後に売主の所有権に関する調査の他、抵当権の有無、賃貸している場合は賃料、固定資産税、コンドミニアムであれば管理費、組合費等物件の調査も実施します。中立の立場で、正しい情報で安全に取引が行われるためのチェック機能を発揮します。
 書類の作成については、譲渡証明書等の不動産取引書類は、免許を持つ不動産専門弁護士が基本的には作成しますし、決済のための各種清算金の明細もエスクロー会社が用意します。それ以外にも売主が米国人であるか、否かにより売却資金の税金の源泉徴収が変わるため、そのための関連書類を準備したりします。

 また、買主から売主への売買金銭の受け渡しは、エスクロー会社の口座を使い、エスクロー会社が責任をもって手付金、中間金、残代金を登記日まで管理します。日本の不動産取引では、金銭の授受は基本的に売主・買主の当事者間で行われるため、時に地面師のような事件を耳にしますが、ハワイではそのようなトラブルが起きることはありません。

 そして、買主への権利移転に必要な書類について、不備がないかエスクロー会社が最終的な確認をします。全ての書類の確認ができたら、譲渡書類はハワイの登記所に送られ、登記が完了します。その後、エスクロー会社は、管理していた金銭を売主が指定する送金先に支払うことで、不動産取引が完了を迎えます。

 このように、エスクロー会社は、ハワイの不動産の取引が安全に行われるためにとても大切な役割を果たしてくれます。