2024年03月の不動産ニュース

日々、移り変わる不動産市場。
私たちにとって“情報”を理解し、
精査することは何よりの財産です。
ここでは不動産業界のニュースをお届けします。
※記載されている内容は、全て掲載時点のものです。
最新の内容とは異なる場合がありますのでご了承ください。

2024年03月

  • 2024.03.26

    東京23区と大阪の賃貸Mは賃料過去最高

    ―アットHとSMTRI、23年4Q調査


    アットホームが編集・発行を行い、三井住友トラスト基礎研究所が賃料指数を作成・提供する23年第4四半期(10~12月、4Q)の「マンション賃料インデックス」(100は09年第1四半期)が公表された。指数でみて東京23区は117・52(前年同期比3・39増)で、過去最高の水準となった。加えて、大阪市の賃料も128・90(2・24増)で、東京23区と同様に過去最高の水準だった。調査では、「名古屋を除く全エリアでコロナ禍前の賃料水準を上回っており、過去最高の水準となっているエリアも多い」とした。

    首都圏は、東京23区に加えて、東京都下が108・88(2・82増)、横浜・川崎市で112・95(2・70増)、千葉西部は113・50(3・07増)、埼玉県東南部の113・23(2・22増)と全エリアで2㌽を超える上昇だった。新築分譲マンションの価格が上昇したため、購入検討層の買い控えの拡大や賃貸マンションの居住継続が増えたとみている。また、タイプ別にみると、ファミリー(60㎡~100㎡未満)の指数は、東京23区で122・22(5・20増)となり、シングル(18㎡~30㎡未満)の114・74(3・54増)、コンパクト(30㎡~60㎡未満)の120・29(3・66増)を上回る大きな伸びだった。そのため、「単身世帯よりも共働き世帯の方が賃上げによる恩恵が大きく、賃料負担力向上に寄与している」とした。

    一方で大阪市については、インバウンドや観光や飲食などサービス業を始めとした雇用回復による賃貸住宅需要が大きいと指摘する。タイプ別では、シングルが115・68(2・66増)となり、前期からも1・71の上昇。ファミリーは134・64(4・98増)で、前期比は8・47の低下だった。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2024.03.22

    2月のマンション市場動向・首都圏、発売は27・6%減の1319戸

    ―本社、価格・単価とも全エリアで上昇


    不動産経済研究所は21日、2月の首都圏(1都3県)新築分譲マンション市場動向を発表した。供給戸数は前年同月比27・6%減の1319戸で、3カ月ぶりの減少となった。また、初月契約率は69・9%と前年同月(73・3%)を3・4㌽下回っている。

    2月の供給物件数は全121物件で、前年同月の112物件と比べると9物件、8・0%の増加、そのうち100戸以上を売り出した物件は1物件だった(前年同月も1物件)。初回売り出し物件は14物件・352戸で、前年同月(20物件・618戸)を物件数は6物件、戸数は266戸下回っている。供給戸数をエリア別にみると、神奈川県が2割増と伸ばした一方、その他のエリアは軒並み2ケタ減と落ち込んでいる。都区部は33・2%減と4カ月ぶりの減少となり、シェアは43・1%で前年同月(46・8%)に比べて3・7㌽ダウンしている。

    新規供給に対する契約戸数は922戸で、初月契約率は69・9%。エリア別では神奈川県70・1%、千葉県85・1%の2エリアが7割を超えている。

    戸当たり平均価格は7122万円で、前年同月(6776万円)比346万円(5・1%)の上昇、㎡単価も108・4万円で同(101・4万円)比7・0万円(6・9%)上昇している。平均価格は4カ月連続、単価は12カ月連続のアップ。エリア別にみると全てのエリアが平均価格、単価ともに上昇している。

    専有面積は65・71㎡で、前年同月比1・6%の縮小。即日完売は5物件・44戸(シェア3・3%)、フラット35登録物件戸数は1214戸(92・0%)。2月末時点の在庫は5748戸で、前月末比173戸減少している。

    3月の供給は2500戸前後が見込まれる。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2024.03.22

    2月のマンション市場動向・近畿圏、発売は27・1%増の1059戸

    ―単価は117・3万円で最高値を更新


    近畿圏(2府4県)の2月の新築分譲マンション供給戸数は前年同月比27・1%増の1059戸となり、3カ月連続で前年実績を上回った。

    供給戸数をエリア別にみると、大阪市部が13・0%増の409戸、大阪府下が331・5%増の384戸、神戸市部が27・8%減の70戸、兵庫県下が48・1%減の55戸、京都市部が172・7%増の90戸、滋賀県が4・3%増の48戸、和歌山県が3戸。

    初月契約率は前年同月比25・5㌽アップの77・1%と、2カ月ぶりに好調ラインの70%を上回った。

    平均価格は前年同月比46・4%上昇の7398万円。㎡単価は47・2%上昇の117・3万円。平均価格、単価ともに4カ月連続のアップ。梅田周辺の大規模再開発で注目の「グラングリーン大阪THE NORTH RESIDENCE」が発売を開始し、即日完売となった。これにより契約率・平均価格・単価を大幅に押し上げた。平均価格は1991年8月(8049万円)以来の高値。単価は1973年の調査開始以来の最高値を更新した。

    2月末時点の販売在庫は3043戸で、前月末比222戸の減少、前年同月末比では520戸の減少となっている。

    3月の供給は1400戸程度となる見通し。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2024.03.22

    首都圏の中古M、2月は前月比プラスに

    ―カンテイ、12カ月ぶり上昇傾向へ転換


    東京カンテイは21日、2月の中古マンション売り出し希望価格(70㎡換算)をまとめた。首都圏の平均価格は4707万円(前年同月比3・3%減)で、前月と比べると0・7%増の上昇だった。前月比での価格上昇は12カ月ぶり。主任研究員の髙橋雅之氏は、首都圏全体の事例に対して「東京都の割合が縮小していた傾向が、春商戦に向けて前月より0・4㌽増の48・5%と増加に転じたことが影響した」と話す。

    東京都は6424万円(0・3%減)で、前月より0・1%増とわずかながらも強含みだった。神奈川県も3648万円(0・5%減)と、前月比では1・1%増で、5カ月ぶりに上昇へ転じた。一方、埼玉県の2945万円(3・4%減)は前月比が0・7%減で、千葉県の2721万円(3・8%減)も前月比が0・4%減と揃って下落だった。埼玉県は、前月割れが5カ月連続で続いている。

    首都圏の中心都市では、東京23区の7204万円(3・3%増)が、前月比0・3%増と上昇傾向だった。特に都心6区は1億1380万円(13・4%増)と前月からも2・2%の上昇で、都心物件の売り出しも増えたという。横浜市は3835万円(0・8%増)で前月比が1・5%増、千葉市は2585万円(3・4%増)で前月比が1・7%増と、それぞれ前年同月比、前月比ともに上昇した。髙橋氏は、「売買が活発な春を過ぎた後の在庫や価格改定の状況によっては、24年後半頃に中古マンション市場動向の潮目が変わる可能性がある」と語った。中心都市では首都圏で唯一、さいたま市の3672万円(4・0%減)が、前月からも0・9%減だった。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2024.03.21

    日銀、マイナス金利政策解除し利上げへ

    ―植田総裁、「緩和的な金融環境は継続」


    日本銀行は18・19日の金融政策決定会合で、マイナス金利政策の解除を決定した。低金利に抑えるイールドカーブ・コントロール(YCC、長短金利操作)も撤廃する。賃金と物価の好循環の強まりを確認し、2%の物価上昇目標の実現が見通せる状況に至ったと判断した。大規模金融緩和の象徴だったマイナス金利政策とYCCについて植田和男・日銀総裁は19日の会見で「役割を果たした」と語った。上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(Jリート)の新規買入れ終了も決定した。

    今後は、金融機関間の資金のやり取りに適用する短期金利の操作を主たる政策手段とする。短期金利は従来の△0・1%を、「1~0・1%程度」で推移するよう促す。日銀の利上げは07年2月以来、約17年ぶりとなる。新たな金融市場調節は21日から適用する。長期国債の買入れはこれまでと概ね同程度の金額で継続することとした。足元の長期国債の月間買入額は6兆円程度。

    政策変更により、将来的に住宅ローンをはじめとする貸出金利の変化が見込まれる。植田総裁は会見で「貸出金利あるいは預金金利は、今回の政策変更を受けて市場金利が多少変化するが、その動向を踏まえて各金融機関の判断において設定される。今回の政策変更に伴う短期金利の上昇は0・1%程度だ」としたうえで、「今回の措置を受けて預金金利や貸出金利が大幅に上昇するとはみていない」とした。

    また、先行きについては「現時点の経済物価見通しを前提にすると、当面緩和的な金融環境は継続すると考えている。緩和的な金融環境が経済・物価をしっかりと支える方向で作用するとみている」と話した。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2024.03.21

    東急不、大阪の新駅直結モール23日開業

    ―鉄道延伸で2棟増築、「観光の拠点に」


    東急不動産は北大阪急行南北線の新駅「箕面萱野駅」(大阪府箕面市)が23日に開業するのに伴い、地域密着型商業施設「みのおキューズモール」の増築棟を同日オープンする。03年に既存の6棟を開業。鉄道延伸に合わせ、約20年ぶりに駅ビルと高架下店舗の2棟を加えた。新駅周辺は都心のベッドタウンで子育て世帯らが多く住む。新店舗にはコスメや飲食、物販など34店舗を集め、地元客を中心に観光客も取り込む。

    新駅とモールが同時に開業するのを前に19日、東急不動産が現地を報道に公開した。新駅は地下鉄御堂筋線・北大阪急行南北線の始発駅となり、乗降者数は1日2・8万人が想定される。千里中央駅からバス7路線も移設され、通勤や観光などの新たな人の流れが生まれる。需要拡大を見越して行われた市の事業コンペで同社が選ばれ、市に土地を借り「みのおキューズモールSTATION棟」を建てた。延床面積を約10・7万㎡から11・4万㎡に拡大し、店舗数を合計約150に増やした。リーシングは1年半ほどで終えた。

    総支配人の大門康弘氏(東急不動産SCマネジメント)は「モールと新駅が観光の拠点になることを期待する」と話す。モールの既存棟に100人規模の認可保育所も新たに誘致し、市民の子育てを後押しする。駅周辺は市街化調整区域だが、居住者の増加を受け、住宅の開発計画もあるようだ。

    駅ビルは3階建てで、隣接地に高架下店舗を作った。既存6棟の来館者数は年間800万人弱。新駅・新棟の開業で1000万人に届く可能性もある。キューズモールは大阪市と尼崎市に4店舗あり、箕面の施設は今回の増築で阿倍野(約250店舗)に次ぐ規模になった。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2024.03.18

    専任の宅建士、他事務所の業務可能に

    ─国交省、法解釈を見直し4月1日施行


    国土交通省は、専任の宅地建物取引士が他の事務所で業務を行うことができる場合を明確にする。政府が進めるアナログ規制の見直しの一環。これまで規定がなかった内容であり、明確にすることで不動産業界のオンラインを活用した働き方を後押しする。宅地建物取引業法の「解釈・運用の考え方」を改正し、4月1日に施行する方針だ。

    宅建業法は、事務所ごとに従業者の5人に1人以上の割合で専任の宅建士を置くことを宅建業者に義務付けている。これまで、専任の宅建士のテレワーク勤務を認める規定や、「宅建業以外の業を兼ねる事務所で、一時的に宅建業が行われていない間に、その事務所で兼業している他の業の業務を行うこと」を可能とする規定は存在した。一方で、専任の宅建士が物理的に離れた他の事務所の業務を行うことができるケースについては規定がなかった。新たに、差し支えないケースとして、「専任の宅建士が、事務所で一時的に宅建業の業務が行われていない間に、他の事務所等の宅建業の業務に従事すること」の規定を設ける。

    具体的には、不動産会社A支店の専任の宅建士が、A支店で宅建業の業務を行っていないときに、B支店の業務をA支店からオンラインで手伝うことが可能と明確化される。この場合のオンラインによるB支店の業務には、B支店の顧客に対するIT重説の実施などが想定される。A支店の専任の宅建士が、B支店の専任の宅建士になることは認められない。専任の宅建士の「事務所ごと5人に1人」の割合にも変更はない。

    政府はアナログ規制の見直しを進めている。重点的に見直す分野に「専任・常駐」があり、宅建業の範囲で対象となったものの一つ。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2024.03.13

    中古Mは価格が上昇も、戸建は下落続く

    ―4レインズ動向、成約件数揃って増加


    不動産流通推進センターは、2月に全国の指定流通機構(レインズシステム)に成約報告があった売買の取引事例から、既存住宅の動向を公表した。中古マンションの成約価格は3862万円(前年同月比10・41%増)だった。㎡単価は58・11万円(9・75%増)で、前年同月を成約価格とともに45カ月連続で上回った。成約件数は6233件(2・82%増)。一方、中古戸建の成約価格は2597万円(2・84%減)となり、4カ月連続で前年同月を下回った。成約件数は3806件(20・03%増)と大幅に増加した。

    中古マンションの成約価格は、首都圏の4911万円(11・13%増)や近畿圏の2987万円(8・94%増)、中部圏の2502万円(8・92%増)と、三大都市圏で揃って1割近い上昇だった。加えて、九州・沖縄も2655万円(19・11%増)で大幅に上昇した。他は、北陸の1523万円(17・00%減)と四国の1437万円(17・60%減)のみ下落した。成約件数は、中部圏の393件(7・75%減)と近畿圏の1405件(2・36%減)だけ減少だった。首都圏が3276件(3・57%増)で増加したほか、九州・沖縄の433件(12・76%増)など大きな増加もみられた。

    中古戸建住宅は、成約価格で首都圏が3908万円(0・96%減)と若干の前年割れを始め、6エリアが下落傾向だった。大都市を含むエリアでは、近畿圏の2347万円(0・30%増)や九州・沖縄の2155万円(1・36%増)で上昇した。成約件数は、首都圏の1085件(10・71%増)を始め、三大都市圏の2ケタ増に加えて、北海道の230件(36・09%増)や九州・沖縄の344件(33・33%増)などのエリアも多く、全国で2割超の大幅な増加につながった。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2024.03.13

    三幸、都心5区ビル空室率は小幅に低下

    三幸エステートは11日、2月末時点の全国主要都市のオフィス需給動向を公表した。東京都心5区の大規模ビルの空室率は4・86%(前月比0・05㌽減)だった。潜在空室率は7・42%(0・18㌽減)でほぼ横ばい。募集賃料(共益費込)は坪当たり2万8025円(61円増)で、4カ月ぶりに坪2万8000円台となった。比較的大口の空き床が消化され、複数の大規模ビルが高稼働で開業し、空室率が小幅に低下した。

    23年の年間の成約面積は約47万坪で、22年だけでなく19年の成約面積をも上回った。今関豊和チーフアナリストはオフィス需要について「採用に有利なビルへの移転や館内増床などプラス要因のニーズが既存ビルにある一方、新築ビルは需要が弱い」として、「24年竣工の主要ビルでは、溜池山王駅に直結するビルも、まだ空室がみられる」と話す。

    なお、三幸エステートはこのほど、筑波大学、神戸大学と連携して、立地によるオフィスビルの動向調査を発表。大規模ビルに限ると、22年以降はオフィスビルが集積するエリアで再び、賃料のプレミアムが上昇する傾向に転じたと分析している。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2024.03.11

    政府、住宅SN法の改正案を閣議決定

    ─終身建物賃貸借、事業者単位の認可へ


    政府は8日、住宅セーフティネット法などの改正案を閣議決定した。入居者の安否確認などサポートサービスが付いた「居住サポート住宅認定制度」の創設や、まだ数が少ない一般の賃貸住宅での終身建物賃貸借の利用促進策などが盛り込まれている。賃貸住宅の大家と、単身高齢者などの住宅確保要配慮者が、ともに安心して賃貸住宅を利用できる市場環境を目指す。

    居住サポート住宅は、地域の居住支援法人が、安否確認や見守りなど入居中支援を行う賃貸住宅。安否確認には人感センサーなどICT機器を用いることを想定し、入居者の心身の状況によって適切な福祉サービスにつなげる。家賃は近隣相場と乖離のない通常の賃貸住宅で、サポート費用は別途支払う。改正法案のイメージに近いサービスを展開する民間事業者の費用は月額2000~3000円程度。介護度の高い入居者が多く、月額家賃も十数万円になるサービス付き高齢者向け住宅より手軽に利用できる賃貸住宅にする。

    終身建物賃貸借は、浴室に手すりがあるなど高齢者が暮らしやすい基準を満たした住宅で、賃借人が死亡しても借家権が相続人に相続されないのが特徴。相続トラブルがないため大家は安心して貸せる。都道府県等が事業者(貸主)を認可する。21年度末時点で1万4774戸が認可されているが、大半はサ高住。一般の賃貸住宅は281戸にとどまる。改正案は、終身建物賃貸借の認可手続きの簡素化を盛り込む。従来の住戸ごとの認可から、事業者単位の認可にする。棟数・住戸数が多い事業者も認可申請は一度で済むようにして、一般賃貸住宅の認可を増やす。

    改正内容の施行は、国会で成立した場合、25年秋ごろを予定している。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2024.03.11

    東京・千代田区のビル空室率は2%台に

    ―三鬼と地所リアル、オフィス需給調査


    三鬼商事と三菱地所リアルエステートサービスは、東京中心部における2月時点のオフィスビルの需給動向を公表した。三鬼商事の都心5区における基準階面積100坪以上のビルを対象とした調査では、空室率が5・86%(前月比0・03㌽増)だった。地所リアルの延床面積3000坪以上の大規模ビルに対する調査によると、空室率は都心5区で5・88%(0・11㌽減)、品川区と江東区を加えた主要7区では6・00%(0・13㌽減)だった。両調査でともに、東京中心部で千代田区のみ、空室率が2%台まで低下した。

    三鬼商事は、千代田区の空室率を2・96%(0・20㌽減)として、20年11月以来の2%台まで改善した。解約が小規模で館内増床などの成約もあり、空室率が低下した。他のエリアでは、新宿区が4・69%(0・16㌽減)、渋谷区が4・83%(0・27㌽増)など。港区は、大規模な募集開始や統合に伴う大型解約があったため、空室率は8・69%(0・20㌽増)まで上昇した。都心5区の共益費を含まない新規募集の坪当たり平均賃料は1万9776円(46円増)だった。

    地所リアルの調査をみると、千代田区の空室率は2・55%(0・11㌽減)だった。渋谷区が4・38%(0・24㌽増)となり、渋谷駅周辺の新築ビルの竣工や代々木エリアの大きな解約で前月より若干上昇した。坪当たりの平均募集賃料は、都心5区で2万9921円(477円減)、主要7区で2万7760円(416円減)。前年同月と比べると千代田区、港区、渋谷区が1500円以上も上昇したが、中央区は2万2033円(5114円減)と大幅に下落した。坪3万5000円超の床が埋まる一方、坪1万円台の募集も始まり、立地や築年数でニーズの差が二極化しているという。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2024.03.08

    相続登記の申請義務化、施行前でも対象

    ―所有者に近い不動産業者、情報の窓口に


    法務省民事局民事第二課長 大谷 太氏


    4月から、相続登記の申請が義務化される。所有者不明土地の発生予防を目的とした、21年の不動産登記法改正の中核となる施策だ。不動産登記制度を所管する法務省民事局民事第二課の大谷太(おおや・たい)課長に、ポイントや不動産業者への期待を聞いた。


    ―義務化のポイントを。

    大谷氏 不動産を取得した相続人に、3年以内の登記申請が義務付けられる。申請を怠ると10万円以下の過料の罰則がある。ぜひ知っておいていただきたいのは、施行日前の相続も義務化の対象になるという点だ。施行日前の相続には3年の猶予がある。27年3月31日までに、申請義務を果たしていただきたい。土地・戸建てだけでなくマンションにも適用がある。

    ―相続人が多数いる場合などは申請が困難では。

    大谷氏 義務を果たすための簡易な登記方法として、4月1日には「相続人申告登記」も始まる。自分が法定相続人の一人だと示す最低限の資料を持って法務局に申し出れば、登記官が職権でその人の住所・氏名を登記する。特定の相続人が単独で申し出ることができ、申出は申請義務を履行したものとみなされる。

    ―不動産業者に期待する役割とは。

    大谷氏 相続登記の申請件数は、21~22年は前年比約110%で推移している。義務化でさらに増えるだろう。不動産業者の皆さんは、不動産の所有者に非常に近い位置にいる。所有者から、さまざまな相談が最初に来ると思われる。一般の方々に対して義務化のルールを伝える最初の窓口になっていただき、詳しいことは法務局へと誘導していただけるとありがたい。法務局では相談を受ける体制の強化を図っている。

    ―21年改正で、他に不動産業者に影響は。

    大谷氏 こちらも24年4月1日施行の「海外居住者の国内連絡先の登記事項化」がある。所有権の登記名義人が国内に住所を有しないときは、国内連絡先の氏名や住所などを登記する必要がある。不動産関連業者や、司法書士などに連絡先になっていただけたらと期待している。また、26年2月2日施行の「所有不動産記録証明制度」は、地主などからの不動産管理の相談の場で活用されると考えている。これは特定の者が名義人となっている不動産の一覧を、法務局が証明書として発行するものだ。どこにどんな相続不動産があるのかわからないという相続人は、この証明書で把握でき、相続登記や管理が容易になる。

    ―相続土地国庫帰属制度も所管だ。

    大谷氏 23年4月27日に制度が始まり、24年1月末時点で申請件数は1661件、国庫帰属は117件。相談件数は延べ2万1985件だ。標準処理期間は8カ月程度で概ね順調。国庫帰属土地の内訳は宅地が中心で52件。市街地の更地で、売れてもおかしくない宅地も相当数ある。国庫帰属後の土地は、基本的に財務局などが近隣に迷惑がかからないよう管理している。

    ―前職(大臣官房参事官)で区分所有法の改正議論に携わった。現職との共通項は。

    大谷氏 区分所有法の改正要綱では、管理と再生、2つの円滑化の観点からさまざまな新制度が提案された。所在不明の区分所有者を全ての決議の母数から除外する仕組みや、所有者不明・管理不全の専有部分の財産管理の仕組みなどが盛り込まれている。これらは21年の民法・不動産登記法改正と通ずるものがある。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2024.03.06

    主要7区ビル空室率、エリアで顕著な差

    ―地所リアル、昨年のオフィス需給動向


    三菱地所リアルエステートサービスは、23年12月末の東京主要7区における延床面積3000坪以上の大規模オフィスビルの需給動向を公表した。都心5区の空室率は6・31%(前年同月比0・06㌽増)だった。品川区と江東区を加えた主要7区の空室率は6・44%(0・50㌽減)だった。都心5区、主要7区とも34カ月連続で、適正空室率の5%を上回る。坪当たりの平均募集賃料は、都心5区で3万399円(683円増)と3万円台に回復した。主要7区も2万8153円(1132円増)に上昇した。

    調査では、都心5区、主要7区の全体をみると、空室率、平均募集賃料に大きな変化がみられなかったが、エリアごとでは顕著な差が出ているとした。千代田区は23年1月に空室率が3%台に入り、12月末時点で空室率2・62%(1・45㌽減)、平均募集賃料は3万7006円(1261円増)と高い需要があり、貸し手市場と分析している。渋谷区も空室率が3~4%台で推移して新築物件の募集が始まったものの、12月末時点の空室率は3・97%(0・91%増)だった。賃料水準の高い大型物件でも入居希望が多いエリアと、同調査ではみている。品川区や江東区は、23年を通じて10%を超える水準から空室率が低下傾向が続き、品川区は6・67%(3・22㌽減)、江東区は7・64%(3・21㌽減)まで改善した。

    23年に都心5区で新築供給されたオフィスビルの床面積は約39万坪だったが、マーケットは回復傾向で新規供給を上回る需要があったとする。オフィス移転の傾向は、「コミュニケーション向上」や「従業員のエンゲージメント向上」に加えて「人材確保」が目的の移転が目立ったとしている。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2024.03.06

    フラット35金利、4カ月ぶりに上昇

    住宅金融支援機構によると、3月のフラット35の融資金利幅(買取型、融資率9割以下、借入期間21年以上)は、1・84%(前月比+0・02%)~3・45%(△0・02%)となった。取扱金融機関が提供する金利で最も多い最頻金利は1・84%(△0・02%)で4カ月ぶりに上昇した。融資率が9割超の場合の金利幅は、1・98%(+0・02%)~3・59%(△0・02%)。最頻金利は1・98%(+0・02%)で4カ月ぶりの上昇。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2024.03.05

    東急不、港区とエリマネ促進などで協定

    東急不動産は4日、東京・港区との間で竹芝地区の活性化や区内の事業創造促進などを目的とする連携協定を締結した。再エネ発電や都市開発などに参画する現地の行政機関と、同種の協定に基づき地域活性化などに取り組んできたが、東京の特別区との協定は渋谷区に続き2件目。港区では20年に開業した「東京ポートシティ竹芝」で展開する先端技術開発の実証実験やスタートアップの育成支援、地域振興イベントなどに一層力を入れるほか、全国の行政とのネットワークを生かした港区との連携事業を検討している。

    港区はこれまでに飲料や生保・損保など7社と同種の連携協定を交わしたが、不動産会社との協定は初めて。区は全国の行政と強い結びつきがある東急不動産と手を組み、街づくりや島しょ部を含む地域振興などの取り組みに広がりと厚みを持たせたい考えだ。4日に区役所を訪れた東急不動産の星野浩明社長は「今回の協定は当社の新たなスタートになる。港区とともに全国の行政が抱える課題を解決したい」と述べた。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2024.03.04

    政府、地域再生法の改正案を閣議決定

    ─住宅団地、コンビニなどつくりやすく


    政府は1日、住宅団地の既存ストックを転用しやすくするため、地域再生法改正案を閣議決定した。高度成長期に大量供給された住宅団地は、住民の高齢化や空き家の増加が顕著。住宅を改修してコンビニエンスストアなどをつくりたくても、建築基準法の規制から困難な状況にある。法改正により、住宅団地でも小規模店舗をつくりやすくし、地域機能の向上を図る。

    建築基準法の容積率や高さなどの制限は、建築物の用途を変更すると、変更後の規制が適用になる。共同住宅では、共用廊下や階段は床面積に含まれず、容積率計算の対象外になる緩和措置がある。改修して住宅以外の用途にすると、共用廊下などは床面積に含まれ、容積率の緩和措置は受けられなくなってしまう。

    地域再生法改正案は、市町村が区域を定めて、住宅団地再生のための総合的な事業計画(地域住宅団地再生事業計画)を作成した場合、住宅の用途を変更しても、住宅に適用されていた容積率の緩和措置を引き続き適用できるようにする。転用にはコンビニ、コミュニティカフェなどの施設を想定する。

    同様に、住宅団地内での廃校活用も進める。第一種低層住居専用地域などでは、10mまたは12mの高さ制限があるが、学校は対象外。廃校活用は学校ではないため、高さ制限の規制を受ける。廃校をコワーキングスペースや多世代交流施設として活用する場合には、引き続き高さ制限の適用を除外する。

    住宅団地は全国に約3000ある。地域住宅団地再生計画を地域再生推進法人(住宅団地再生に取り組む民間団体など)が提案できるようにする仕組みも創設する。改正案が国会で成立した場合、公布後6カ月以内の施行となる。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2024.03.04

    首都圏の中古M相場は上昇率1%に鈍化

    ―カンテイ、東京23区は4百万円台で堅調


    東京カンテイは1日、23年の下半期(7~12月)の中古マンションの相場坪単価を公表した。首都圏では334・6万円(23年上半期比1・0%増)となり、22期連続で上昇した。ただし、上昇率は鈍化傾向が22年上半期から4期続いている。東京都は387・9万円(0・8%増)だったほか、神奈川県は253・8万円(1・5%増)、千葉県は211・1万円(5・9%増)といずれも上昇したが、上昇率は前期を下回った。埼玉県は211・1万円(0・7%減)で6期ぶりに前期を下回った。

    調査は、築5年から15年、最寄り駅から徒歩15分以内で一定以上の流通事例がある物件が対象。独自の試算で流通事例を「4階・中住戸・南向き」へ補正して均質化を図ったデータで行った。東京都の中でも23区は相場坪単価が408・7万円(0・9%増)で堅調な推移だったが、14期ぶりに上昇率で1%を割った。詳細なエリアをみると、都心が569・7万円(1・6%増)、城南・城西が403・7万円(0・4%増)で、それぞれ前期より上昇が鈍化した。加えて、各県の政令指定都市のうち、相模原市の198・9万円(2・1%減)、さいたま市の259・2万円(1・2%減)、千葉市の180・6万円(0・3%減)は、下落傾向に転じた。

    他の大都市圏の坪単価をみると、近畿圏の216・2万円(0・7%減)と中部圏の163・6万円(1・9%減)は、長期で続いた上昇傾向から揃って下落に転じた。政令指定都市では、大阪市の232・7万円(1・1%減)や京都市の286・0万円(0・7%減)、名古屋市の185・3万円(2・1%減)など各地の中心都市でも下落した。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2024.03.01

    都心オフィス成約面積、70万坪台に回復

    ―三幸とニッセイ基礎研、16~19年水準


    三幸エステートとニッセイ基礎研究所は、賃貸オフィスビルの成約事例からみたオフィスの動向調査を公表した。23年下期の東京都心5区のオフィス成約面積は35・2万坪(前年同期比0・3%減)でほぼ横ばい。成約面積のうち、竣工前ビルは3・2万坪(10・5%減)、竣工済みビルは32万坪(0・8%増)だった。23年通年では、東京都心5区の成約面積が78・3万坪で前年より3・9%増加しており、70万坪台が続いた16年から19年の水準に戻ったとみている。

    基準の50%を境に、オフィスの拡張・縮小の意欲が強いことを示すオフィス拡張移転DIは、23年第4四半期(4Q、10~12月期)は65%(7~9月期比4㌽減)だった。19年4Qは77%と拡張意欲が強かったが20年3Qから22年1Qまで50%台に低下。22年2Qからは60%台に回復し、その後に一時的な上昇もみられた。しかし、新築ビルの供給量が23年に大きかったことやオフィス戦略の見直しに伴う縮小移転の需給悪化などが影響して、調査ではDIの数値から「コロナ禍前の力強さを取り戻していない」とした。

    23年下期のビルクラス別のオフィス拡張移転DIをみると、Aクラスは72%(23年上期比12㌽増)と上昇したが、Bクラスは72%(2㌽減)、Cクラスは62%(19㌽減)だった。22年上期以降はAクラスに停滞感がみられ、B・Cクラスで堅調だった状況から反転した。今後について、ハイブリッドワークの普及に伴うオフィス再構築のほか、企業の好調な業績や人材確保が影響する可能性を見込んでいる。23年下期の業種別のDIでは、「卸売業・小売業」で意欲が続伸したほか、停滞感のあった「情報通信業」や「製造業」で改善に転じた。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2024.03.01

    首都圏の中古Mは3カ月連続で前年割れ

    ―アットH、23区は過去最高が6カ月続く


    アットホームは2月28日に、首都圏における1月の住宅の売り出し価格動向をまとめた。中古マンションは3867万円(前年同月比1・0%減)で、3カ月連続の前年割れだった。一方、東京23区は5099万円(3・7%増)となり、6カ月連続で17年の調査開始から最高額を更新した。アットホームラボ執行役員の磐前淳子氏は「都心部は価格が高くても取引は順調とみられる一方、郊外などでは売りと買いに価格差があり、在庫が積み上がってきたようだ」と語った。

    中古マンションの価格をエリア別にみると、東京23区に加えて、東京都下の3247万円(1・3%増)、千葉県西部を除いた千葉県他の2078万円(1・2%増)も過去最高を記録した。一方で、神奈川県で横浜市・川崎市の3365万円(0・6%減)、埼玉県でさいたま市の3443万円(1・4%減)、埼玉県他の2539万円(3・2%減)、千葉県西部の2858万円(3・9%減)は前年を下回った。特に千葉県西部は、前月比では7カ月連続の下落となった。神奈川県他は2634万円(2・1%増)と前年を上回ったが、前月より若干の下落だった。

    新築戸建の平均価格は4512万円(0・5%増)だった。前月比では全8エリアが下落した。東京都下の4692万円(0・1%減)、横浜市・川崎市の5210万円(0・3%減)が38カ月ぶり、千葉県他の3202万円(0・4%減)が27カ月ぶりに前年同月を下回ったのを始め6エリアが前年割れ。神奈川県他の3988万円(0・3%増)と埼玉県他の3654万円(2・2%増)は前年を上回った。磐前氏は「中心部に加えて許容できる範囲の交通利便性のある郊外も、価格の上昇が波及している」と話す。

    (提供/日刊不動産経済通信)