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家賃収入とは?不動産投資による収益化までの流れと注意事項を解説

家賃収入とは、不動産の貸し出しによって得られる収入のことを言います。

家賃収入を得るためにはまず、不動産を取得することから始め、あらゆるリスクを把握した上で入居者を募集しなければいけません。

この記事では、不動産投資による収益化までの流れや、家賃収入を得る際の注意事項などについてお伝えします。

これから安定した家賃収入を得たいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

家賃収入とは不動産の貸し出しによって得る収入

家賃収入とは、不動産を貸し出して得る賃料のことを言います。

自分が所有する不動産やこれから取得する不動産などを貸し出して、入居者がいて初めて家賃収入を得られます。

よって、不動産を所有していても、入居者がいなければ家賃収入は得られません。

家賃収入を得るまでの流れ

家賃収入を得るまでの流れは下記のとおりです。

  1. 不動産を取得する
  2. 購入した不動産の入居者を募集する
  3. 家賃収入を得られる

まずは、家賃収入を得るまでの流れについて解説します。

1. 不動産を取得する

家賃収入を得るためには、貸し出す物件を用意しなければいけません。

物件を所有されている方は、所有物件を貸し出せば良いでしょう。物件を所有されていない方は、不動産投資用物件を購入するところから始めます。

投資用不動産を購入する場合には、入居者ターゲットを絞り、利回り(不動産投資によって得られる収入の割合)を考慮しておくと良いでしょう。

2. 購入した不動産の入居者を募集する

家賃収入を得るための不動産を確保したあとは、入居者を募集しなければいけません。

物件を所有していても、家賃を支払ってくれる入居者がいなければ、家賃収入を得ることができないためです。

入居者の募集は不動産会社に相談をするのが一般的ですが、契約方法は媒介契約と代理契約があるので注意してください。

いずれも、入居者を探してもらえるという点では変わりありませんが、不動産会社が介入する手続きの範囲に差があります。

媒介契約とは、入居希望者(借主)の紹介斡旋を行う。不動産会社は代理権を持たないため、契約などは貸主が行うことです。

一方で、代理契約とは、不動産会社が貸主から代理権を得て、入居者の募集や入居審査、契約の締結まで行うことです。

3. 家賃収入を得られる

入居者が決まり次第、物件を貸し出して毎月決まった日に家賃収入を得られます。

そのほか、入居時の敷金・礼金や更新料、共益費などのお金も受け取ります。なお、敷金は入居時に受け取れるお金ですが、退去時に返還しなければいけません。また、共益費は建物の維持管理や修繕を行うために使用する費用です。

家賃収入を得るために必要な費用一覧

家賃収入を得るために必要な費用は下記のとおりです。

内訳内容
物件購入費用家賃収入を得るための物件購入費用、物件購入時に発生する仲介手数料
不動産仲介手数料入居者募集をする際など、不動産会社に支払う手数料
保険料火災保険や地震保険、施設賠償責任保険などなど…。各種保険料
各種税金登録免許税や不動産取得税など、各種税金
各種ローン手数料ローンで不動産を購入した場合の手数料

家賃収入を得るための初期費用として、物件購入費用の15%〜30%程度を想定しておくと良いでしょう。

家賃収入の計算例

家賃収入は「収入-経費=家賃収入」で計算をします。

例えば、賃料10万円で物件を1年間貸し出していて、1年間の経費で30万円かかったとしましょう。上記のとおりに計算をすると「120万円-30万円=90万円」が年間の家賃収入として得られたことになります。

ただ、物件を取得する際に初期費用を支払っているため、家賃収入を正確に計算する場合は、利回りを用いるのが一般的です。

利回りとは、投資した金額に対して何%のリターンを得られたか(得られるか)?を計算する方法です。

不動産投資の利回りは下記3種類で計算されます。

  • 入居者がいる(満室)と仮定して計算をする「想定利回り」
  • 家賃収入のみで計算をする「表面利回り」
  • 実質的な利益を計算する「実質利回り」

それぞれの計算式は下記のとおりです。

【想定利回り】

満室賃料÷物件取得費用×100=想定利回り

例えば、賃料が10万円で10室のアパートを所有し、家賃収入を得ていたとしましょう。仮に、不動産取得費用が5,000万円だったとすると、想定利回りは下記のとおりになります。

1,200万円(1年間の満室賃料)÷5,000万円×100=24%

【表面利回り】

年間家賃収入÷物件取得費用×100=表面利回り

例えば、賃料10万円の物件を1室貸し出し、家賃収入を得ていたとしましょう。不動産取得費用は、上記同様5,000万円とします。

120万円(1年間の家賃収入)÷5,000万円×100=2.4%

想定利回りと表面利回りは基本的な計算式は同じです。しかし、想定利回りは満室を想定して計算をする利回りです。一方で、表面利回りは1室から計算ができます。

【実質利回り】

(年間の家賃収入-年間諸経費)÷(不動産取得費用+物件購入時の諸経費)×100=実質利回り

事例

物件価格5,000万円
取得費用750万円
年間家賃収入120万円
年間諸経費10万円

(120万円-10万円)÷(5,000万円+750万円)×100=1.91…%

細かく、実質的な利回りを把握したい方は、実質利回りで計算をしてください。

家賃収入を得るために事前に確認しておくべきこと

これから家賃収入を得るために、不動産投資を検討されている方は、下記のことを事前に確認しておいてください。

  • 家賃収入には税金が課税される
  • 不動産投資の「利回り」を把握する
  • 不動産投資にはリスクがある

家賃収入には税金が課税される

一般的な賃貸住宅の貸し出しによって得た収入は、不動産所得として所得税・住民税が課税されます。

不動産収入は「総収入-必要経費=不動産所得」に対して課税されます。

例えば、家賃収入や礼金(敷金や保証金は収入に含みません)などで年間150万円の収入があったとしましょう。仮に、必要経費で30万円かかったとすると、不動産所得は下記のとおりになります。

150万円-30万円=120万円

なお、納税者によって、各種控除を受けられます。各種控除を受ける際には、税務署や税理士に相談をしましょう。

不動産所得が発生した場合は、基本的に確定申告を行って納税をしなければいけません。万が一、確定申告や納税を怠ると、追徴課税などのペナルティを受けるおそれがあります。

不動産投資の「利回り」を把握する

これから不動産投資を始められる方は、実質利回りを確認して物件を選びましょう。

利回りには、簡易的な想定利回りや表面利回り、そのほかに、より正確な数字を出すための実質利回りがあります。

なお、実質利回りでみた場合、2%後半〜3%前半程度であれば、手堅く家賃収入を得られる目安になります。

不動産投資にはリスクがある

家賃収入は不労所得と考えている方もいますが、不動産を貸し出したからといって安定して収入を得られるわけではありません。

建物の清掃や修繕管理など、物件オーナーが管理を行わなければいけない部分も多いため、不労所得とは言い難いのが現実です。

不動産投資は空室に対するリスクもあれば、孤独死に対するリスク、家賃未払いリスクもあります。あらゆるリスクのなかで、リスクヘッジをとりながら安定収入を得られる努力をするのが不動産投資です。

不動産投資にはたくさんのリスクが伴うことを理解し、必要に応じて保険加入などでリスクを軽減したり、設備投資を検討したりしてください。

家賃収入を得る際の失敗事例

家賃収入を得る際のよくある失敗事例を下記のとおりに紹介します。

  • 空室が埋まらない
  • 減価償却費を想定していない
  • 出口戦略の見落とし

不動産投資を検討されている方は、これからお伝えする失敗事例を参考にしてください。

空室が埋まらない

家賃収入は入居者がいてはじめて得られる収入です。入居者募集を行ったからといって、すぐに入居者が見つかるわけではありません。

地域の特性や、賃料のバランスなどすべてがマッチして初めて入居希望者が現れます。

不動産投資のランニングコストは、入居者の有無に関わらず発生します。空室期間が長引いてもある程度は耐えられるように、資金準備をしておいたほうが良いでしょう。

減価償却費を想定していない

減価償却費とは、不動産を取得した費用を1年で経費に算入するのではなく、耐用年数に応じて減価償却する制度を言います。

減価償却費はローンの返済金額などに関わらず、一定の割合で経費に算入できるのが特徴です。

しかし、減価償却費を考慮せずに不動産投資を継続していると、ローンの返済額が減価償却費を上回る状態(デッドクロス)になってしまいます。

デッドクロスに陥るとキャッシュフローが悪化し、帳簿上では黒字であるにも関わらず、実質赤字経営になってしまいます。

この状態が続いてしまうと、最悪の場合は黒字破産してしまう場合があるので注意しなければいけません。

出口戦略の見落とし

不動産はその名のとおり、不動の財産であるため物理的に処分することが困難です。そのため、あらかじめ出口戦略まで考慮しておいたほうが良いです。

出口戦略とは、不動産投資の終わり方のことを言います。不動産は物理的な処分が困難であるため、譲渡が難しい場合は手放すことができず、ランニングコストが発生し続けます。

もしも、目先の家賃収入にのみ着目していると、出口戦略で苦労してしまうことがあります。

例えば、収益化が見込めない物件を譲渡したいと考えても、譲渡できる相手が見つからなければマイナス物件を所有し続けなければいけません。

出口戦略はいずれかならず訪れるものであるため、あらかじめ考慮しておいたほうが良いでしょう。

不動産投資を理解して安全に家賃収入を手に入れよう

今回は、家賃収入を得るまでの流れやリスクについてお伝えしました。

家賃収入を得るためには、不動産を取得して貸し出すことから始めなければいけません。

しかし、貸し出したからといって、すぐに収益化できるものではなく、入居者の希望と物件がマッチして初めて収益化につながります。

そのため、不動産投資には空室リスクが付きものです。リスクなどをしっかり理解した上で、安全に不動産投資を行って家賃収入を得ましょう。

この記事の監修

林 裕二
資格情報: 2級ファイナンシャルプランニング技能士、AFP

2018年に2級FP技能士を取得後、FP Webライター として業務を開始。不動産や相続、ライフプランニング等「人生」に関わる分野を得意とする。現在は宅建士の資格取得を目指して勉強をしながら、不動産関連記事執筆をメインに活動している。

この記事のポイント

不動産投資にどんなリスクがある?

不動産投資では、下記のようなリスクが考えられます。

  • 空室リスク
  • 家賃未払いリスク
  • 孤独死リスク

リスクを軽減するために、不動産に関する保険もあわせて検討してみましょう。

詳しくは 「不動産投資にはリスクがある」の項目をご確認ください。

家賃収入はいくらぐらいの金額を得られる?

家賃収入は貸し出す物件によって大きく異なります。ただし、高額な家賃収入を得たいが故に、相場に合わない高額な家賃設定にしていると入居者が現れません。物件や地域の特性を配慮して、適正な価格帯で家賃を設定しましょう。

詳しくは 「家賃収入の計算例」をご確認ください。

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