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住宅ローン減税で戻ってくる金額は?2022年度の改正内容や申請方法を解説!

住宅ローン減税は、長期間かけて所得税などを控除することによって、金利の負担を軽減するために設けられた制度です。

この控除は、所得控除などとは異なり、通常通りに計算した税額から直接差し引かれますので、住宅を購入する方にとっては、制度の内容を確認して利用しておきたい制度といえます。

本記事では、住宅ローン控除制度の概要と最新の制度の改正点、また注意点や申請方法までをわかりやすく説明します。

住宅ローン減税とは?

住宅ローン減税とは、住宅ローンを利用してマイホームの購入や増改築した際、条件に応じた額を所得税や住民税から税額控除してくれる制度で、最大13年間に渡って控除を受けられます。控除されるためには、確定申告の手続きを初回のみ行います。

各年で異なる控除額の計算方法については、下記の表をご覧ください。

控除額の計算方法

入居時期期間控除額の計算
2021年1月1日から
2021年12月31日まで
10年年末のローン残高×1%(最大50万円)
2021年1月1日から
2022年12月31日まで
13年1~10年目…年末のローン残高×1%
11~13年目…以下のいずれか少ない額が控除限度額
・年末のローン残高×1%
・(住宅取得等対価の額-消費税額)×2%÷3


2022年度の税制改正の内容

2022年の改正の要点は下記のとおりです。

控除対象となる借入限度額

2022年・2023年に入居2024年・2025年に入居
認定住宅5,000万円4,500万円
省エネ住宅4,500万円 もしくは 4,000万円3,500万円 もしくは 3,000万円
上記以外の住宅3,000万円2,000万円

入居する期限:2025年12月31日まで    
ローン控除率:年末のローン残高の 0.7%
控除する期間:新築 13年、中古 10年
所得金額制限:2,000万円以下
床面積の緩和:40平米(2023年以前に建築確認を受けた新築で、合計所得が1,000万円以下の方)
築年数の緩和:1982年1月1日以降の新耐震基準に適合した物件が対象に含まれる

細かな要件がありますので、項目の内容をよく確認しましょう。

住宅ローン減税でいくら戻ってくるのか?

要件を紹介してきましたが、実際にはいくら戻ってくるのか、気になるところでしょう。ここからは、マイホーム購入者のモデルを設定して、税額を計算するシミュレーションをしていきます。

控除額算出のシミュレーションは以下のとおりです。

  • 家族構成:4人家族、夫・妻・子供二人
  • 物件種別:新築住宅(長期優良住宅)
  • 世帯収入:収入は夫のみで年収500万円。給与が毎年10万円上昇を想定
  • 住宅価格:4,000万円(内訳、土地価格:1,000万円、建物価格:3,000万円)
  • 借入金額:4,000万円(固定金利2.1%、元利均等、35年)

ローン控除額の算出例(表中の金額は目安となります)

1年目2年目3年目4年目5年目6年目7年目8年目9年目10年目11年目12年目13年目
年収500510520530540550560570580590600610620
限度額40 40 40 40 40 40 40 40 40 40 40 40 40
所得税等35 363738394041424344454647
残高1%39.538.838.137.436.736.035.334.633.933.232.531.831.1
20建物2%/3202020

表の項目の解説は次の通りです。

  • 限度額:借入4,000万円の1%である 40万円となる
  • 所得税等:所得税と住民税の合算税額
  • 残高1%:年末のローン残高の1%
  • 建物2%÷3:建物購入金額の2%÷3

実際に控除されるのは、限度額・税額・残高1%・建物2%÷3 の中で、最も小さい額になります。

以上から13年間の総控除額は、415.1万円 となります。

住宅ローン減税の対象

住宅ローン控除の対象となる物件は、下記にあてはまるものに限ります。

新築住宅

過去に人が住んだことがない住宅で、工事完了から1年以内のものを指します。

床面積は、原則、床面積が50平米以上(改正により条件付きで40平米以上になる場合あり)かつ、床面積の2分の1以上が居住の用途に使用していることになります。また、住宅を取得してから6ヶ月以内に居住を開始する必要があります。

中古物件

中古物件の場合は、築年数の要件を満たすことが必要です。木造ですと築20年以内の物件で、耐火建築物(マンション)は築25年以内の物件であることです。

また、以下のいずれかの耐震基準に適合する証明も求められます。

  • 耐震基準適合証明書
  • 既存住宅性能評価書(耐震等級1以上)
  • 既存住宅売買瑕疵保険への加入

土地

土地関しては、土地の購入から2年以内に、住宅ローンで借り入れして、その土地の上に新築住宅を建てる目的で土地が対象となります。

住宅ローンの利用状況

住宅ローンの利用において、主に対象となるものは、以下の通りです。

  • 自ら居住する物件取得のための借入金である
  • ローンの返済期間が10年以上 
  • 金融機関から借り入れしている(親族や知人からの借り入れではない)

住宅ローン減税の申請方法

住宅ローン減税の要件を確認して、対象となる要件を確認したら、次は、申請に必要な書類や申請にかかるポイントを確認していきましょう。

住宅ローン減税の申請は、税務署へ確定申告することで申請をします。税務署には、以下の必要書類提出します。

必要書類入手先・依頼先
住民票の写し市区町村の窓口
残高証明書金融機関
登記事項証明書法務局
請負(売買)契約書本人が所持していることが一般的
給与等の源泉徴収票勤務先
<認定長期優良住宅・低炭素建築物の場合>以下のいずれか
・認定通知書
・住宅用家屋証明書
・建築証明書
認定通知書、住宅用家屋証明書は、引き渡し時にもらう。建築証明書は、建築士や国土交通省の指定検査機関が発行。
< 中古住宅の場合(※)>
 以下のいずれか
・ 耐震基準適合証明書
・ 既存住宅性能評価書
・ 既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書
建築士、登録住宅性能評価機関、住宅瑕疵担保責任保険法人など
(※)中古住宅の場合、木造の場合は築20年以内の物件、耐火建築物(マンション)は築25年以内の物件が対象となります。

住宅ローン減税の注意点

控除期間中に要件を満たさなくなった場合には、それ以降は減税を受けられなくなります。詳しく紹介してきます。

まずは、転勤などで家族全員が転居する場合は対象外となります。全員が転居するのではなく、単身赴任などで他の家族は居住し続けるなら引き続き控除は受けられます。

一旦は全員が転居する場合でも、転居前に税務署に届け出をしておいて、転勤先から戻って再度住み始めるような場合には、戻った時点で一定の要件を満たせば、再適用を受けられます。

また、省エネ住宅の推奨を促すような制度の改正によって、2024年以降に建築確認を申請する住宅で、省エネ基準に適合していない一般住宅は、住宅ローン減税を受けられなくなります。  

上記以外にも、とくに注意しておきたい点を次項より解説していきます。

自ら申請をする必要がある

住宅ローン控除は、住宅ローンを組んでマイホームを購入するだけでは、自動的に適用されません。入居した年の翌年の2月16日から3月15日までの間に、税務署への確定申告が必要です。

給与所得者の場合は、確定申告は初年度だけでよく、2年目以降は会社にローン残高証明書を提出するだけで、住宅ローン控除が受けられます。

また、夫婦の間で借入金に関して連帯債務関係、また各々がローンを組むペアローンの場合でも、登記された共有持分に応じた住宅ローン減税が受けられます。いずれの場合も、2人分の控除手続きをひとつの申請ですることはできず、各々が個別に申請する必要がありますので注意が必要です。

住宅ローンを借り換えした場合は申請の内容が異なる

住宅ローンを借り換えしても、依然として要件を満たすなら住宅ローン控除を継続することはできます。その際、新たに組んだ借り換えローンが、当初のローン返済に充てるものだと証明が必要です。   

ただし、借り換えをしたあとの控除残期間は借り換えをしてもリセットされません。

新たなローンの借入額が以前のローンの残高よりも少額の場合には、新たなローンの残高を基準として控除額が決まります。

住宅ローン減税の対象外となるケース

住宅ローン控除の要件に該当しない、対象外のケースとしては、金融機関などではない、親族や知人からの借入があります。    

また、物件は次のようなものは対象外です。

  • 別荘やセカンドハウスなど自宅ではない
  • 人に貸す賃貸収益用の物件
  • 親のために買ったなど、自分では住まない物件

そのほかのケースとしては、贈与で物件を所有した場合や、生計を一にする者から取得した場合、入居した年とその前後の2年ずつの計5年間に、マイホームを売却した場合の長期譲渡所得の特例を受けている場合も対象外となります。

住宅ローン減税のまとめ

住宅ローン減税は、初回のみの確定申告の手続きだけで、10年以上も継続して控除が受けられる制度です。

特に2022年の新たな税制改正によって要件が緩和され、以前は対象外だったものが対象内に変わったケースもあります。自分の知識だけで判断せずに、不動産会社や税務署や税理士など詳しい方へ相談してください。

この記事の監修

柴田 敏雄
資格情報: 宅地建物取引士、管理業務主任者

不動産関連の記事を執筆するフリーライター。司法書士事務所に2年、大手不動産管理会社に5年、個人顧客を対象とした不動産賃貸売買営業に7年間従事、また外資系金融機関に2年間従事し個人顧客へ金融資産の維持保全や相続税の節税アドバイスなど、幅広く不動産や金融の経験を積んでいる。

この記事のポイント

中古物件でも住宅ローン減税の対象になりますか?

中古物件で住宅ローン減税の対象となるためには、築年数の要件を満たすことが必要となります。
木造の場合築20年以内、耐火建築物(マンション)であれば築25年以内の物件が対象です。

その際に必要となる書類、詳細な条件は「住宅ローン減税の対象」をご確認ください。

住宅ローン減税を受けられないケースとは?

住宅ローン減税の要件に該当しないケース、金融機関以外からの借入(親族や知人など)が挙げられます。
他にも、別荘やセカンドハウスといった自宅ではない物件、人に貸す賃貸収益用の物件などが対象となります。

その他の条件も含めて、詳しくは「住宅ローン減税の対象外となるケース」をご確認ください。

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