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終活とは?メリットや始めるタイミング、準備をするべき内容を解説

高齢化社会の進展に伴い、「終活」という言葉が注目を集めるようになってきました。

終活は、相続をみすえた遺言書を作成するというだけでなく、余生を安心して過ごすための幅広い準備を含みます。

終活でやるべきことはたくさんありますので、すべてを完璧にやろうとすると、大きな負担になります。本人にとって、必要なことを取捨選択して準備をすすめることが大切です。

そこで、これから終活を始める方のため、終活でどのようなことをするのか、終活の始め方などを解説します。

終活とは残りの人生を見直し家族のために準備すること

終活とは、本人が亡くなったとか、病気で意思疎通が難しくなったときに備えて、家族が困らないように準備しておくことです。

つまり、亡くなった後のことを考え、整理や亡くなるまでの間を自分らしく過ごすために準備することが終活といえます。

終活をするメリット

終活の一番のメリットは、遺産相続のトラブルを回避でき、また、自分の意思が家族にきちんと伝わることで、結果的に家族の負担が軽くなる点にあります。

もともと終活は相続対策のために行われてきたものです。ある程度の資産をお持ちの方にとって遺産相続は、避けて通れない道です。財産の整理や誰に引き継ぐかの検討は、早めにしておく必要があるでしょう。

そのほかのメリットとしては、残された老後生活への心配が軽減されるという点があげられます。

まだ元気なうちから、財産関係の整理や何かあったときの手続きをしておけば、老後生活の心配が軽減できます。

この結果、余生を趣味に使ったり、さまざまな思い出づくりに励んだりするなど、有意義な老後生活が送れるでしょう。

終活を始めるタイミング

終活を始めるタイミングは、人によって異なります。退職や還暦となる60歳など人生の大きな節目に終活を始める人が多いです。また、病気で余命告知を受けたときに始める人もいます。

いずれにしても、人生の終わりを意識し始めたときに終活を始めることが一般的でしょう。

ただ、終活はできるだけ元気なうちに始めるに越したことはありません。終活を考え始めたら、すぐに準備に着手することをおすすめします。

終活の主な内容

終活として行われる事項は多岐にわたります。人によって必要となる事項は異なるので、自分にとっては何が必要かを考えることが大切です。

資産に関する情報の整理

資産に関する情報の整理は重要です。

例えば、財産関係では、銀行口座、証券口座、保険等の状況確認や整理、クレジットカード、借金、自動車、不動産など保有している財産の名称や保管先などを一覧表にしておくとよいでしょう。

このほか、光熱費や通信費など口座引き落としを利用しているサービスも家族にわかりやすいように一覧化しておくと、万が一の時に安心です。

また、重要な書類や印鑑も整理しておきましょう。

例えば、保険証券や有価証券等の証書類、実印の保管場所や貸し金庫の場所などを信頼できる家族などにわかるようにしておきましょう。

さらに、財産的価値がなくても、衣服や家具、大切な思い出にまつわる品物もあります。これらは、残したいものと処分するものに分けておきましょう。

連絡先リストの作成

連絡先リストとは、もしもの時に連絡する相手をリストアップしたものです。

友人や親族、職場など連絡が必要な人の氏名や連絡先を一覧にし、家族や信頼できる人に託すか、一覧表の保管場所を伝えておきます。

遺言書の準備

不動産や預貯金、有価証券などの財産がある場合には、遺言書の準備も必要です。

遺言書は法律上書き方が決まっています。遺言書が法律の要件を満たしていないと無効となり、かえって相続争いの種になることがあります。

このため、遺言書の作成にあたっては、法的に正しい遺言書を作成することが最低限必要です。その際には、弁護士、司法書士、行政書士 などへの依頼も検討するとよいでしょう。

また、公証人に依頼して公正証書遺言とすれば、法律の要件を満たした遺言書であることを確認してもらえるので安心です。

健康や医療の見直し

主治医などと相談しながら、今後の食事、運動など生活習慣の見直しをすることも終活の一環です。万が一の時に、治療方針や延命治療を望むかなどの意思表示もあらかじめ書面に残しておきましょう。

お墓の手続き

永代供養墓、共同墓、樹木葬など、希望のお墓の購入や埋葬手続きの整理や費用の確認も生前にしておくと、家族としても安心です。

お墓の管理を引き継ぐ人は法律上「祭祀承継者(さいしけいしょうしゃ)」といい、遺言書で指定することもできます。

葬式の準備

葬式の内容を決定し、遺影用の写真の準備をする人もいます。

例えば、葬式に呼びたい人をリスト化しておくことや、葬式を質素にするか、豪華にするかなど規模を決めて書面化しておくことも考えられます。

亡くなってから葬儀まではあまり時間がないことが多いため、葬式の際に喪主となる可能性の高い親族には、あらかじめ必要書類や希望を書いた書面を渡しておくと安心です。

ペットに関する準備

ペットが自分より長生きすることも多くなってきました。自分が入院した場合などに誰にペットを預けるか、餌やりはどうするか、などもあらかじめ決めておきましょう。

ペットの好きな餌や生活上の注意、ペットのかかりつけ医なども書面に残しておくと安心です。

余生の過ごし方の計画

終活では、亡くなった後のことだけでなく、余生をどのように過ごすかの計画も大切です。そのひとつに、今後の住まいの計画があります。

将来的に高齢者住宅や施設に移るのか、自宅で過ごしたいかなどの希望を明確化し、そのための資金計画を練っておくとよいでしょう。

老後生活の生きがいとして、今後やりたいことを考えておくのもよいことです。例えば、取り組みたい趣味や旅行、家族との思い出づくり、地域の交流、ボランティアなどが挙げられます。

終活の始め方

終活は一気にすべてやろうとすると大変ですので、少しずつ始めるとよいでしょう。あとからつけ足したり、変更できるととらえると、気軽に始めやすいでしょう。

最近ではエンディングノートが市販されており、記入項目が整理されて便利です。ただし、エンディングノートに法的効力はありませんので注意してください。

遺産相続などについては、エンディングノートとは別に遺言書を作成する必要があります。

資産に関することを最優先にする

終活を始める順序に迷ったら、まずは、お金や不動産など重要なことから始めるとよいでしょう。

財産関係は親族間のトラブルを招きやすいため、生前対策の経験がある専門家に相談しておくと安心です。

相続税が発生する可能性がある方は、相続税に詳しい税理士へ相談し、トラブルが起きないような遺言書の作成について相談したい方は、司法書士や弁護士などに相談します。

家族とも話しながら始める

終活は家族にも影響を及ぼします。このため、家族と話しながら進めると始めやすいでしょう。書類の保管場所なども家族には事前に伝えておく必要があります。

とくに遺産相続がからむ場合には、トラブルを避けるため親族の理解を得ておくことが大切です。相続人となる可能性のある親族全員に自分の考えを丁寧に話して、相続方法について理解してもらいましょう。

終活をして安心した老後生活を

終活は自分の老後の生活を安心して過ごすために行うものです。

以前は、終活といえば亡くなった後や病気になったときの財産関係の整理を目的としていることも多くありました。

しかし、最近は元気な高齢者も増えていますので、終活は必ずしも相続や病気になったときのためだけのものではありません。 悔いなく人生を終えるためには何が必要かという観点から、必要なことを整理することが大切です。

この記事のポイント

終活のメリットとは?

終活のメリットには、遺産相続のトラブルを回避し、自分の意思が家族にきちんと伝わることで、結果的に家族の負担が軽くなることが挙げられます。
詳しくは「終活をするメリット」をご確認ください。

終活を始めるタイミングとは?

終活を始めるタイミングは人によって異なりますが、退職や還暦となる60歳など人生の大きな節目に始める人が多いです。
詳しくは「終活を始めるタイミング」をご確認ください。

この記事の監修

松浦 絢子
資格情報: 弁護士、宅地建物取引士

松浦綜合法律事務所代表。
京都大学法学部、一橋大学法学研究科法務専攻卒業。東京弁護士会所属(登録番号49705)。宅地建物取引士の資格も有している。法律事務所や大手不動産会社、大手不動産投資顧問会社を経て独立。IT、不動産・建築、相続、金融取引など幅広い相談に対応している。さまざまなメディアにおいて多数の執筆実績がある。

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