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税制コラム

マイホームを売却、または新たに買い換えた場合-5

確定申告講座~2023年編(1)

2024年02月15日

II.マイホーム売却時の特例制度を学ぶ!

(4)長期譲渡所得(土地等)の1,000万円の特別控除

A.概要

2009年1月1日から2010年12月31日までの間に取得した国内にある土地等を2015年1月1日(2010年取得の場合には2016年1月1日)以降に譲渡した場合には、一定の要件を満たすとその土地等に係る譲渡所得の金額から1,000万円を控除することができます。
(この特例は法人が取得した土地等についても適用されます。)
取得期間要件を満たした土地等であれば適用できますので、アパート等の賃貸物件の土地についても適用することができます。

B.適用可否チェック

適用可否チェック表:印刷用ファイル

チェック項目 チェック欄
基本チェック項目 1 2009年1月1日から2010年12月31日までの間に取得した土地等であること  
2 所有期間が5年超であること  
3 親族などから取得した土地等でないこと  
4 相続・遺贈・贈与・交換等により取得した土地等でないこと  
5 譲渡した土地等について、他の譲渡所得の特例を受けないこと  
6 土地等の登記事項証明書や土地等を取得した時の売買契約書の写しなどで、譲渡した土地等が2009年又は2010年に取得されたものであることを明らかにする書類を添付して確定申告を行うこと  

【まとめ】

以上までが、ご自身が居住していた自宅を売却して利益が出た際に検討できる特例となります。それでは、この4つを比較してみましょう。

  3,000万円の
特別控除
軽減税率 居住用の買換 1,000万円の
特別控除
課税形態 特別控除分が
非課税
課税所得6,000万円まで軽減税率が適用 課税の繰延 特別控除分が
非課税
取得方法 問わない 問わない 問わない 2009年、2010年取得で親族からの取得ではないこと
所有期間 問わない 10年超 10年超 5年超
居住期間 問わない 問わない 10年以上
売却金額 問わない 問わない 1億円以下 問わない
自宅の買換 問わない 問わない 必要
特別控除額 3,000万円 なし なし 1,000万円
税率

長期の場合20.315%
(所15.315%+住5%)

短期の場合39.63%
(所30.63%+住9%)

6,000万円以下部分14.21%
(所10.21%+住4%)

6,000万円超部分20.315%
(所15.315%+住5%)

買換に使わなかった部分につき20.315%
(所15.315%+住5%)
20.315%
(所15.315%+住5%)
取得費の引き継ぎ 引き継ぐ
取得日の引き継ぎ 引き継がない
特例の併用 併用可 併用不可
住宅ローン控除
(買換資産)
併用不可 併用可

【得】特例選択のポイント

その1

居住用の3,000万円控除と軽減税率の組み合わせ、あるいは居住用の買換え特例。どちらも譲渡に対する税金を大幅に圧縮することが可能です。それでは、どちらを選択するのが良いのでしょうか?

一般的な選択基準としては、3,000万円控除を使うと譲渡所得がゼロになる場合には特別控除を選択します。一方、3,000万円控除を使っても譲渡所得がゼロにならず多額の税金が生じる場合には、居住用の買換え特例を選択することも検討してみることをお勧めします。

さて、利益が3,000万円以上出るケースとはどんなケースでしょうか。
その多くは相続により取得した自宅を売却するケースが多いと思われます。相続で取得した場合にはご自身で取得した不動産ではないため、当時の書類が残っていないなど取得費がわからないことが多く、売却額の大部分が利益となってしまうからです。
3,000万円の控除をしても税額が大きくなるので、居住用の買換え特例を検討し、課税を繰り延べることになります。ただし、売却金額(固定資産税精算金の受領額を含む)が1億円を超えると適用することができなくなってしまいますので、ご注意ください。

その2

また、自宅を売却し3,000万円の特別控除等を適用した場合、新居については住宅ローン控除の特例を適用することができません。しかし、(4)長期譲渡所得(土地等)の1,000万円の特別控除特例であれば、住宅ローン控除の特例も併用することできます。
したがって、自宅の譲渡益が1,000万円以下で、取得時期の要件等を満たすのであれば、1,000円の特別控除の特例を使うことで、住宅ローンも利用することができ最大限の節税が可能となります。

(5)被相続人の居住用財産(空き家)を売却した時の3,000万円控除特例

A.概要

この特例は、(1)から(4)とは異なり、ご自身の居住していた不動産ではなく、被相続人(父、母など)が居住していた不動産を、相続人が譲渡した際に適用できる制度となります。
被相続人のみが居住していた家屋と土地を、空き家となっている状態で親族が相続し、かつ、その相続後も貸付や、誰かの居住の用に供さない状態のままで、「新耐震基準を満たす状態に改修してから売却する」、あるいは、「古い家を解体して敷地のみで売却する」場合に、譲渡利益から3,000万円を控除することができます。
一般的には、後者の「解体して敷地のみで売却するケース」が多いと思われます。
なお、相続人が3名おり、3名それぞれが建物と土地を併せて相続した場合には、それぞれの持分に対応する利益から3,000万円を控除できるため、合計利益が9000万円でも課税所得ゼロとすることが可能でした。
しかし、令和5年度税制改正によりR6年1月1日以降の譲渡から、相続人が3名以上いる場合には、相続人それぞれの特別控除の上限が2000万円に引き下がることになりました。したがって、上記例では最大で6000万円(2000万✕3人)までしか特別控除を使えないことになります。
一方で、制度がなくなるのではないか?という話も有りましたが4年間延長され令和9年の末日まで適用できることになっています。
なお、家屋の要件、相続の仕方、売却時の要件、添付書類など、比較的複雑な要件となっていますので、売却を検討する前から、本制度を視野に入れ慎重に進めることが必要となります。

B.適用可否チェックリスト

対象となる被相続人の居住用家屋

  • 1. 家屋が1981年(昭和56年)5月31日以前に建築されたこと
  • 2. 区分所有建物登記がされている建物でないこと
  • 3. 相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと

特例を受けるための要件

  • 1. 譲渡する相続人は、相続等により、被相続人の居住用家屋とその敷地を取得すること
  • 2. 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること
  • 3. 売却代金が1億円以下であること(被相続人の居住用家屋として一体利用していた部分を分割売却している場合や、他の相続人が相続して売却している場合には、一定期間内に行われたものについて、それらを含めた全体で1億円の判定を行います。)
  • 4. 親子や夫婦など特別の関係がある人に対して売却したものではないこと
  • 5. 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例や、収用等の場合の特別控除の特例等を受けていないこと

必要になる添付書類

  • 1. 新耐震基準を満たすリフォームを行って売却した場合

    • 対象となる被相続人の居住用家屋であることが確認できる登記事項証明書等
    • 売った資産の所在地を管轄する市区町村長から交付を受けた「被相続人居住用家屋等確認書」
    • 耐震基準適合証明書又は建設住宅性能評価書の写し
      ※譲渡の日前2年以内に調査終了、評価されたものであること等の要件あり
    • 売買契約書の写しなどで売却代金が1億円以下であることを明らかにするもの
  • 2. 家を解体して敷地のみを売却した場合

    • 対象となる被相続人の居住用家屋であることが確認できる登記事項証明書等
    • 売った資産の所在地を管轄する市区町村長から交付を受けた「被相続人居住用家屋等確認書」
    • 売買契約書の写しなどで売却代金が1億円以下であることを明らかにするもの

なお、2023年度の税制改正により本制度は2016年4月1日から2027年12月31日までに譲渡した場合に適用できることになりました。

参考

国税庁タックスアンサーhttp://www.nta.go.jp/

監修

マックス総合税理士法人http://www.max-gtax.com/

税理士
川合宏一 
税理士 武石竜 
税理士 吉田正洋

税理士 宇波意人 
税理士 平石和也

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