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与党税制大綱、固定負担調整の延長決定

2017年12月15日

―取得税特例も、買取再販は敷地を拡充

 18年度与党税制改正大綱が14日、決定した。土地に係る固定資産税の負担調整措置と条例減額制度の3年間延長など、住宅・不動産関連の要望は、買取再販の敷地拡充などで一部要件の見直しもあるが、ほぼすべてが認められた。

 固定資産税の特例措置延長は、不動産業界の重点要望事項だったが、自民党の税制調査会のマル政審議での盛山正仁・国土交通部会長や城内実・経済産業部会長などの後押しもあり、延長が実現した。18年度評価替えでは大都市などで地価上昇により負担水準が下落し、措置ゾーン(60~70%の範囲)を下回る土地が生じる一方、地方では地価下落で負担水準70%超の土地が多く見込まれるとして、まずは負担水準を措置ゾーン内に再び収斂させることが最優先とされた。ただし、評価額と税額の高低逆転など負担水準の不均衡の課題も指摘され、均衡化に向け負担調整措置のあり方について引き続き検討するとされた。同じく、マル政案件だった宅地評価土地の取得に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の3年間延長と、住宅と土地の取得に係る不動産取得税の税率の特例措置の3年間延長も認められた。

 拡充案件となる買取再販での住宅取得に係る軽減措置では、登録免許税の税率軽減の2年間延長と、不動産取得税の減額対象の敷地への拡大が認められた。ただし、敷地への対象拡充は、上物の住宅が「安心R住宅」であるか瑕疵担保保険への加入、つまりインスペクションの実施を条件とする。同じく、拡充案件となる耐震基準を満たさない住宅を取得後、6カ月以内に耐震改修を行った場合の特例措置の敷地への拡充も認められた。また、居住用財産の買換えなどの場合の譲渡損失の繰越控除については、木造住宅の場合、新耐震基準に適合していることが要件に加えられた。一方、都市政策関連では、生産緑地制度に関する税制上の措置や、空き地や低未利用地がランダムに発生する「都市のスポンジ化」対策のために特例措置の創設も盛り込まれた。そのほか、▽工事請負契約書と不動産譲渡契約書に係る印紙税の特例措置の2年間延長▽新築住宅に係る固定資産税の減額措置の2年間延長▽認定長期優良住宅係る特例措置の2年間延長▽耐震・省エネ・バリアフリーなどリフォーム促進税制の2年間延長―などが認められた。

◎業界トップ、主要要望の延長などを評価

 来年度の税制改正大綱がまとまり、不動産業界の主要要望はほぼ認められた。これを受け、業界団体のトップは今回の措置を評価するコメントを発表した。

 菰田正信・不動産協会理事長 経済の好循環を支える最重要な税制と位置付けていた「土地固定資産税の負担調整措置や条例減額制度」の延長が認められた。現状でも、さまざまな事業者の負担感が大きく、収益力の回復の足取りも一様でない中、地域経済の安定的・持続的成長に資するものと評価している。その他の主要な要望についても、延長等が認められた。新築・既存住宅マーケットの活性化や都市の国際競争力強化に資するものであり評価している。住宅市場に係る対策については、必要な対応を検討することとなったが、住宅が内需の牽引役としての役割を果たせるよう、機動的な対応が講じられることを期待している。

 高木茂・日本ビルヂング協会連合会会長 不動産市場の活性化や地方創生の推進に向け当連合会が要望していた特例措置が延長されたことを評価したい。特に、来年は土地に係る固定資産税の評価見直しの年にあたり、商業地の地価の上昇がみられるなか、土地に係る固定資産税の負担調整措置及び条例減額制度の3年間延長が認められたことは、デフレ脱却にむけて、意義深いものと高く評価したい。当連合会は、今回の税制改正を踏まえ、ビル事業の一層の推進に努め、成長力・国際競争力の強化、都市再生の推進と地方創生を図ってまいる所存である。

 伊藤博・全国宅地建物取引業協会連合会会長 本会の要望事項はほぼ100%実現した。特に、最重点事項である買取再販に係る特例措置の敷地への拡充は、一部条件は付されたものの、良質な既存住宅供給を推進する有効な足掛かりとなるだろう。また、懸案であった土地の固定資産税の負担調整措置についても、結果的には無傷で延長となった。仮に特例が縮減されれば、不動産の保有コスト増による地域経済への影響が心配されたが、我々現場の声を受け止めていただいた。関係の方々に心より感謝申し上げたい。

 原嶋和利・全日本不動産協会理事長 不動産流通を促進するための商業地の土地に関する固定資産税の負担調整措置と条例減額制度、住宅及び土地に係る不動産取得税の特例措置が3年間延長されたほか、住宅取得と住宅の質の向上を図るための新築住宅に係る固定資産税の減額措置をはじめとした重要な税制が延長された。また、買取再販での住宅取得(安心R住宅または瑕疵担保保険付)に係る特例措置の敷地への拡充と住宅取得後に耐震改修を行った場合の特例措置の敷地への拡充が認められるなど、本会からの主要な要望が認められ、ご尽力頂いた政府・与党の関係者の皆様に厚く御礼申し上げたい。

 榊真二・不動産流通経営協会理事長 当協会の要望事項であった、「買取再販で扱われる住宅の取得等に係る特例措置の敷地への拡充」が盛り込まれた。既存住宅流通を契機に、不動産のプロのノウハウを活用し、リフォームを通じて質を高めた既存住宅の提供を促進することで、既存住宅流通・リフォーム市場拡大に資するものと期待している。また、今年度に期限切れを迎える住宅取得・買換え促進のための各種特例措置が延長されたことは、足元の高水準な不動産取引を下支えし既存住宅流通市場の活性化を後押しするものと評価する。

 岩沙弘道・不動産証券化協会会長 当協会が要望した「固定資産税・都市計画税の負担調整措置及び条例減額制度の延長」や「投資法人等が海外不動産に投資した際に支払う直接外国税額の控除方法等の改正」等が講じられた。デフレ脱却、経済再生の実現に加え、アウトバウンド投資の活性化を通じた不動産投資市場の成長に寄与するものであり、高く評価したい。ご尽力いただいた関係者の方々に深く感謝を申しあげる。当協会としても、不動産投資市場の更なる成長を実現することで、国民の資産形成に資するとともに、都市再生並びに地方創生ひいては我が国経済の成長に貢献できるよう、一層使命感を持って取り組む所存である。

(提供:日刊不動産経済通信)

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