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インスペクション、正しい理解と周知を

(2017年2月6日)

―4団体に聞く、評価とこれからの課題

 改正宅建業法で建物状況調査(インスペクション)の情報提供が宅建業者に義務づけられた。昨年末の国土交通省・社会資本整備審議会不動産部会では、有識者や不動産業界団体から宅建業法上のインスペクション制度について意見のとりまとめが行われたところだ。18年4月1日の改正法施行に向け、今後国交省では詳細を定める省令や告示の準備、国民向け周知の具体策などの検討が進められていく。部会メンバーであり、インスペクションを実務で取り扱う宅建業者を多く抱える不動産4団体(不動産流通経営協会(FRK)、全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)、全日本不動産協会(全日)、全国住宅産業協会(全住協)にこれまでを踏まえての意見を聞いた。

 インスペクション制度の導入自体は、「既存住宅取引に対する消費者の不安を払しょくするきっかけにはなり得る」(全宅連)、「既存住宅売買瑕疵保険への加入促進が期待される。また、買主がインスペクションの対象部位の品質に納得して購入することとなり、建物の瑕疵をめぐる物件引渡し後のトラブル防止に資する」(全住協)、「消費者に対するインスペクション制度の周知という目的に対し効果がある」(全日)など、概ね受け入れられており期待も高い。当初は宅建士をインスペクションの実施主体にしてはどうかとの意見もあったが、専門の講習を受けた建築士が行うこととなった。FRKはその点を評価し、「建物の専門家(建築士)が然るべき監督のもと実施すること、実施者が重要事項説明の書面を作成することでシンプルで一定の質を確保できる」とする。

 最大の課題は、インスペクションの認知度の低さだ。知られていないことが原因で起こり得るトラブルが懸念される。「消費者のインスペクションの認知度は低く、理解を欠いているのが現状。インスペクションとはどういうものか、例えば瑕疵の有無の判定や耐震診断を行うものではないことなど、消費者・業界・行政が正しくかつ共通の理解をすることが不可欠」(FRK)。インスペクション済みなら耐震診断も済んでいるのだろう、といった勘違いを起こさないためにも消費者への周知は制度スタートに当たり重要となる。

◎中立・客観性確保した確実な検査に

 また、全日は「売主インスペクションの場合に中立・客観性が厳守されずに検査の形骸化が消費者に知れ渡った場合、消費者からの信頼失墜があり得る。ガイドライン順守は徹底して欲しい」と指摘する。宅建業法上のインスペクションが踏襲することになる既存住宅インスペクション・ガイドライン(国交省、15年6月)では、客観性・中立性の確保を強く求めている。インスペクション業者が仕事欲しさに宅建業者に金銭を渡したり、売主に有利な内容にすることなどがあれば、制度の健全性が疑われる。全宅連は「瑕疵保険に対応したインスペクターなのかどうかや処分履歴等が分かるよう、インスペクターに関する検索制度などの情報開示を早急に」と求める。

 各団体は今後、会員向けの取り組み(別表)の準備を進めていくため、国交省の動きを待っている段階。国交省は、インスペクションの内容を盛り込んだ宅建業法施行規則改正を年度末までに行う予定で、現在パブリックコメントを募集中。同時に@パンフレット等の作成Aインスペクション実施者の検索システム構築B改正法の内容のQ&A整備―も進める。Q&Aも年度末までに国交省ホームページなどで公表される予定。Q&Aが出た段階で新たな質問も出ると想定されることから、Q&Aは改正法施行までに都度内容を増強していく。インスペクションを行うため建築士が受講する講習の登録申請は3日にスタートした。インスペクター検索システムは、講習団体が決まり、講習を受けたインスペクターが出てきた段階で整備する。

(提供:日刊不動産経済通信)